【大塚角満のゲームを語る】第20回 東京ゲームショウ、ネット開催へ!!


 

無念!

気が付けば“大塚角満のゲームを語る”も、連載20回の区切りに達することとなった。いやあ~あっと言う間だな……。
 
振り返れば、この連載が始まったのは2019年12月11日。忘年会シーズンと年末進行がバッティングするという“毎年おなじみ”の状況が展開していて、
 
「今日は小学館さんで打ち合わせと飲み会が……いやでも! コラムの締め切りも今日だから、どっちかをどうにかしないとどうしよう!!」
 
なんて平和で幸せな事象に「うーんうーんw」と頭を悩ませていたんだよな。そしてその日の飲み会で、
 
「2020年は、コロコロオンラインに全力投球しますよ! E3にも行って、東京ゲームショウでも記事を書いて、発売されるであろうプレイステーション5も全力で応援して!! あ、でもその前に、3月に発売される『あつまれ どうぶつの森』で毎日記事を更新しますよ!!ww がはははは!!!www」
 
そんなことを、コロコロオンラインの担当がたに放言していたっけ……。
 
しかし、蓋を開けてみたら……。
 
年明けごろから徐々に騒がれ出した新型コロナウイルスは、「はっ!!」と気づいたときには世界中に蔓延していて、日本もほとんど都市封鎖のような状態に。仕事はテレワークに、観光や飲食店は自粛が相次ぎ、イベントも軒並み中止が発表されている。自宅でできる最強レジャーのテレビゲームは気を吐いているが、それでも開発の遅れやサービスの停滞は少なからず起こっている。
 
そして……。
 
5月8日、動向に注目が集まっていた日本最大級のゲーム展示会・東京ゲームショウ2020も、“幕張メッセでの開催を中止する”と表明。“オンライン開催を検討する”と発表したのである。
 

 

ネット配信に期待

1996年よりスタートした東京ゲームショウが中止となるのは、24年の歴史で初めてのこと。理由はもちろん、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためだ。今年もすでに大会概要とともに、“未来は、まずゲームにやって来る。”というテーマも発表されていたので、メーカー、関係者の皆さんは断腸の思いでの決断だったろう。そして我々メディアも、
 
「ゲーム業界の正月は、年に2回ある。E3と東京ゲームショウだ」
 
ということで、大量の新情報が放出される2大イベントの開催を毎年心待ちにしているが(仕事がたいへんになる、ということは置いといて)、いまだ予断を許さない状況が続いていることを鑑みれば、「この判断は……致し方なし!!」と受け入れるしかない。
 
とはいえ、いまは東京ゲームショウが産声を上げた24年前と違って、高速ネット網が全国に張り巡らされている時代だ。運営サイドが含みを持たせた“オンライン開催”に、全面的に期待したいわ。
 
というのもここ数年、俺は毎年行っていたE3取材から身を引いて(変な言い方だけど)、もっぱらネット配信で情報を集めるほうにシフトチェンジしている。それは、この世の誰よりも飛行機が嫌い……ってことも大きな理由だが、何より、
 
「ネットのほうが見やすいし、同時通訳も完備されているので、情報の整理が非常に楽だなあ!」
 
と気づいたことが大きい。複数の会場の様子をザッピングしながらリアルタイム視聴ができるのはもちろん、時間がカブってしまったものに関してはアーカイブで確認すればいい。広大なロサンゼルスコンベンションセンターの中を駆けずり回る必要もなく、涼しい自宅や編集部で好きな情報だけ拾い集めればいいんだから、ありがたい時代になったものである。
 

 
これを考えると、東京ゲームショウのネット開催も大いに期待できる。もちろん、会場独特の空気感を感じることはできないが、整理された情報にピンポイントでリーチできるだろうし、行きたくても行けなかった地方のゲームファンも雰囲気を堪能できるだろうから、ポジティブな要素も決して少なくないのだ。
 
近年、任天堂は最新情報を“ニンテンドーダイレクト”でネット配信し、すっかりゲームファンに受け入れられている。これを好例として、東京ゲームショウの運営にもがんばってもらいたいと思う。
 

大塚角満(おおつか・かどまん)

1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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