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第86回小学館新人コミック大賞(児童部門) 受賞者&審査員によるオンライン座談会【樫本学ヴ・沢田ユキオ・のむらしんぼ・むぎわらしんたろう】

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受賞者から審査員へ創作の極意を質問!

――さてさて、受賞者のみなさん! この機会に、レジェンド作家の先生方にざっくばらんに質問をどうぞ!! 聞きたいことをたくさん用意してきてくださったんですよね。例年の懇親会も、創作の話題やアドバイスで持ちきりです。
 
gazouじゃあ、自分から……! 先生方の新人時代の思い出を教えてください!!

 
gazou自分の連載を持ちながら、いろんなコロコロの先輩漫画家さんのお手伝いに行っていたことですかね。それはもう、めちゃめちゃ(手伝いに)駆り出されました(笑)。自分の漫画をヘロヘロになって完成させたら、「樫本くん終わった? 手伝って〜!」と電話が掛かってきて、そのまま1週間お手伝いってことがザラでした。同じ雑誌で連載しているのにですよ!(笑)

 
gazou自分はもう40年くらい前の話なので、記憶が「アイマイ(曖昧)ミー」ですね(笑)。早稲田駅近くの六畳一間、風呂なし(隣が銭湯)で、畳がギシギシいうボロいアパートに住んでいました。お金はなかったけど、夢はいっぱいあった……そんな人生の時代でした。仕事は投稿ページの解説漫画やイラストカットまで、片っ端から何でもした記憶があります。

 
gazou何度ネームを持っていっても、なかなかOKが出なくて。少しずつ修正が入り、完成した作品が自分のものでないような気がして悩みました。

 
――む、む、む、むぎわら先生に何と失礼な! 名前を教えてくだされば僕が一言言ってきますよ!!!!
 
gazou出世に響くからやめておきましょう(笑)

 
gazouその話に関連するかもしれないんですが、漫画を描くにあたって大切にしていることって、何でしょうか。

 
gazou読者を楽しませる! これに尽きます。

 
gazouそのためにも、まずは「自分自身がおもしろがる心」も大切です。世間のおもしろシャワーをいっぱい浴びて、わくわく・ドキドキ・うきうきすることかな? 映画・ゲーム・小説・音楽・スポーツなどなど、何であれ、自分がハマれることに夢中になるのと似ています。

 
gazouお二人と同じです。まずは読者である子どもたち……マリオくんの場合なら、低学年の読者が多いと思います。その子たちが楽しく読めることですね。

 
gazou特に低学年の読者が多い場合は、画面の見やすさやわかりやすさが大切ですよね。

 
gazouそう思います。そのためにも、読みやすさを念頭に置いて「笑わせる」をモットーに描き続けています。

 
gazou沢田先生に聞きたかったのですが、ギャグが思いつかないときはどうしていますか?

 
gazou思いつかないときかぁ。多分、『スーパーマリオくん』の30年はダジャレで出来ているんですよね。たとえば「お元気ですか?」でボケたいと思ったときは、「お●んきですか?」の●のところに「(“げ”の子音の)エ行=アイウエオの“エ”」の文字を片っぱしから入れて作ったりします。→「おてんきですか?」→「おべんき(便器)ですか?」→そこ(便器)から「せんめんきですか?」の流れもあります。結構必死にやってます。だから、いつもブツブツ言ってますよ。

 
――これは、ものすごい実践的なアドバイスですね!
 
gazouあとは、ネームで詰まったら、そこを飛ばして次の場面に進みます。まったく思いつかなくなったらテレビを見たり、いろんな雑誌をパラパラしたりしていますよ! スーパーをウロウロしたり、書店へ行ったり。気分転換に外に出ることは多いです。お風呂の中でアイデアを思いつくことが多いので、忘れないうちにパンツ一枚でネームをすることもあります(笑)。

 

レジェンド作家のおすすめ制作ツール!

――何かをアウトプット(外に出すこと)するには、インプット(取り入れること)が必要なんですね。さあ、さあ、ほかにもドシドシ質問しちゃいましょう!
 
gazou続けてすみません! 他の先生方のアイデアやネタのいい出し方も聞きたいです!

 
gazou「書を捨てよ、町へ出よう」は寺山修司の名言です。私は散歩します。さらに、寝てしまいます。根(こん)を詰めずに一旦手放す、あきらめる。そこに、ふっとアイデアが降りてきたりします。

 
gazou沢田先生やのむら先生が仰るように、いろいろなものを見たり聞いたり、とにかくネタをたくさん用意することです。映画とかもたくさん観ましょう! 打ち合わせで「あの映画の、あのシーンの感じ」という会話はよく出てきます。

 
gazou自分はとにかくギリギリまでダラダラします(笑)。無理やり自分を追い込んで切羽詰まると、意外と何かしら出てくるもんです。……ってのは新人さんにはあまりお勧めできないので(笑)。

 
――はい(笑)。
 
gazou思いついた絵や言葉、シーンなど、何でもいいので紙に書き出すことが一番の近道のような気がします。頭でいくら考えていてもまとまらないので。自分の書いてきた作品を読み返すことも多いです。そうすることで、自分の得意なギャグパターンや話の流れを再確認できますし、過去のネタやアイデアを別角度から再利用できたりもするので(笑)。

 
――再利用って、すごいことを聞いてしまいました(笑)。でも、同じネタでもまったく同じように使わないのは一人の創作者としての矜恃(きょうじ)なんでしょうね。
 
gazou先生方は長いキャリアのなかで締め切りに間に合わなかったことはありますか? 締め切りに間に合わせる秘訣などがあれば教えてください!

 
gazouギリギリは何度かありますが、間に合わなかったことは一度もありません。作家と担当編集者の信頼関係に関わりますから。間に合わせる秘訣と言えるかはわかりませんが、〆切の日から逆算してスケジュールをつくるといいですよ! たとえば、下書きとペン入れは時間を計算できますよね。でも、ネームはアイデアが思い浮かばなかったりと計り知れない部分があるので、やや余裕をもって見ておくのがオススメです。

 
gazouとにかく時間との戦いですよね。締め切りの恐怖と言ったら……。締め切りに追い込まれる気持ちを安定させるには、漫画力以上に人間力が問われる部分です。そういう意味では、未だに未熟なワタシです〜(泣)。

 
gazou人気が出るとうれしいけど、めちゃめちゃ忙しくなるんですよね。逆に、人気が出ないと、いつ連載が終わるかのストレスでやられそうになります。

 
gazouこれからは、新型コロナウイルスの影響も不安ですよね。スタッフの体調が心配になります。

 
――少し前、漫画の休載がニュースにもなりましたね……。特にアナログ原稿の現場は苦労していると聞きます。さあ、ほかにも質問はありますか?
 
gazouあります! なかなか外出しづらい情勢ですが、先生方が気分転換に流している音楽や映像があれば教えてください!

 
gazouニュースを見るためにテレビを流していますよ!

 
gazou映像は気になって観てしまうので、うちはもっぱらラジオを流しています。作業の追い込みどきには大好きなハマショーこと浜田省吾さんの曲を聞いて、テンションを上げて頑張るのがルーティンです。

 
gazou音楽はジャズやクラシックが多いです。テンポのいい曲、心を静めるバラード、心燃える熱いアップテンポの曲など、TPOに合わせています。最近は、人生の残り時間を考えて、「少しでも世界の情報を!」と、音楽のほかにも歴史や政治、哲学、宗教、宇宙など、さまざまな番組を耳に入れつつ机に向かっています。

 
gazou自分は音楽だと、ヤバT(=ヤバイTシャツ屋さん)や金爆(=ゴールデンボンバー)、サンボマスターなどを聴いています。『心と体をほぐすCD』というのがあるのですが、これもオススメです!

 
――先生方の個性を感じられますね! 作業環境はどうでしょうか。矢広さんはイスの購入を検討しているんですよね?
 
gazouそうなんです! 先生たちは、どんなイスを使ってらっしゃるのか知りたくて。オススメがあれば教えてください!

 
gazouワタシはね、一般的な事務用チェアを使っていました。壊れたのでデザインチェアに買い替えましたが、それでも5000円くらいの物です。ちゃんと座れればいいので、あまりこだわりはありません。

 
gazou自分もデビューしたときに机と一緒に買ったオフィスチェアをずーっと使っていましたが、そのうち背もたれが取れてしまいまして……。それでも、イスの上でいつもあぐらを描いて仕事しているので、背もたれがなくてもいいかと30年近く使い続けていました。ただ、数年前に新しいイスに買い換えて、数十年ぶりに背もたれにもたれたら、こんなにもラクなものだったのかと衝撃を受けました(笑)。

 
gazou同じく、オフィスで使われているような一般的なイスです。ただ、背もたれが大きいので寝てしまいます。

 
gazouうとうときますよね〜。自分も長時間座ることが多いので、背もたれの深い、腰に良さそうなタイプを選んでいます。「Gゼロクッション」というイス用のクッションを使っていますが、これがいいんですよ!

 
――Gゼロクッションですか! メモメモ……。ほかにも、作業をする上でのお役立ちツールなどがあれば、受賞者のみなさんに教えてあげてください!!
 
gazou4つあります。アップの人物の線を描くときに便利な「耐水性のふでペン」。インクが紙までにじまない「溝の深い定規」。画鋲を簡単に刺せて集中線が引きやすい「机に敷くゴムマット」。カスが出ずに机が汚れにくくなる「ねり消し」です。ぜんぶアナログです(汗)。

 
gazou自分がアナログで描いていたときは「墨液ぺんてる筆(中字)」を愛用していました。水に流れないのはもちろん、ベタやいろんな効果を描くのに重宝していました。デジタルになってからは、iPad Proが重宝しています。ネームはもっぱらこれですし、カラー扉を描くこともあります。iPad Proを使うようになってからは、仕事場に行かないで、いつも家のリビングでネームを描いています。

 
gazouワタシはせいぜい、紙と鉛筆と消しゴム。あとは、ペンとインクくらいです(笑)。

 

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