【大塚角満のゲームを語る】第38回 これならおじさんも超人に! 『スペルブレイク』楽しい!


 
 オンライン対戦ゲームに何の抵抗もない少年少女、ゲーマーの皆さんには笑われてしまうと思うのだが、人間って歳を取るごとに保守的になって、新しいことになかなか踏み出せなくなるのよ(苦笑)。
 
 とくに、他人との関りが少なからず存在する作業。
 
 さらに言うなら、明らかに自分の実力が劣っていてほかの参加者に迷惑をかけてしまうかも……と、1ミクロンでも思ってしまう事象に対しては、
 
 「あ……。ぼ、僕、そういうのいいです……。ちょっと苦手なんで……^^; あは……^^;」
 
 と、いかにも日本人的な曖昧フェイスとなって、そそくさと撤退してしまう。
 
 俺の場合、不特定多数のプレイヤーと戦ったり、協力したりするゲームに対して、この思いが強い。ヘタなことをして、
 
 「あああああ!!! すすす、すんませーーーん!!>< へっぽこでごめんなさいぃぃぃいいい!!><」
 
 となるのが、怖くて仕方がないのだ。
 
 20代~30代のころは、こんなことはなかった。むしろ積極的に野良(知らない人とオンラインで遊ぶこと)にくり出し、ちょっとチャットしただけで他人と仲良くなって、別のゲームでもいっしょに遊ぶゲーム仲間になったりしていた。俺のライフワークである『モンスターハンター』のプレイ日記、『逆鱗日和』なんて、その集大成みたいな本だしね。
 
 しかしいつの間にか、傷つくことを恐れて保守に走り、いまでは野良で遊ぶことなんてほとんどなくなってしまった。とくに、バトルロワイヤル系と言われるオンライン対戦アクションゲームについてがまさにそう。前回のコラムで書いた『Fall Guys(フォールガイズ)』は特殊だが、“対戦”を全面に出すゲームをほとんど遊ばなくなってしまったのだ。
 
 ……そう、今回紹介する新進気鋭の魔法アクションゲームを除いて。俺もまさかこのトシになって、
 
 「うりゃりゃりゃりゃ~~~!!!www わっはっはああああ!!!www」
 
 なんて大はしゃぎしながらオンライン対戦をするとは思わなかったよ。
 
 そのゲームの名は、『スペルブレイク』! 9月3日より正式サービスがスタートした、Epic Gamesの魔法系バトルロワイヤルゲームだ!!
 

放課後の、空き地の匂い

 
 『スペルブレイク』は簡単に言うと、“超人たちの戦い”である。
 

 
 誰もが子どものころに夢中になったSFアニメや特撮ヒーローの要素をゲームの中にボコっとブチ込み、対戦アクションとして整えた意欲作だ。プレイヤーは広大な空間を自由自在に飛び回りながら、炎やカミナリ、衝撃波やらエネルギー砲やらナントカ波といったド派手な魔法をぶっ放して対戦相手を攻撃する。
 

 
 このスクリーンショットを見ただけで、多くの人が、
 
 「なにこれ! おもしろそう!!」
 
 と、心のうちで眠っていた少年スイッチを押されてしまったことだろう。かつてさんざん夢想した、超能力で空を飛び、くり出すパンチやキックでビルも山も粉々にしてしまう超人たちの戦い……。手からは強烈なエネルギー波を放って遠くの敵も狙い撃ちにし、エレメントを操れば終末的な火球を落とすことも不可能ではない……。現実では不可能とわかっちゃいるけど、せめてゲームの中でくらい、そんな戦いをしてみたいな。
 
 しかし、ハードのスペックや技術の問題もあってか、なかなか理想に沿うようなゲームは登場しなかった。「惜しい!!」と膝を叩きたくなるゲームはたくさんあったけど、厨二なおっさんたちの琴線に触れるレベルのモノは、ついぞ現れなかったのである。
 
 でも……それはもう、過去の話だ。
 
 この『スペルブレイク』こそ、少年たちの夢をそのままゲームに落とし込んだ、正真正銘の超人たちの戦いを具現化したタイトルなのであるよ!!
 

 

 
 フロストボーン、コンジット、パイロマンサー、毒物学者……などなど、特徴的ないくつものクラスの中からプレイヤーキャラを選んだら、その瞬間におっさんも超人だ。広くて美しい箱庭のようなフィールドを駆け巡りながら、Bボタンで浮遊し、各ボタンに割り振られた魔法をバンバン放ってライバルを追い詰める。
 

 
 基本は、コレだけ。もちろん、パワーアップやらエレメントを組み合わせての特大魔法などなど、深く掘り下げる要素もたくさんあるけど、まずは余計なことは考えず、超人たちの世界に身をゆだねてほしい。気が付けばきっと、↓こういうことになっていると思うから。
 
 「うりゃりゃりゃりゃ~~~!!!www わっはっはああああ!!!www」
 
 超人たちの宴に、言葉はいらない。
 
 放課後、みんなで集まった空き地の匂いが、『スペルブレイク』には確かにある。
 
 「“超人ごっこ”な!!」
 
 幼馴染の誰かが叫んだ声が、聞こえた気がした。

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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