【大塚角満のゲームを語る】第69回 ダラダラ遊ぶのにピッタリな『ルーンファクトリー5』でダラける

セカンドライフゲーの王道だけど

 多くのゲーム好きがそうだと思うが、ソフトの発売スケジュールを見ながら“今後のゲームライフプラン”を立てているときのワクワク感って、ちょっと筆舌に尽くしがたいものがあると思う。

 広くは、向こう1年くらいの発売予定表を見て一喜一憂する瞬間。

 「これ……2021年夏発売予定ってなってるけど、“夏の定義は人それぞれ”とか言って、限界まで延びる気がするわ……w」

 なんて、ひとりでグチグチと言っている瞬間すら楽しい。

 また狭義では、直近の1、2ヵ月のうちに発売予定となっているソフトのランナップを眺めて、

 「日付まで出ているゲームは、さすがに予定通り出るだろうな! 楽しみだなあ!!」

 と、より具体性のあるヨロコビに打ち震えたりする。

 今回テーマとするソフトが発売されたのは2021年5月20日なのだが、具体的な発売日が発表されたのは2020年10月28日だった。ゲームソフトにしては珍しく7ヵ月も前に発売日が公表されたのである。

 その発表を受けてたことで、俺はじつに7ヵ月ものあいだ、前述の“待つヨロコビ”を堪能することができた。

 まあこれ、別の見方をすれば“7ヵ月もおあずけを喰らっている”ということにもなるんだけど(苦笑)、

 「5月20日になれば、確実に発売されるんだ!!」

 という確信が力となり、俺は焦れることなく粛々とその日が来るのを待つことができたのであった。

 前置きが長くなったが、今回レビューを書くのはマーベラスから5月20日に発売されたNintendo Switch用ソフト『ルーンファクトリー5』であります!!

 他メディアで1週間ほどプレイ日記をしたためていたのでお読みになった方もいるかと思うけど、約3週間ほど遊んだ現在の心境などもここに綴りたいと思います。

作り込まれたアクションがいい!

 そんな、発売の半年以上前からプレイをするのを楽しみにしていた……と言いながら、じつは俺、この伝統あるセカンドライフ系アクションRPGシリーズをプレイするのって、今回が初めてであった。

 よって、シリーズならではの約束事とか用語とかノウハウをまったく持ち合わせておらず、プレイ前は若干ながら緊張すらしていたんだけど、公式サイトに書かれていた以下の文言を読んだことで、安心してゲーム世界に入っていくことができたのである。

 そこには、↓こんなことが書かれておりました。

 「『ルーンファクトリー』は、どの作品もそれぞれ新しい舞台と新しい物語。今作でシリーズをはじめてプレイするひとにもおすすめです」

 ほーーー!!w これはちょっと意外だった!!

 コアなファンを多数抱えるシリーズなので、一見さんお断り……ってくらいのハードルがあるかと構えていたんだけど、スタンス的には、

 「余計なことは考えなくていいから、とっととリグバース(ゲームの舞台となる町ね)に移住してきなさい!!」

 ↑こんな感じらしいw ありがたやありがたや。

 というわけで、安心してゲームを始めたわけだけど……!

 さわりをプレイしただけで、俺はポンとヒザを叩いてしまったよ。

 「こういう、どこか牧歌的でのんびりした雰囲気のゲーム……やっぱ好きだなぁwww」

 ってね。

 『ルーンファクトリー5』はアクションRPGではあるが、シリーズ1作目から自由度の高さをウリにしているだけあって、基本的にはプレイヤーの裁量次第で“好きなように”遊んでいい造りになっている。

 たとえば、農作業に精を出したり。

 季節のイベントに、徹底的にコミットしたりw

 ダンジョン探索を中心に活動したり。

 指名手配モンスターを捕まえることに命を賭してみたり。

 そして……恋愛街道を驀進して青春を取り戻したり……w

 もちろん、序盤はチュートリアルもかねたお遣いや、町の人から仰せつかる依頼をこなしてできることを増やしたりていく……という作業も並行して行う必要はある。

 でも、そんなお仕事すらもいい感じに世界観に溶け込ませてくれているので、いわゆる“作業感”を感じることはほとんどない。リアル世界の日々の生活のような、

 「今日はコレができたから、明日はもうちょっと難しいことをやってみようかな!」

 なんていう成長の喜びを、ゲームの中でもしっかりと体験できるようなデザインになっている。

 でも、こういった“なんでもできる系”のゲームって、ともすれば器用貧乏に陥って、ひとつひとつの要素(アクションとかシミュレーション要素とか)が中途半端になってしまう例も少なくない。

 とくにバトルに関しては、ただ武器を振り回すだけの、とってつけたようなものになっていたらイヤだなぁ……と懸念していたんだけど、これが……!

 めちゃくちゃ快適なアクションバトルになっていて、武器や魔法をブン回しているだけで楽しいのなんの!!ww これだけテンポのいい立ち回りができるなら、戦闘を生活の中心に据えたプレイスタイルでも十分に元は取れると思うよ。

 いまだ終わらぬコロナ禍で、外出やレジャーを自粛している人も多いと思うけど(俺もそう)、そんな方への一服の清涼剤として、『ルーンファクトリー5』を激しくオススメしたい。

 ゲームの中だけでも外に出て(なんか矛盾してるけど^^;)、釣りに農業に人々とのコミュニケーションにと、“いまできないこと”を堪能してほしいと思いました!

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。