【トッププレイヤー イカすガチ対談マッチ!!新春特別企画】あとばる×『今際の国のアリス』作者・麻生羽呂スペシャル対談~2~! 「パターンを自分の中に見つけていくとよりレベルアップできる」

トッププレイヤー イカすガチ対談マッチ!!
【あとばる×麻生羽呂 第2回】

あとばる選手×漫画家・麻生先生による対談の第2回目。

今回は麻生先生からのより具体的な悩みについて、あとばる選手がアドバイス。同じような悩みを持っている人もきっと多いはずなので、ぜひ参考にしてみよう!

 

あとばる
驚異的なエイム力を持つカリスマプレーヤー。「第2回スプラトゥーン甲子園」では、不利な状況から相手を次々と倒す神がかり的なプレーを連発し、優勝に大きく貢献。H3リールガンの名手としても知られ、彼の影響でH3リールガンを使い始めたプレーヤーも多いとか。おもな実績は「第2回スプラトゥーン甲子園」優勝、「第4回スプラトゥ-ン甲子園オンライン代表決定トーナメント」優勝など。チーム・よしもとゲーミング カラマリ所属。
Twitter:https://twitter.com/Atobaru_ika
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麻生羽呂
実写化・アニメ化もされた『今際の国のアリス』や『月刊サンデーGX』で連載中の『ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』などの作品を手掛ける人気漫画家であると同時に、『スプラトゥーン2』の大ファンとしても知られ、40代という年齢ながら徹底したやり込みによって全ルールでウデマエXに到達。ルールの分析に基づいたブキ選びや自身のプレイを動画に撮っての検証など、『スプラトゥーン2』に対するその取り組み方はまさに”ガチ”。漫画家界でも屈指の”スプラトゥーン愛”を持つプレイヤーだ。
Twitter:https://twitter.com/asoharoo

打開で味方の足並みが揃わない場合に自分が取るべき選択は?

麻生:最近、やっていてどうしたらいいんだろうとよく思うことが、特にエリアとかって基本は打開ゲーじゃないですか。
あとばる:そうですね。
麻生:いかに全員で確実に打開するか、そこの足並みのウェイトがすごく大きい。にも関わらず、人数不利の状況でひとりで前に突っ込んでやられて、冷静さを失って2人目も飛び込んでやられて、という感じでずっと人数不利が続いたときに、自分のできる選択肢としてはなにをしたらいいのかなと思って。
あとばる:そうなったら味方は捨て置くしかないですね。そういうプレイをする時点で味方はもう冷静な判断力がなくなっちゃっているので、全員が足並みを揃えるとかもうできないんですよ。
麻生:もう取り乱しちゃっていますよね。
あとばる:正常な思考じゃないというか。いつもそういうプレイをしているわけじゃないと思うんですけど、なんらかの要因でもう正常ではないので、そうなったらもう自分が2人分の働きをするしかないです。わかりやすいのは相手を倒すことなんですけど、当然まともに行っても刺さらないので裏取りを狙う。
 要は突っ込んでいっている味方がいるってことは、そこに敵の意識が向くということなので、裏取りとかそういういやらしい動きが刺さりやすい状況ではあるんですよ。
麻生:やっぱり変化球で行くしかないってことですよね。
あとばる:変化球で行くしかないですね。全員でスペシャルを溜めて足並みを揃えるのがストレートな打開なので、それができないとなったら変化球を投げるしかない。
麻生:それは、わかばシューターでも裏取りして1人、2人は落とすくらいのつもりでやるべきですか?
あとばる:そうです。エリアだったら、エリアを塗って止めて、敵陣の方まで行って相手を引っ張る。そうすると、仮に相手を倒せなくても味方の前線のラインでの敵との対面がトントンになるので。
麻生:2人のヘイトを買えば3対3ということですね。今日もムツゴ楼のエリアで、盤面が相手のインクで染まっているのに中央からも下からも味方がどんどん降りて行って案の定やられていて、「これ、俺のできることってなにがあるんだろう」ってちょっと絶望したんですよ。

 

 

あとばる:味方も「ここで、敵を落とさなきゃ」ってので無理やり突っ込んで行っちゃっている節もあるとは思うんですけど、そもそもムツゴ楼は打開が難しいステージではあるので、しょうがない面もありますね。実際、味方との連携が取れていないというだけで負けるゲームではあるので。
麻生:そうですよね。だから自分がちゃんとベストを尽くせたかどうかはメンタル維持の基準にはしています。
あとばる:そうですね。自分がやるべきことをやっているなら、負けてもある程度割り切れるとは思うので。もちろん、それでずっと負けが続くようだったら、自分の動きが悪いのかなと見直す必要はありますけど。
麻生:自分がずれている可能性があるってことなんですね。
あとばる:そうですね。そのためにも試合ごとの分析は大事ですね。

 

Xパワーが伸び悩んでいる人はなにが足りない?

麻生:Xパワー2200くらいで伸び悩んでいるんですけど、こういう人が足りていない目線ってなんだと思いますか?
あとばる:麻生先生はけっこう見えている方だとは思うんですけど、Xに到達してから上に行けない人って、画面から情報を得る量が少ないのかなとは感じますね。
麻生:画面から情報?
あとばる:たとえば、上のイカアイコンを見て人数差を把握するとか、イカアイコンのブキ種を見てどのスペシャルが溜まっているかとか、マップをこまめに開いて敵の裏取りを確認するとか、そういう意識的に見ないと自分の中に入ってこない情報ってたくさんあって、それを見ることで戦況の把握ができるようになる。
 なぜ戦況の把握が必要なのかというと、攻めるタイミング、防衛のタイミングがそれだけでわかるんですね。ただ、ここまでの話を聞いている感じだと、攻めるタイミングとかはしっかり理解できていらっしゃるので、麻生先生にはあまり当てはまらないかもしれないですけど。

 

 

麻生:なるほど。後ろから戦況を把握するような立ち位置なので、人数有利・不利は染み付くようにはなりましたけど、裏取りされているかのマップをどれくらい開くかとか、スペシャルも毎回全部意識できるかと言ったら、ちょっと足りていない自覚がありますね。正直、そこまで処理していると40代の頭ではパンクしそうな感はあって(笑)。
あとばる:わかばシューターだと、スペシャルがインクアーマーじゃないですか。インクアーマーって各スペシャルのカウンターになり得るスペシャルで、意識しておくべき相手の核となるスペシャルってのが絶対にあるんですよ。たとえば他の3人が全員スーパーチャクチだけど、1人だけハイパープレッサーみたいな編成だと、やっぱりハイパープレッサーが核になるんですね。
麻生:それが起点になるわけですね。
あとばる:そこに返すという意識がやっぱり大事になってくるので、上のイカアイコンが見えているとインクアーマーブキとしては仕事がしやすいと思います。
麻生:ずっとスペシャルを把握するまでは難しいんですけど、一応向こうが打開を仕掛けてきそうなタイミング、人数が揃って、スペシャルもそろそろ溜まって、「さあ行くぞ」と向こうが思う瞬間に吐くようにはしています。
あとばる:それができているのは素晴らしいですね。
麻生:「さあやるぞ」ってときに「ちょっと待ってよ」と言われたら一番嫌じゃないですか。その感覚で吐くようにはしていますけど、編成を見てどのスペシャルが起点かとかまでは流石にまだ処理が追いついていないかもしれないです。
あとばる:より応用していくと、あえてアーマーを吐かないという選択肢も入ってくるんですよ。
麻生:このスペシャルが出るまでは吐かないとか?
あとばる:そうですね。たとえばマルチミサイルにインクアーマーを返しても割られちゃうだけなので、マルチミサイルが来たら相手の打開なんだけど着弾を待ってから吐くとか、あとは味方にローラーがいて敵陣の奥でセンプクしているときにアーマーをつけちゃうと位置がバレちゃうので、あえてアーマーを吐かずに待ったりとか。
 上のアイコンの情報をしっかり把握することで、その辺の選択肢もうまく使えるようになるんですよ。
麻生:もう1段階上の細かいタイミングですね。むちゃくちゃ勉強になります! あと、バブルランチャーを吐かれる打開が苦手で、対処法が自分の中でできていないんですけど……。

 

 

あとばる:バブルランチャーって無敵に見えるんですけど、セットアップをしなきゃいけないという弱点があって。たとえば、エリアにバブルを吐くんだったら、エリアの手前までプレイヤー本人が行かないとバブルが効果的に吐けない。なので、優先度としては相手にそのポジションをとらせないことが大事で、わかばシューターだったらスプラッシュボムを投げて入らせないというのが効果的になってくると思います。
麻生:何人か見る敵がいたとしても、防衛のときは優先的にバブルブキを警戒する意識も必要なんでしょうか?
あとばる:そうですね。ガチマッチにおいてバブルランチャーって非常に強力で、さっきのスペシャルの核の話でいうと起点になるスペシャルなので。でも入られてしまったら、そこはラインを退かざるを得ないですね。
麻生:撃たれる前にバブルブキをしっかり警戒するという意識は、いまひとつ増えました。
あとばる:セットアップされると対処のしようがほとんどないので、そうさせないことが大事ですね。
麻生:ナイスダマについてはどうでしょうか? これは遠くから投げてきますよね。
あとばる:ナイスダマに関しては、投げている本人はその間はラインを上げられないという弱点があるんですよ。かつ、ナイスダマ自体は塗りはそんなに強くないので、わかばシューターだったら塗り合いをすることでほぼ無効化できると思います。

 

▲ナイスダマを発動した本人はナイスを溜めている間は動くことができないため、味方のフォローがないと打開につながりにくいという弱点がある。

 

麻生:ナイスダマに合わせて相手が1人、2人上がって塗りに来ていた場合はどうするのがいいですかね?
あとばる:それは1人で対処することではないので、味方を呼ぶとか、あるいは麻生先生がエリアを塗り合う選択して3人のヘイトを買うことで、その間に味方が敵を倒してくれるのを期待するしかないですね。それで味方が敵を倒せなかったんだったらもうそれは、「自分はやることはやった」ってやつですね。
麻生:確かにそこは任せるしかないですね。
あとばる:とはいえ、相手がエリアにスペシャルのリソースを使ってくれる分にはそんなに悪くないんですよ。エリアにおいて完全に打開される状況って味方が落とされてしまうことなので、味方が全員生き残っているならむしろチャンスになるというか。
麻生:エリアを取られたとしても、こっちは敵のスペシャルをひとつ使わせたくらいの感じでいいってことなんですか?
あとばる:そうですね。解説とかだと「受け流す」っていうんですけど、あえてエリアを取らせるという戦略もあって。相手がエリアにリソースを注いで無理矢理取りに来たあとって、相手はスペシャルを使い切って対抗手段がないので、それに対してこちらがスペシャルを返すことで、ペナルティカウントはついちゃうんですけど、結果的に相手の打開を潰していることになるんですね。
麻生:そんな選択肢があるんですね。
あとばる:あえて取らせるというと変なんですけど、相手がエリアにリソースを注いでくれるんだったら、無理にエリアの取り合いをせず、確実に4人が生き残ってすぐに取り返すみたいな。
麻生:わー、なんかすげぇ。今、自分自身どんどん成長している実感があります。もっと選択肢を知れば、まだできることはありそうですね。
あとばる:そうですね。だから、わかばシューターはエリアを塗り返すって行為だけでも強いんですけど、その中にも塗りあっているだけで強いパターンと、あえて姿を隠すことでアドバンテージを取るパターンがあるので、その辺は経験でどんどんパターンを自分の中に見つけていくとよりレベルアップできるのかなと。
麻生:まだまだ細かい判断基準がいっぱいあるんですね。
あとばる:それがまた塗り状況とか編成によって変わるので難しいんですけど、でも麻生先生は土台ができているので、すぐ応用できると思います。
麻生:いや、ダメですよ。褒められると調子に乗っちゃうので(笑)。
あとばる:いや、トッププレイヤーでもなかなかここまで綺麗に語れる人って、そんなに多くないですよ。
麻生:自分は立ち回りとかエイムとかに自信がない分、そういうところで補おうとして上がってきているからかもしれないですね。もっと感覚とかセンスだけでガンガン上がれる人は、細かい言語化ができなくても問題がないのかもしれないですし。あとばるさんは分析して理論的になるべく動くタイプなんですか?
あとばる:どうなんですかね。試合中は感覚で動いているんですけど、その感覚を一応自分の中で説明できるタイプというか。
麻生:無意識でやっているけど、ちゃんと理論があってそのときはそうしているという感じなんですか。
あとばる:そうです。なので、どちらかというと理論派ではあるんですけど、自分の中の感覚だと理論で動いていないというか。
麻生:さっきのエリアのアドバイスを聞いただけでも全部言語化できるってことは、状況についてちゃんとした論理を持っているということですもんね。
あとばる:だといいんですけど。
麻生:いや、今日はめちゃめちゃ勉強にしかなっていないです。
あとばる:そう言ってもらえると嬉しいです。

 

【今回のまとめ】
・打開で味方が突っ込んでいっているときは、ワンチャン裏取りを狙え!
・上手くなりたいならイカアイコンやマップからしっかりと情報を得るべし!
・相手がエリアにスペシャルのリソースを使ってくれる分にはそんなに悪くない!

 

次回は安定したプレイに欠かせないメンタル面について、ふたりに熱く語ってもらうぞ。次回もお楽しみに!

 

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次回は1/18(火)更新!!