【デュエマ】ZweiLanceのDMゼミナール vol.2 ~パラレル・マスターズ編~

By ZweiLance

 コロコロオンライン読者の皆さん、新人デュエル・マスターズ (DM) 講師のZweiLance (ツヴァイランス) だ!!

 さて前回パイロット版として行った新企画、『ZweiLanceのDMゼミナール』の本編が遂に開幕。

 この企画では新弾の要注目カードを、講師役である僕が全力でプレゼンしていく『新カード風林火山』のパワーアップ版だ。

 今回からは「DMの新商品」と「ガチ対戦環境」の関連性をテーマに、より実戦向けの講義を行っていく。

 さて今回講義するのは『20周年超感謝メモリアルパック 裏の章 パラレル・マスターズ』

 DMの常識をひっくり返すような新ギミックの数々。一つずつ紐解いていこう!

 今回のパラレル・マスターズを理解していくにあたって、重要になってくるのがアドバンス・フォーマットの存在

 前回はメインのデッキ40枚のみで戦うオリジナル・フォーマットについて深掘りしたが、今回は超次元や超GRなど、外部ゾーンを使った遊び方をプッシュするパックとなっている。

 おさらいだが、《伝説の禁断 ドキンダムX》や《零龍》など、ゲーム開始前から設置するタイプのカードは、全てアドバンスフォーマットでのみ使えるギミックだ。

 環境目線で見たアドバンス・フォーマット最大の特徴、それはフィニッシャーやリソース (手札やマナなど選択肢を広げるカード) を、外部ゾーンで補えることにある。

 メインのデッキ40枚にその全てを収める必要があるオリジナル・フォーマットとは異なり、「外部ゾーンを生かすために作られるメインのデッキ」という構図がスタンダードになってくる。

 それにより選択肢が増え、ゲームが複雑化するという側面もあるが、言い換えればオリジナル・フォーマットでは到底実現できなかったような幅広い戦略を実現することができる。

 そしてそんなアドバンス・フォーマットの象徴とも言えるカードが《とこしえの超人》

▲王来篇第1弾「王星伝説超動」収録、《とこしえの超人》

 超次元、超GRの全てをたった1コストで咎めることができるこのカードは、いたるところで目にすることになる。

 あくまで一例を紹介するが、環境デッキの種類もオリジナル・フォーマット以上に多く、デッキ間でのプレイングの把握がより難しい分、戦術面でより奥深さがあるのが特徴だ。

 まず大注目カードとして挙げられるのが《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター/蒼き覚醒 ドギラゴンX》

 このカードの特徴は何と言っても「入れ得」なところ。

 メインのデッキに新しいカードを採用する際、「既存の何か」を諦めざるをえないのがカードゲームというもの。

 しかしこのカードはその必要がなく、超次元ゾーンに1枚採用しておくだけで良い。まさに「入れ得」なのだ。

 そんな「入れ得」要素に関して代表的なのが《虹速 ザ・ヴェルデ》とのコンボ

▲「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 SSS!! 侵略デッドディザスター」収録、《虹速 ザ・ヴェルデ》

 本来《SSS級天災 デッドダムド》ありきなカードではあったが、《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》の登場により、単体で盤面処理を行うことができるようになったのだ。

 だとすれば、必要に応じて《SSS級天災 デッドダムド》の枚数を”減らす”という選択肢も出てくる。

 超次元ゾーンにあるカードでメインのデッキの自由度が高くなる。そんな例だ。

▲ドラゴン・サーガ「三段変形! 龍解オールスターズ」収録、《爆熱天守 バトライ閣》

 また、《爆熱天守 バトライ閣》を軸とするドラグナーデッキにおいては、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》からいつでも《蒼き覚醒 ドギラゴンX》に「革命チェンジ」することができ、仮にドラゴンがめくれなくても「龍解」に成功する、なんて展開にも。

 そして今現在話題なのが《超救命主 タイヨー》と《音奏 テルミワイ》のコンボ

▲「弩闘×十王超ファイナルウォーズ!!!」収録、《超救命主 タイヨー》
▲超天篇第4弾「超超超天!覚醒ジョギラゴン vs. 零龍卍誕」収録、《音奏 テルミワイ》

 《超救命主 タイヨー》の「マジボンバー」で《音奏 テルミワイ》を踏み倒し、さらに《超救命主 タイヨー》に《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》を4体重ねることでコンボが発動。

 超GRゾーンから《The ジョギラゴン・アバレガン》や《暗黒の騎士ザガーン GR》を召喚し、再び《音奏 テルミワイ》の能力が連鎖して……。

 というように、《轟く覚醒 レッドゾーン・バスター》は何体も同時に「侵略」もできることから、このような面白いコンボも登場している。

 さて、先程の話の中でチラッと登場した新カード《暗黒の騎士ザガーン GR》についても触れておこう。

 何かと話題に挙がっていたクリーチャーだが、遂にGRクリーチャーとなり、2コストから召喚できるクリーチャーとしては破格のスペックとなっている。

 単純なサイズで言えば歴代でもトップクラスで、これまで大型と言われていた《ドドド・ドーピードープ》や《ヘルエグリゴリ-零式》と比べるとデメリットがなく、明らかに強いことが分かる。

 その反面で、《KAMASE-BURN!》や《無修羅デジルムカデ》が活躍していた時代のような、「サイズこそ正義」な環境でもなくなってきているのも事実。

 現在のGRクリーチャーと言えば、効果の即効性であったり、文明とのシナジーが重要視される傾向が非常に強い。

 したがって、こんなとんでもないサイズの脳筋カードも、案外許せちゃったりするのが現在のアドバンス・フォーマットだ。そのサイズが適正かはさておき。

 そしてこのカードと特に相性が良いのが《MANGANO-CASTLE!》

 以前からW・ブレイカー持ちがめくれるかどうかで出力に大きな差が出るカードだったが、単純に当たりが2枚増えたのは相当デカい。

 ただし現在は前述の通り《とこしえの超人》がわんさかいるため、将来的に見直されると思う1枚だ。

 さて、DMというゲームの常識を覆す1枚がこちら、《13番目の計画》

 超次元ゾーンに4枚まで採用することができ、これによりデッキ枚数を45、50、55、60と、自由に変動させられるようになった。

 皆さんもデッキを組む際、「40枚に収まりきらない」という経験が何度もあったはず。

 しかしながら、大会での勝利を見据えた際に、このカードは決して安直に採用すべきカードではない。

 よくメリット・デメリットを整理し、慎重に採用すべきギミックだ。その理由について詳しく解説していく。

 まずデメリットだが、たった一つ。

 ここでは《卍 新世壊 卍》を例に出したが、要は特定のカードを引ける確率は必ず下がる、ということだ。

 単純に分母が40から45や50になるわけだから、当然無作為に引いたときに、お目当てのカードが引き込める確率は下がる。

 《卍 新世壊 卍》はどこまでいっても4枚までしか採用できないのだ。

▲双極篇第4弾「超決戦!バラギアラ!!無敵オラオラ輪廻∞」収録、《卍 新世壊 卍》

 逆にメリットも数多く考えられる。

 一つは山札の枚数を生かした超ロングゲームの実現

 例えばシールドや手札を大量に増やすコンボがあったとしたら、このカードの登場は相当大きな追い風となるだろう。

 一つはグッドスタッフの強化

 先程例に出した水魔導具とは異なり、特定のキーカードに依存せず、引いたカードで臨機応変に戦っていくような、いわゆるグッドスタッフ戦略を取り入れるデッキは、これも強化と言えるだろう。

 分かりやすい例として《天使と悪魔の墳墓》《クリスタル・メモリー》、このあたりは《13番目の計画》との相性が良い。

▲「マスターズ・クロニクル・デッキ ボルメテウス・リターンズ」収録、《天使と悪魔の墳墓》
▲「マスターズ・クロニクル・デッキ ボルメテウス・リターンズ」収録、《クリスタル・メモリー》

 一つは山札切れ対策

 特定のカードを引き込める確率が下がる分、これにより数ターン長くゲームができ、そのターンを勝利に変換できるデッキであれば、採用を検討する必要がある。

 最後に、逆に安定感を上げる力業

 要は増やした枠に安定剤となるカードを大量に入れることで、逆に安定感を上げるという逆転的発想だ。

▲「キングマスタースタートデッキ ジョーのスター進化」収録、《進化設計図》
▲「謎のブラックボックスパック」収録、《エボリューション・エッグ》

 実際にこの考え方を採用し、《進化設計図》や《エボリューション・エッグ》の枚数を増やした《13番目の計画》入りJO退化が大会でも優秀な成績を残し始めており、今後他のデッキにもこういった考え方は応用されるのではないか、と考えている。

 そして何より、まだまだ登場して間もないこのカード。

 これまで20年間かけてユーザーが積み上げたノウハウは通用せず、僕も含め、これから皆で新たなセオリーを開拓していくこととなる。

 「知られていない」ということは、仮に自分だけが答えに辿り着けば、圧倒的に勝てる状況を作り出せる。

 可能性は無限大だ。

 おまけに紹介したのが《極楽鳥》

 現在水闇自然のムゲンクライムデッキに採用され始めており、《桜風妖精ステップル》と異なり、確実に任意の文明を持つ1マナを発生させることができる。

 これが意味するところは《とこしえの超人》の即召喚であったり、《天災 デドダム》などの文明確保だ。序盤の動きに関して一気に確実性が生まれた

 そして「飛行」により除去もされにくく、《桜風妖精ステップル》のような結果的にマナを失うデメリットも発生しにくい。

 加えて任意の文明を発生させられることから、《無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバース》のような、メインデッキで他に存在しない文明を持つフィニッシャーであっても、問題なく採用することができるようになった。

 以上のことから、アドバンス・オリジナル問わず今後様々な使われ方をするだろう。

 以上がアドバンス・フォーマットと紐づけた、パラレル・マスターズの要注目カード解説だ!

 もちろんこれら以外にも面白いカードがたくさん存在しており、僕自身まだまだ開拓できていない部分が多い。

 特に《13番目の計画》に関しては、これからたくさんのセオリーが登場していくと思うと、本当に楽しみで仕方がない。

 またYouTubeにて、これらのスライドを使った講義を実際に行っているので、そちらもあわせて見てくれ!!


ZweiLance:
デュエル・マスターズの超強豪プレイヤーにして、YouTubeの「ZweiLance Channel」でデュエル・マスターズに関するコンテンツを主に配信するYouTuber。『モルトNEXT』『デ・スザーク』『アナカラーデッドダムド』『オカルトアンダケイン』などの名手として知られ、競技デュエマにかける情熱は誰よりも熱い。主な戦績はグランプリ-7th3位入賞、日本一決定戦2018トップ8入賞、日本一決定戦2019出場権をDMPランキング上位枠で獲得など。
 
YouTube「ZweiLance Channel」:
https://www.youtube.com/channel/UCgo6OjaW8C8kghG0SHwMsJA

「ZweiLanceの新カード風林火山」のバックナンバーはこちら

「ZweiLanceのDMゼミナール」のバックナンバーはこちら