ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.18
By ドブフクロウ
みなさんこんにちは、MtGライターのドブフクロウです。
いよいよ『基本セット2020』の全カードプレビューが公開されました! みなさんはもうカードギャラリーを確認しましたか?


毎年夏に発売される『基本セット』はその名に違わずマジック入門者にも分かりやすいキーワード能力やカードが収録されるのが通例でしたが、ここ数年は徐々にそういった暗黙のルールも撤廃されたのか、マジック上級者も唸るようなトリッキーなカードも収録されるようになってきました。
特に《苦悶の権化》はおもしろいですね。「異なるマナ・コスト」を参照するカードと言うのはもしかして歴史上初なのでは……? 雑に3ターン目にプレイするタイプのカードではなさそうですが、グダったときに6/6や7/7などの超サイズで登場する可能性も無きにしも非ず。これまで10ターン目くらいに雑にプレイされた《破滅を囁くもの》に煮え湯を飲まされてきたことか……
特に今回は対抗色の《神殿》サイクルが再録されますし、スタンダードのゲームスピードも若干ゆっくりになるかもしれませんしね。環境がどのように変化していくのか楽しみなところです。
さて。『基本セット2020』の話も気になるところではありますが、今週はアメリカはテキサス州ダラス・フォートワースから大会の結果を見ていきましょう!
マジックフェスト・ダラス・フォートワース2019
マジックフェスト・ダラス・フォートワース2019は『モダンホライゾン』発売後に開催された初となるモダンの大型トーナメントです。

『モダンホライゾン』によって様々なデッキが超強化されましたが、中でもvol.16でもお伝えした《甦る死滅都市、ホガーク》入りの墓地利用デッキ、「ホガークヴァイン」はトップ64に18名も進出する(およそ28%)など、勝率は頭一つ抜けていたようです。
There’s a new sheriff in town, and you can’t spend mana to cast them – Hogaak takes down the Friday MCQ at #MTGDFW! Here’s the breakdown of the top 64, and the top 8 decklists in the thread:
Tune into coverage tomorrow from 9am at https://t.co/nPJgeZqoUt pic.twitter.com/fSGy8wK02O— ChannelFireball (@ChannelFireball) 2019年6月29日
そんな中で優勝を収めたのは、墓地利用系デッキに対して強力なサイドカードを持ち合わせている「白青コントロール」でした。
白青コントロール(使用者:オースティン・バルサヴィッチ選手) | |
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枚数 | カード名(メインボード) |
4 | 《溢れかえる岸辺》 |
3 | 《天界の列柱》 |
1 | 《汚染された三角州》 |
4 | 《廃墟の地》 |
2 | 《神聖なる泉》 |
2 | 《氷河の城砦》 |
6 | 《冠雪の島》 |
2 | 《冠雪の平地》 |
4 | 《瞬唱の魔道士》 |
1 | 《ヴェンディリオン三人衆》 |
3 | 《覆いを割く者、ナーセット》 |
2 | 《精神を刻む者、ジェイス》 |
2 | 《時を解す者、テフェリー》 |
1 | 《ドミナリアの英雄、テフェリー》 |
3 | 《謎めいた命令》 |
2 | 《否定の力》 |
1 | 《マナ漏出》 |
4 | 《選択》 |
4 | 《流刑への道》 |
2 | 《外科的摘出》 |
1 | 《呪文嵌め》 |
1 | 《至高の評決》 |
1 | 《機を見た援軍》 |
1 | 《神の怒り》 |
1 | 《失脚》 |
1 | 《拘留の宝球》 |
1 | 《論理の結び目》 |
枚数 | カード名(サイドボード) |
4 | 《安らかなる眠り》 |
2 | 《天界の粛清》 |
1 | 《悪斬の天使》 |
1 | 《軽蔑的な一撃》 |
1 | 《ドビンの拒否権》 |
1 | 《否定の力》 |
1 | 《僧院の導師》 |
1 | 《石のような静寂》 |
1 | 《至高の評決》 |
1 | 《機を見た援軍》 |
1 | 《ヴェンディリオン三人衆》 |
白青コントロールは白の持つ強力な全体除去呪文やパーマネント除去、青の持つドロー呪文とカウンター呪文を組み合わせた古典的なコントロールデッキです。大昔からマジックで白青のデッキといえばコントロールの色の組み合わせで、マジックの歴史上初となる世界選手権でも白青を貴重としたコントロールデッキが活躍していました(※当時優勝したデッキ「宝石箱」では緑も使われていましたが)。
「ゲームスピードが早く、かつ多様なデッキとの対戦を想定しなくてはならないモダンではコントロールデッキは成立しづらい」これは数年前までモダンフォーマットの通説でした。しかし、度重なる禁止改定や新カードの加入により、そんな常識は完全に過去のものとなっています。


▲モダン界を塗り替えたと噂の悪名高きダブルハゲ、《テフェリー》(※剃ってるだけでハゲてはいない)
《テフェリー》はもちろん《精神を刻む者、ジェイス》や新顔の《覆いを割く者、ナーセット》など、モダンの白青コントロールはアドバンテージ源兼対戦相手の動きを阻害する強力なカードに恵まれてきて、ついに「白青コントロール」は名実ともにモダン環境のトップメタとなりました。
流行りの「ホガークヴァイン」に対してもメインボードから鬼のごとく追放除去が飛び、サイドボード後はさらに4枚の《安らかなる眠り》が墓地利用を邪魔します。

「ホガークヴァイン」はキルスピードの速さやデッキの挙動の安定感から禁止候補筆頭と噂されていますが、案外対策すればなんとかなるのかも……? 現時点ではなんとも言えませんが、ともかく環境最強デッキと目される「ホガークヴァイン」とも渡り合える「白青コントロール」は今後の有力株として注目を集めることになりそうです!
ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。
MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。
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