【集中連載】今明かされる『怪盗ジョーカー』衝撃のキャラクター制作秘話! 作者・たかはしひでやす先生に直撃インタビュー!


コロコロコミックで絶賛連載中の『怪盗少年ジョーカーズ』最新第4巻が、8月28日(水)発売!
 
新刊発売を記念して、コロコロオンラインでは作者であるたかはしひでやす先生へ行った直撃インタビューを全3回で掲載!!
 
第2回では、今も多くのファンから支持されている『怪盗ジョーカー』の話を聞いてみたぞ!!
 

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人気キャラクターの誕生秘話が明かされる!

――『怪盗ジョーカー』が生まれるまでの経緯を教えてください。
たかはし:担当さんと相談して、とりあえず「”怪盗もの”でいこう」と決まったときに、ふと『ルパン三世』が浮かんだんです。そして、子どもっぽいルパン三世はどうかなと思って、話を考え出しました。で、主人公に赤いスーツを着せることや、飄々としていることなどはわりと早く決まったんですけど、主人公だけ格好つけてもイマイチ締まらない。そこで主人公の隣で、常に「すごーい!」「そんな無茶するなんて!」とツッコむ友だちキャラを作ろうと思ったんです。
 
最初は女の子にしようと考えていましたが、なんかしっくり来なくて、男の子に。そして、怪盗と忍者の組み合わせは今までなくて良いなと思って、ハチというキャラクターが生まれました。ハチが生まれたことで、やっとジョーカーを動かせるようになったと思っています。
 
――ハチの存在がジョーカーを際立たせたわけですね。ハチとジョーカーの関係は、どのようなものでしょうか?
たかはし:『ドラえもん』のドラえもんとのび太を逆転する……というか、変化させた感じですね。ジョーカーが超有能なのび太で、普段はサボり癖があってだらしない性格だけど能力は超優秀。逆にハチはドラえもんみたいに優しくて面倒見が良いけど、ひみつ道具みたいな物がないからあまり役に立たない動きをする。こんなイメージで、自分のなかで楽しんでいました。
 


▲ジョーカーの助手として、常に隣で活躍する忍者・ハチ。

 
――ジョーカー、ハチ以外にも魅力的なキャラクターが多く登場した『怪盗ジョーカー』ですが、それぞれの特徴や誕生秘話などについて教えてください。まずはジョーカーの師匠であるシルバーハートから。
たかはし:弟子が師匠に対してズケズケと文句も言い合えるような仲なんだけど、実は尊敬している感じの関係性をやりたかったんです。似た者同士だからこそ喧嘩口調になるけど、お互いにわかり合ってるという感じがいいなと思って、シルバーハートが生まれました。きっとジョーカーがおじいちゃんになったら、シルバーハートにそっくりな性格になると思います(笑)。
 
――次はスペードについて教えてください。
たかはし:ジョーカーは格好つけるときもありますが、普段はわりと気持ちを全面を出す、思ったことをすぐに口に出すキャラです。その対象的な相手を考えたときに、クールで無表情、無口というスペードの性格的な部分が形作られました。また、ジョーカーが男の子っぽいのに対して、スペードは髪が長く女性的という、あらゆる面でジョーカーとは正反対の要素を持たせました。だからお互い仲が悪いですね。
 
――同じくライバルのシャドウ・ジョーカーについて教えてください。
たかはし:よくあるパターンかもしれませんが、主人公の偽物という立ち位置です。今だから言えますが、登場した当初は妹がいるとか、こういう過去を背負っているとかまったく考えていませんでした。だから、ジョーカーのクローンやサイボークなんて設定も考えていましたが、同じ時期に連載していた『メタルファイト ベイブレード』でクローン人間が出てきた瞬間、その設定はやめることにしました(笑)。そこから、シャドウ・ジョーカーの過去の話を考えて、現在の形になったという感じです。
 
――フェニックスはいかがでしょうか。
たかはし:フェニックスは、わりと設定をぼんやりとしたまま作ってしまった部分があります。初登場時は怪盗という正体を隠し、推理物っぽい殺人事件の容疑者の一人として登場させました。最終的に犯人ではなく怪盗でしたと流れにして、次に引くという変化球を使ったんですが、次の話で怪盗なのに野球対決をするという話を描いたら人気がガクーンと落ちまして……。そんな経緯があって、動かし方が明確になるまでしばらく寝かせておくことにしました。
 
――最後にダイヤモンド・クイーンについて教えてください。
たかはし:修行回のときに、ジョーカーとスペードのほかに、女の子の後ろ姿をチラッと見せていたので「いつか出さないとなぁ」と思っていたんです。そこでどんなキャラにするか考えたときに、ジョーカーやスペードはトリックや頭を使うキャラだから、逆に力で解決するような子にしようと思って、剣を持たせました。あと、最初から仲間として出すよりも、敵として登場して、後から仲間にしたほうがドラマチックだと考えたんです。その後、宝を盗むのが怪盗だから、逆に宝を壊すキャラにする、じゃあなんで壊すのかという風に考えて形作っていった感じですね。
 
――たかはし先生自身が特にお気に入りのキャラクターは誰でしょうか?
たかはし:やはり、『怪盗ジョーカー』という作品を作り上げたハチですね。彼以外だと、リアリティ面を完全に無視したコマンドー殺子かなと。なんかこう色々と一歩はみ出てしまっているキャラで、そこが良かったです。
 

 
――彼女はどういう経緯で生まれたんですか?
たかはし:『キック・アス2』という映画の影響を受けましたね。マザー・ロシアという物凄い怪力の女性悪役がいまして、彼女を見た瞬間に「まんがでこんなキャラを出してみよう!」となりました。ちなみに、現実でいそうな名前だと同じ名前の子がイジメられる可能性があるので、絶対にいないものにしました。さすがに「殺」という字を使う親はいないだろうと。そんな見た目や設定は超色物ですが、性格は武士道一直線で『怪盗ジョーカー』のなかでは最も男らしい。ブレない正しさや気高さを持ったキャラというイメージを持って生まれました。
 
――では、『怪盗ジョーカー』で特に印象的だったエピソードは何でしょうか。
たかはし:後半のハチが死ぬエピソードですね。たしか、あの時はアニメで登場するのに合わせてフェニックスが活躍する話を描こうとしていました。でも、フェニックスが自分のなかでまだふわふわした存在で、どういう話にするか結構煮詰まっていたんですよ。彼が謎めいた存在であるからこそ、作り手としてもどう動かしていいか分からない。本当に深夜まで編集者さんと打ち合わせをしていて、いよいよ締め切りがヤバイというときに、「ハチが死ぬという話はどうでしょう」という案を頂いたんです。一度死んだハチをフェニックスが生き返らせる。そうするとフェニックスの凄さが際立つし、ハチとジョーカーの関係性も一歩も二歩も進められる。インパクトもありますしね。
 

原作にも影響を与えた愛溢れるアニメ!

――『怪盗ジョーカー』の大きな要素でもあるアニメ化について聞かせてください。まず、アニメ化の話を聞いた時の感想はいかがでしたか?
たかはし:お話を頂いたとき、最初は『おはスタ』内の5分アニメだと思いました。かなり喜んだのを覚えていますが、まさかのガッツリ30分アニメだと聞いて本当に驚いたのを覚えています。しかも、監督が『大長編ドラえもん』でもお馴染みの寺本幸代監督、脚本が『攻殻機動隊』シリーズや『交響詩篇エウレカセブン』の佐藤大さんで。かなり期待できるぞって、かなりテンションが上りましたね。
 
――アニメのスタッフさんたちも『怪盗ジョーカー』に対して愛がある方々とお聞きしています。
たかはし:本当にありがたかったです。よくアニメの打ち合わせや脚本家さんたちとの食事会に呼ばれたとき、作品について良く考えてくれているんだなと、ひしひし伝わってきました。
 
――アニメ化したことで、まんがにもなにか影響はありましたか?
たかはし:逆輸入は結構多いですよ。それこそ飛行船のデザインをそのまま頂いたことがあります。それまで描いていた飛行船は、自分でもちょっと形が丸くてイマイチだと思っていたんですが、アニメオリジナルの形は本当に格好良くて、なおかつ描きやすい形だったんです。そこで思い切って今までの飛行船を破壊して、アニメの新型飛行船を使わせて頂きました。
 
あと、細かい話になりますが、スペードが持っている銃のデザインもアニメから頂きました。ほかにも、スペードのトサカ部分をいじるネタを見たあと、まんがでも急にいじりだしたとか、アニメでミスター金有の出番が増えてたからまんがでも急に出番が増えたりとか(笑)。
 
――様々な影響があったんですね。では、キャラクターの声のイメージはいかがでしたか?
たかはし:みんなイメージぴったりで、特にジョーカーの声には驚きました。それまで脳内では格好良い声を出せる女性声優さんが演じるんだろうなと思っていたんですが、いざ男性の村瀬歩さんの声を聞いて、高いんだけど独特のトーンで、しかも個性があることにびっくりして、予想していた一段も二段も良い声の方が来てくれたと思いました。
 
――では、アニメについては最後の質問です。アニメで特にお気に入りのエピソードについて教えてください。
たかはし:結構迷いますね……。いくつか挙げるとすれば、まず第一話の見どころの詰め込み具合が好きですね。金有の屋敷のエピソードだけでも十分なのに、そのあとのカーチェイスからの飛行船が飛び出すという流れが非常に良かったです。
 
ほかには、ジョーカーとシャドウ・ジョーカーが江戸時代にタイムスリップする話では、絵のクオリティがグーンと上がったのを覚えています。たしか、あのときはキャラクターデザインのしもがさ美穂さんの旦那様でもある、アニメーターの山下明彦さんが、ほぼひとりで絵コンテを担当されたんですよ。全カットにわたって「いい作品にしよう」という想いが詰まっていると感じられました。あっ、脚本家さんが作ってくれたオリジナル回「スカイ・ジョーカー危機一髪!」も好きです。ジョーカー、スペード、クイーンの掛け合いがとても面白く、キャラらしさをしっかり描いたギャグ全開の話が凄く良かったですね。
 


 
次回は『怪盗少年ジョーカーズ』の制作秘話を中心に、キャラクターの魅力に迫る! さらに、直筆サイン色紙のプレゼント企画も実施!! お楽しみに!!
 
なお、アニメ『怪盗ジョーカー』のアニメ監督・寺本幸代さん、キャラクターデザイン・しもがさ美穂さん、漫画家・相原実貴さんによるスペシャル座談会記事はコチラ!!
 

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作品概要
『怪盗少年 ジョーカーズ 4』
■作者:たかはしひでやす
■定価:454円+税
■発売日:2019年8月28日
■判型:新書判
■頁:192頁
■詳細:https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091430496