『PCエンジン mini』発売カウントダウン! ~待ちきれないのでPCエンジン(実機)でオススメゲームを紹介!〜第5回『天外魔境Ⅱ 卍MARU』

キャラクターたちが彩る壮大なドラマ

『天外魔境Ⅱ 卍MARU』は主人公たちは“火の一族”の末裔という使命から敵である“根の一族”に立ち向かっていく。その背景に暗い部分もあれば、そう感じさせない活気に満ちた性格がプレイをしていて楽しい。
 

イタズラ好きだが、心根の優しいガキ大将、戦国卍丸

本作の主人公、卍丸は子どもたちに慕われるガキ大将だったが、“暗黒ラン”の出現、そして、母親が攫われてしまったことをきっかけに“根の一族”に立ち向かっていく。序盤で母親を助け出した卍丸は「自分が火の一族の末裔」であることを知り、ジパングの平和を取り戻すために旅立つ。
 
声優を務めるのは伊倉一恵さん。卍丸はゲーム中数えるほどしかしゃべらないが、物語の終盤でのセリフは印象深い。
 
故郷を旅立つ際に流れる「卍丸のテーマ」はこれから広大な世界に旅立つ高揚感と敵に立ち向かう勇壮感が湧き上がる名曲だ。
 

派手好き、女好きの伊達男、カブキ団十郎

“火の一族”の末裔ながら、その使命感は薄く、派手好きで女好きという二枚目半なキャラクター。登場も女神輿に乗って、卍丸の前に現れるという派手派手な登場であった。目立ちたがり屋なために卍丸を出し抜こうとパーティを離れることも。しかし、情に厚いところもあり、終盤では“根の一族”に対する怒りをあらわにするシーンが印象的。声優を務めるのは山口勝平さん。
 
ちなみにカブキ団十郎は本作の外伝的作品『天外魔境 風雲カブキ伝』の主役で大活躍もした。
 

超怪力!! 豪快無比の大食漢、極楽太郎


千年前の火の一族の生き残り。千年寿命が延びるという人魚の涙を飲むが、そのために人魚につかまり、千年の大半を牢で過ごすことになる。しかし、“ヨミ”復活の企てを知り、卍丸に同行する。性格は楽天家。声優を務めるのは赤星昇一郎さん。
 
筆者は特に極楽太郎が好きで、「彼がなぜ千年寿命を延ばしたのか?」を知ると“ただの楽天家”ではないことがわかる。それだけにゲームのエンディングで出てくるセリフが実に胸にくる。
 

悲しみを秘めた謎の少女、絹


予知能力を持つ薄幸の美少女。両親の死によって、心に深い傷を負っている。自らの宿命として卍丸たちの仲間に加わるが、戦うことを拒む。声優を務めるのは井上あずみさん。
 
ミステリアスで儚げな印象の絹は戦闘画面でも「戦う」コマンドが使えず、初めは困惑するだろう。しかし、彼女が「戦うことを拒む理由」が明らかとなるシーンは、当時のプレイヤーにとっては衝撃的なシーンだっただろう。特にPCエンジン版は鬼気迫る恐ろしさがリメイク版以上に伝わってくる。今回の『PCエンジン mini』ではどうなっているのか? 気になるところだ。
 
他にも、彼らの旅を陰ながらサポートするキャラクターから敵キャラクター、はたまた村人まで活き活きとしたキャラクターに溢れている。
 

百々地三太夫(左から三女:みこし、長女:花火、次女:まつり)


 
卍丸たちを陰ながらサポートするくノ一三姉妹。戦列に加わることはないが、ストーリーの節々で諜報活動をしていたり、卍丸のピンチを助けてくれたりする。
 

 
あるイベントでは、卍丸のピンチに颯爽と登場! そして、長女の花火が構えるのは大砲!?

悪漢もろとも卍丸に砲撃をぶちかます! これには卍丸も黒焦げ。終盤でも彼女たちに衝撃の展開があるので、こちらはぜひプレイして確かめてくれ。
 

悪役からも目が離せない!?

今作の敵である“根の一族”のキャラクターたちもインパクト大。
 

カブキ団十郎と張り合う自称、ジパング一の伊達男、菊五郎

伊勢国の“密林城”の城主にして、カブキ団十郎に負けず劣らず目立ちたがり屋。序盤のボスでありながら、強烈なインパクトを放ち、特にジパング一の伊達男の座をかけた「変身合戦」は必見!!
 

 
しかし、ただのオモシロキャラクターという訳ではなく、残忍な面も。
 

▲密林城近くにある赤目村では……。

▲生きながらに密林に飲み込まれた人が、植物に変えられていく……。

生きたまま植物に変えられていく様子が村人との会話で描かれ、悲惨な状況に思わず背筋が震えた。他にも菊五郎に乗っ取られた和歌山城でも、“当時プレイしていたけどわからなかった描写”も大人になってプレイしてみるとわかるかも。
 

美しき幻惑の女将軍、はまぐり姫


 
幻夢城の城主にして、ヨミが自ら創造した美しき女将軍。ビジュアル的にも美しい姿をしている彼女。そのため、自分より美しいものを妬み、村の女性を醜い姿に変えてしまう。
 

思わず見とれてしまうボス戦だが、2回目に戦う時の真の姿は圧巻だ。しかも、強い。再度挑む時も幻夢城の最上階まで登るのだが、道中の戦闘で卍丸たちの体力が削られたりと苦戦した。
 
はまぐり姫は倒した後のセリフや、その後にわかる彼女の生い立ちが印象的。『天外魔境Ⅱ 卍MARU』のボスは“倒しておしまい”では終わらない、“実は……”な部分がよりボスたちを際立たせ、忘れられない。
 
『天外魔境』シリーズではお馴染みとなる名物ボス、マントー
 
『天外魔境』シリーズに触れたことのある人ならすぐにわかるだろうボスキャラ“マントー”! 今作では“マントー2”として卍丸たちと戦う。その性格は一言でいえばバカ。使う技も馬鹿(うましか)の術”というユニークすぎるものだ。決して“馬鹿(バカ)の術”ではない。こんな名前の術だが、威力はかなり高いのでうっかりやられてしまうことも……。
 
ええ、そうです。舐めてかかっていたら卍丸がやられて敗走しましたよ、自分は!

彼が治める城は馬鹿野城。近隣の村から村人を連れてきて作らせたものだが、よくみると落書きがされている。
 

 
ゲームの中でもとにかく爆笑しながら攻略できてしまう城。それほど苦労することもないだろう。
 
どうしてかというと……。
 

 
村人(モブキャラ)たちにすら馬鹿にされるほど、マントーは馬鹿なのだ! マントーの額を見れば、それはなんとなくわかるかと思う。
 
また、攻略後、村人たちにもう一度話しかけるとかなり辛辣な発言が飛び出してくる。リメイク版では緩和されているが、PCエンジン版はエゲツない。それだけに村人までも血の通ったキャラクターのように見えるのも魅力的だ。
 
それは敵キャラクターにもいえ、“名無しの十八番”というキャラクターが自分は印象的だった。
 

 
名前もない、無名の“根の一族”でありながら、かなりの強敵である。それもこともさることながら、卍丸たちに負けて命乞いをして見逃してもらうも、逡巡を経て死を覚悟し、卍丸たちを道連れにしようとする姿は胸を打たれる。その理由も決して理解できないものではないために、忘れられないキャラクターだ。
 

 
他にも“ヨミ”の側近である三博士など魅力的なキャラクターが数多く登場。
 

▲左からベーロン、デロレン、デーロン

この三博士は序盤から登場するキャラクターだが、戦うのは本当に終盤。それまで何もしていないというわけではなく、かなりの悪役だ。
 

些細なことでも変化がある!

ストーリーが進むと、ジパングでも季節が移り変わり、元旦などがある。その時期に京都の宿屋に宿泊すると「初夢を見る」というイベントがあったり、村人たちのテキストが変わっていたりと、一度行った村でもまた来てみると変化が見つけられる。
 
そして、なんとなく聞き流してしまいそうなテキストもしっかり実現していたりする。例えば、越前の殿様の褒美がしっかり実現しているところとかは、戻ってみないとわかりにくいだろう。

▲金沢城でのイベント
▲はまぐり姫を倒した後に行ってみると

細かいところまで作り込まれた『天外魔境Ⅱ 卍MARU』ぜひプレイしてみてくれ!
 
本当はもっと紹介したいところがあるのだが、デューク・ぺぺとか、足下兄弟とか、ホテイ丸とか——。特にあのイベントシーンは語りたいが、知っている人はこれを見ればわかってもらえると思う。
 

▲ゲームで引けるおみくじ

でも、やっぱり詳細はゲームで確かめてほしい! ということでこれにて、お終い!
 

商品概要:
PCエンジン mini

メーカー:KONAMI
発売日:2020年3月19日
収録タイトル数:58タイトル
※「PCエンジン」ラインナップのタイトル(日本語)と「TurboGrafx-16」ラインナップのタイトル(英語)は、一部重複して収録しているタイトルを含みます。
プレー人数:1~5人
メーカー希望小売価格:10,500円(税抜)
CEROレーティング:D(17才以上対象)
同梱物:
・『PCエンジン mini』本体×1
・パッド×1
・HDMI®ケーブル×1
・MicroUSBケーブル×1
・取扱説明書×1
購入はこちら:
https://www.amazon.co.jp/b/?ie=UTF8&language=ja_JP&node=6974564051

 

ライター:8号機
中古ショップ店員からジョブチェンジしてライターになった人。『新作ソフトが入らないなら、レトロソフトを強化すればいいじゃない?』と店員時代に、ファミコンディスクシステムのベルト交換やらなんやかんやしていた。『天外魔境Ⅱ』はプレイしてみると名シーンの多さに涙が……。

 
※ゲーム画面はPCエンジン SUPER CD-ROM専用ソフト『天外魔境Ⅱ 卍MARU』のものです。
※『月刊PCエンジン』の画像に掲載されている宛先は当時のものです。現在、募集はしておりません。
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