<オトナゲーム>『Ghost of Tsushima(ゴースト オブ ツシマ)』開発者インタビュー! 鎌倉時代の対馬を舞台に、描きたかったこと

ひとつのセリフに、もっとも時間を割いた

--オープンワールドということでテキストの物量もたいへんなものだったと想像しますが、振り返ってみていかがでしょうか?
ローカライズ担当 まず、SIE製のオープンワールドゲームの中では、物量は少ない方でした。でも、それはゲームのボリュームがないからではなく、いわゆる日本人らしく、メインキャラクターの口数が多くないからなのです(登場人物がべらべら喋るだけで時代劇らしさは失われるので、開発チームはよく研究しているなと感心しました)。もうひとつの理由として、本作で対馬を侵攻するモンゴル兵(蒙古兵)の多くが自国語しか話さない、ということもあります。オープンワールドゲームでは敵のセリフ量も相当なものになるのですが、本作では一般の蒙古兵のセリフはほとんどローカライズ対象ではありませんでしたので、物量的にはたいへん助かりました。
 
--なるほど! 腑に落ちます。
ローカライズ担当 ただし、今回のローカライズにあたっては、テレビの時代劇で用いられる言葉よりも、さらに“時代らしさ”に寄せた(しかし理解できる)言葉遣いにすることを目指しました。そのため、ひとつあたりのセリフにかけた時間は、これまでのローカライズ作品でもダントツに長いと思います。
 
--主人公の声が、中井和哉さん。収録はいかがだったでしょうか?
ローカライズ担当 すばらしい声優さんです。お忙しい中、台本をすべて読み込んできてくださるのでリテイクは少なく、毎回収録はスムーズに進んでいました。パンチラインをかっこよく決めてくださるのはもちろん、(ゲーム中の)会話の相手によって感情や表情をプラスしてくださるので、仁のキャラクター性を一層前面に出すことができました。真面目で気さくでプロ意識の塊のような方で、中井さんの爪の垢を煎じて飲みたいくらいです。
 

--いわゆる時代劇ですが、日本語に訳されるときの苦労は?
ローカライズ担当 当時の日本人がどんな風に話していたのかは、誰も知りません。既存の大河ドラマや本、漫画などはあくまでフィクションで、その中で使われている言葉は誰かが作り出した“それぞれの正解”になります。『Ghost of Tsushima』も時代劇ではありますが、その前に“音声を耳で聞きながらキャラクターを操作する”が前提の“ゲームというエンターテインメント”ですので、まず新たな正解を生み出すことが最初の仕事であり、もっとも苦労したことです。
 
--開発陣がかなりの時代劇通のようですが、日本が舞台ということで逆に翻訳に手こずったりは?
ローカライズ担当 聞いて理解でき、かつ“時代劇らしさ”のある言葉を選ぶのに手こずりました。台本を作るときは、日本語の単語ひとつひとつを最初に使われた時代から調べましたし。その上で、鎌倉・室町時代あたりから使われ、そして現在でも生きている言葉をなるべく選んでセリフを組み立てました。また、前述したようにスクリプト(もともとの原稿)がとても日本的で、キャラクターの口数が多くありません。さらに、これも日本的なのですが、どのキャラクターも思っていることを100%口に出すタイプではないので、原文をリスペクトしつつキャラクターの気持ちに添い、時代劇らしい日本語にするのはたいへんでした。
 

--あー、それは非常におもしろいですね。
ローカライズ担当 また一部に、韻文(一定の規律を持った文章。日本では和歌や俳句があたる。『Ghost of Tsushima』でもたびたび、歌を詠むシーンが出てくる)の翻訳が出てくるのですが、プレイヤーの体験としてはおもしろいものであるものの、翻訳の整合性を取るのになかなか苦労しました。加えて、ゲーム内に出てくる書付や書面も、書いた人物の教育レベルによって語彙や文法にかなりの差があり、とくに、文字を書くのもおぼつかないような人々(※鎌倉時代当時は、読み書きができない人も大勢いた)がしたためたテキストの翻訳は、かなりの工夫が必要でした。
 

--最後に、ぜひ見てほしいセリフなどがあれば教えてください!
ローカライズ担当 主人公の仁と対馬の地頭の志村が交わすセリフは、武士どうしということもあり、いわゆる男らしさに溢れたものに仕上がっていると思います。さらに言いますと、“時代劇らしい演技ができる方”という条件で音響監督にキャスティングしていただいたため、ストーリー上では少ししか出てこないような人物も、たいへんな実力のある方に声を演じていただいております。ぜひ、隅々までお楽しみください!

商品概要
『Ghost of Tsushima』
 

・ジャンル:オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー
・対応機種:PlayStation 4、PlayStation 4 Pro
・発売予定日:2020年7月17日(金)
・価格:
■通常版
パッケージ希望小売価格: 6,900円+税
ダウンロード販売価格: 7,590円(税込)
 
■デジタルデラックスエディション
販売価格: 8,690 円(税込)
 
・CERO:Z (18才以上のみ対象)
 
・公式サイト:
https://www.playstation.com/ja-jp/games/ghost-of-tsushima-ps4/
 
・公式ハッシュタグ:
#GhostofTsushima

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