【リメイクゲーム特集!】現行機で蘇った圧倒的恐怖! 『バイオハザード RE:2』誕生秘話 門井一憲ディレクター、安保康弘ディレクター インタビュー!


 
 世界中のゲームファンを恐怖のどん底に突き落としたサバイバルホラーの元祖と言えば……カプコンのプレイステーション用ソフト『バイオハザード』だ。その後シリーズ化され、ハードの販売台数すら左右するキラータイトルになったことは、多くの人の記憶に残っていると思う。
 
 この『バイオハザード』の躍進に寄与したのが、1998年に発売された第2作『バイオハザード2』だ。閉ざされた洋館が舞台だった第1作から一転、ウィルスが街に広がるパンデミックが描かれ、恐怖はさらに増長した。
 
 そんな『バイオハザード2』の登場から21年が経った2019年1月、プレイステーション4を始めとする現在のハイエンドな環境で、その恐怖が蘇った。
 

 
 『バイオハザード2』は『バイオハザード RE:2』と完全リメイクされ、オリジナル版を知らない人はもちろん、かつて楽しんだオールドファンをも恐怖の深淵に叩き込んでいるのである。
 
 昨今、このような“過去の良作を現代の技術でリメイク・リマスターする”という流れがゲーム業界のトレンドになるつつあることを受けて、コロコロオンラインでは“リメイク・リマスタータイトル”に密着! その開発者を直撃して、過去作を現代に復刻させる際の苦労や楽しみを浮き彫りにする。
 
 今回は『バイオハザード RE:2』のディレクターである門井一憲氏と安保康弘氏にインタビューを試みた。
  
(※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、インタビューはメールで行っています)
  

名作をリメイクするということ

 
--メールインタビューということで、一問一答のようなやり取りになるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします! まずは、リメイク・リマスターに関する全般的な質問をぶつけたいなと。そこで……ゲームをリメイクするうえで、もっとも注意したことはなんでしょうか?
門井 『バイオハザード2』はすでにたくさんのファンがいるゲームなので、その方々の“思い出”に少しでも近づけるよう、また超えられるようにと、つねに心掛けていました。
 
--今回のリメイクで、もっとも苦労したことはなんでしょうか?
門井 原作とまったく同じだと、現代のゲームとしては少々物足りません。かといって変えすぎてしまうと、『バイオハザード2』とは別のものになってしまいます。何を残して、何を変えるのか。そして、何を作って、何を諦めるのか--。この取捨選択には苦労しました。
 
--その制作過程を、なるべく簡単に教えていただきたいのですが……! 素人考えですと、まずはオリジナル版を徹底的にやり込んでから……という感じがするんですが、そういう認識で合っていますでしょうか?
安保 もちろん、改めてイチからオリジナル版をプレイしました。そして、良かった部分を再認識した上で、「いまだったら、ここはこう表現するよね」とか、「この部分は知っている人もいるから、あえて変えたいよね」といった感じに、私自身もひとりのプレイヤーの気持ちになって、最初から見直しを行っています。
 
--では、制作チームの規模は? オリジナル版と比べると、だいぶ変わったのでしょうか?
安保 社内で関わったスタッフの数だけ見ても、当時と比べて倍以上にはなっていると思います。
 
--リメイクにあたって、変更や追加要素を盛り込む場合、もっとも注力されることはどのへんでしょうか?
門井 ひとつ例を挙げると、たとえばオリジナル版で印象深く、誰もが覚えているであろう場面については、場所は変えてもなんらかの形で残すことを心掛けましたね。
 
--リメイク版となるとたいてい、かなり昔のタイトルが扱われることになると思いますが、制作の際にオリジナル版のスタッフが関われることはあるのでしょうか?
安保 『RE:2』、『RE:3』ともにオリジナル版に参加したクリエイターがディレクターを務めていますが、共通のセオリーや手順が存在する……というわけではありません。ケースバイケースですね。
 
--『RE:2』、『RE:3』では、世界観の共有などは具体的にどのような作業を経て行われたのでしょうか?
安保 もともとオリジナルも、『2』の世界をベースに『3』が作られているので、今回も先行して『RE:2』が世界観を構築してから、『RE:3』で共有した部分を作っています。でも、『RE:2』を作る際にもレオンやクレアが来る前の警察署の設定は考えていたので、そこは結果的に『RE:3』の警察署にも活かせていると思います。
 
--オリジナル版にユーザーに認知されているバグ等が存在する場合、それをリメイク・リマスター版に活かすことはありますでしょうか? というのも、リメイク版をやり込んだオリジナルのファンが「あのバグは残っているのかな?」と楽しそうに話しているのを(編集部などで)よく見かけるもので……。
門井 『RE:2』では、バグをあえて残したり、再現したりするようなことはしていませんね。ただ、記憶に残る隠し要素(レベッカの写真など)は、できるだけ残しています。
 
--オリジナル版に寄せられたユーザーの声を反映させることはありましたか?
門井 必ずしも、そのまま“”を反映させたということではありませんが、当時のプレイヤーが不満や疑問に思っているような部分については、ひと通り修正や改良、変更などの検討を行っています。
 
--リメイクということで、上位機種ならではの要素を積極的に盛り込んだ部分はありますか?
門井 ゾンビの表情や動き、撃ったときのリアクションなど、“最恐のゾンビ”を表現するにあたって当時できなかったことを現代の技術でやりきれたと考えています。
 

 
--最終的な目標として、「オリジナル版を超える!」というものはございますか?
安保 同じコンセプトのゲームではありますが、当時よりハードウェアも進化しているので、“より臨場感や没入感のあるホラー体験”としてはオリジナルを超えられたのでは、と思います。
 

『バイオハザード RE:2』の制作について

 
--ここからは、『バイオハザード RE:2』そのものに切り込めたらなと。21年の月日を経てリメイクがされましたが、制作環境はどの様に変化したでしょうか? 技術的な面もですが、関わるスタッフの数や制作期間などの変化を教えていただけると幸いです。
安保 今作に限らず、昔のゲーム制作と比べると、いまは作るものの品質においてより高いものが求められるため、スタッフの数も増えて、制作期間も長くなる傾向にあります。また、作ったらそのまま完成となるわけではなく、一度形にしてみても納得がいかなければ作り直すことも多いです。良いものを作るためには、より多くの時間と作り込みが必要になります。
 
--オリジナル版から変更された点で、レオンがラクーンシティに訪れるのが遅れた理由が印象に残りました。これはなぜ変更になったのでしょうか?
門井 恋人に振られ、やけ酒で寝坊した……という設定のことですね。どこかの設定資料に記載された情報で、もともと本編では語っていない設定だったのですが、印象が強烈だったため有名になってしまいました。寝坊した程度の時間で街が壊滅する状況になるのはちょっと無理がありそうなので、『RE:2』では本編内で別の理由を説明しています。とはいえレオンのキャラクター性としては、“オリジナルでの印象”はそのまま引き継いでいますが。
 

 
--難易度の変化に関して、タイラントがマップを越えて追跡してくるため、つねに恐怖を感じるプレイとなりました。タイラントをこのような仕様にしたのはなぜでしょうか?
門井 技術的に敵キャラクターが部屋を越えて追ってくることが可能になったので、本来オリジナルのタイラントでやりたかったであろうことを、素直に表現しました。
 

 
--敵の配置や、ナイフが消耗品になったこと、木材で窓を塞げるなど、システム面の変化に関してお聞きします。ゲーム性以外に、世界観としてのリアルさの追求などの意味もあったのでしょうか?
門井 絶望的な状況下で、使えるリソースを探し、それをうまく利用してサバイバルするというサバイバルホラーのコンセプトを突き詰め、よりホラーでスリリングな体験ができるよう意図しています。
 

  
--キャラクターに関して、開発陣から見てもっともオリジナルから変化したと思うキャラクターは? また、それはどの様な面において?
門井 それは……“ロバート・ケンド”というキャラクターですね。オリジナルでは、登場後すぐに死んでしまうわりに印象に残るキャラクターだったのですが、『RE:2』では人間ドラマが盛り込まれ、レオンの成長に大きな関わりをもつようになりました。これにより、さらに印象深くなったと思います。
  

 
--クレア編とレオン編でラスボスが異なる仕様にした理由を教えてください。
門井 オリジナル版では“G4”と“スーパータイラント”は、それぞれ表編と裏編のラスボスだったのですが、今回、表裏は存在しないので、クレアとレオンのそれぞれのラスボスに振りなおしました。
 
--最後に、追加コンテンツに関して聞かせてください。オリジナル版でも登場したキャラクター達の“if”ストーリーをプレイすることができて、非常に満足度の高いコンテンツだったかと思います。DLCがこの内容に決まった経緯を教えていただければ!
門井 オリジナルの『バイオハザード2』で、隠しシナリオの『4th サバイバー』が当時としては異例のオマケ要素として盛り上がったことの延長で、今回、本編で一瞬登場したキャラクターたちを操作して、新しい体験をしてもらう、ストーリー性のあるコンテンツを用意しました。
--ありがとうございました!!
  
【予告!】
 
次週、9月22日は『バイオハザード3』が発売された日! それを記念して、『バイオハザード RE:3』を徹底特集! ゲーム紹介と開発者インタビューを、あわせて掲載しちゃうぞ!

『バイオハザード RE:2』のゲーム紹介記事はこちら!

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作品概要
『バイオハザード RE:2』

■好評発売中!
■対応機種:PlayStation®4、Xbox One、PC
■通常版価格
・PlayStation®4(パッケージ):4,389円(税込)
・PlayStation®4(ダウンロード):3,990円(税込)
・Xbox One(ダウンロード):3,990円 (税込)
・Steam (ダウンロード):3,990円(税込)
■公式サイトhttp://www.capcom.co.jp/biohazard2/Z/

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