11月20日、映画『STAND BY ME ドラえもん2』が公開される! コロコロオンラインでは、映画の封切りを記念した特集企画を実施するぞ! 八木・山崎両監督をはじめ、声優陣のみなさんや主題歌を歌う菅田将暉さんの独占スペシャルインタビューを掲載!! コロコロオンラインだけのインタビュー内容が盛りだくさんだぜ!!
妻夫木聡さんが感じていたプレッシャー
――3DCGならではの作品ということで、レギュラー声優陣のみなさんに求めたことはありますか?
基本的にはいつもと同じようにお願いします、と伝えさせていただきました。3D映画は情報量が多いので、本当は少し演技を抑えていただいたほうがいいのかなと思いもしました。ただ、僕らより圧倒的に長い時間、『ドラえもん』という作品に関わっている方々なので、全幅の信頼を寄せています。
――大人ののび太を演じた妻夫木聡さんとはいかがでしたか? 前作よりもセリフ量がかなり増えた印象です!
基本的には前作でやったことを引き継いでいただいた形です。ただ、今回は大人のび太のいろいろな面を見せないといけないので、妻夫木さんは最初に「相当ビビってます!」と言っていました(笑)。
ゲスト感の強かった前作と比べると、かなり出番が増えましたからね。プレッシャーはあったと思います。でも、うまくリアルな芝居とアニメらしい芝居のいいバランスを早めにつかんでくれました。
出来上がったものを見た時、大人のび太が確かにそこにいる、という印象を受けたよね。目を閉じても、大人のび太の顔が浮かんでくるような。そういうものができてよかったなと思っています。
▲妻夫木さん演じる大人のび太
――おばあちゃん役を演じた宮本信子さんの演技も、とってもすてきでした!
自分は、宮本さんの夫である伊丹監督の元で育てていただいたので、伊丹組の作品に多く出演している宮本さんとは、前々からご一緒したいと思っていたんですが、なかなかタイミングが合わなくて。ただ、宮本さんって、かなり元気がいいから(笑)、あのおっとりしたおばあちゃんとイメージが遠い部分もあったんです。でも、さすが見事に作り込んできてくれました。
だって、最初の一言を聞いた時に「うわあ、おばあちゃんだ!」って思いましたもん。うれしかったです、宮本さんとようやくお仕事ができました。
▲愛しいおばあちゃんと再会し、思わず飛びついてしまうのび太
――菅田将暉さんが歌う主題歌「虹」も、作品にとてもマッチしていますね。
そうなんです。菅田さんは俳優ですが、歌手としてもとても気持ちの入った歌唱をしますよね。そんな菅田さんが「ダメ男を語らせたらこの人しかいない」と紹介してくださったのが、「虹」の作詞作曲をしてくださった、石崎ひゅーいさんだったんです。
最初に歌が上がってきた時、印象的なフレーズはもちろん、「足元に虹」っていう部分の歌詞がすごく気に入って。日常を祝福してくれるような、すばらしい主題歌になっていると思います。
コロコロファンだった山崎監督のジャイアンエピソード
――コロコロオンラインとしては、のび太の部屋にあった『コロコロコミック』ならぬ『コロロココミック』が気にならずにはいられませんでした! お二人のコロコロコミックの思い出を教えていただけませんか?
コロコロが出た時、僕は既に中学生だったかな。近所の小学生でコロコロの創刊号を買った子がいて、見せてもらったら、分厚い本の半分くらいが『ドラえもん』なんですよ。夢のような本が出たぞという感じがして、その子より先に僕が読ませてもらいました(笑)。
ジャイアンエピソードです(笑)。
毎月、僕のところに持って来てくれて。で、僕が『ドラえもん』を読んでから返すという(笑)。
――実は本日、コロコロ創刊号をお持ちしているんです!
本当ですか!? 見せてください、見せてください!
――こちらです、どうぞ!
すげーーー!! コロコロ第1号! 1977年発行だ! 『ドラえもん』、半分どころじゃない。3分の2がドラえもんで、そのあと、藤子不二雄先生特集だ!!!!
▲コロコロ創刊号を手に取って目を細める両監督
――『ドラえもん』をたくさん読んでもらおう、と生まれたのがコロコロコミックなので! ジャイアンエピソードを聞いて、出そうか迷ったんですけど(笑)。
「これ(=創刊号)、もらうわ!」って?(笑)
「おれのものだ!」ってね、それはひどい(笑)。
でもさぁ、その子はおれが何も言わないのに持ってきてくれたんだよ。
――その子は、年上のお兄ちゃんとコロコロを読むのが楽しかったのかもしれませんね! 八木監督は、コロコロコミックの思い出はありますか?
いやー、本当に申し訳ないんですけど、コロコロ読んでないんですよ。学年誌のほうをずっと買ってもらっていて。
唯一買ってくれる雑誌が学年誌だった?
そうそう。コロコロのほうが『ドラえもん』たくさん載っていていいのにな、って横目で見ていました。
2人がタイムリープで戻りたい愛しい記憶
――『STAND BY ME ドラえもん2』では、“入れ替わりロープ”を使って大人のび太と子どもののび太が入れ替わりますね。大人のび太は子どもに戻って、過ぎ去りし日常を束の間楽しんでいましたが、お二人が今の記憶を持ったまま戻りたい瞬間があれば教えてください。
自分は『ジュブナイル』の撮影初日に戻りたいです。
▲初監督作品への思いの丈を語る山崎監督
――山崎さんの監督デビュー作ですね! でも、どうして、その日なんでしょうか?
子どもの頃の夏休みって、ワクワクする時間が長いじゃないですか。一方で、大人になると、それってなくなっちゃうんですよね。でも、『ジュブナイル』の撮影期間って、おれの脳が完全に小学生になっちゃったんです。出演者の小学生と、撮影が終わった後に親の目を盗んでコンビニまでガリガリくんを買いに行ったり(笑)。すっごいドキドキした。と言っても、ホテルから道路を挟んで向かいのコンビニなんですけどね。
楽しかったなぁ。あの夏休みのような感覚と、「ああ、おれって映画監督になったんだ」っていう感情が入り混じった特別な時間でした。もう一度、あの感覚を味わってみたいですね。
――それはかけがえのない瞬間ですね、男子なら誰もが共感できると思います! 八木監督はいかがですか?
自分は子ども時代に住んでいた家に戻ってみたいですね。御徒町のビルに住んでいたんですよ。しかも、屋上でおじいちゃんが毎日、炭を焼いているっていう。その炭でみんなで火鉢を囲んで。もう、そのビルはなくなってしまったので、見ることも叶わないんですけどね。ちょっと変わった造りの、秘密基地のようなビルでした。
――最後に、映画を観ようとしている人に向けてメッセージをお願いします!
『ドラえもん』の魅力って、いつも人間の本質を見抜いて作品に落とし込んでいるところだと思うんです。おもしろく見ていても、ドキッとするようなセリフが所々で出てくる。『STAND BY ME ドラえもん』は、最新のCG表現で、藤子・F・不二雄先生の考えた世界をリアルに描いた作品です。きっと、先生の頭のなかでは、こんな風にひみつ道具が動いていたんじゃないかな……と考えながら映画をつくりました。ぜひ、映画館でご覧いただけたらうれしいです。
男子は誰しもが、のび太の成分を持っていると思います。子どもの頃には、それを認めたくないんですけど、大人になると、自分の“のび太成分”が愛おしくなってきて。今、コロコロオンラインを見ている人は、コロコロコミックを読んでいた頃のような感情の高まりを感じたくて、このページを開いていると思うんです。それと同じように、のび太の人生のなかに、自分の人生をもう一度見てもらいたいなという気持ちでいます。
そうすることで、自分の親とか、おばあちゃん・おじいちゃんのことを、改めて考えて、“自分のこと”として考えられるチャンスが、生まれるかもしれない。『STAND BY ME ドラえもん2』は子どもが観てもシンプルにおもしろく感じられるようにつくっていますが、大人が観た時に、自分の人生や幸せを再確認してもらえるような映画になっていればと思います。
“ドラえもんファン”としての2人のこしょこしょ話
――ここからは取材余話として、『ドラえもん』が大好きなお二人に質問です! 短編のエピソードで、3DCG化したいエピソードを教えてください!
僕はゾウのハナ夫の話がすごく好きで。子どもの頃からの、「ハナ夫をなんとかしてやりたかった」という気持ちがあります。
――ゾウのハナ夫が戦争の影響で天国へと旅立ってしまうお話ですね。
そうです。でも、実際に、ハナ夫を救ってあげた話もあるんですよ(※「ぞうとおじさん」)。ハナ夫の死を嘆くおじさんのために、ドラえもんたちが戦時中にタイムトラベルして、ハナ夫を小さくしてジャングルに帰してあげる。その後、おじさんがジャングルで迷った時に、ハナ夫そっくりのゾウに助けてもらったという思い出話をする、すごくいい話があって。大好きなエピソードです。
僕は、ひみつ道具でやってみたいことがあって。“ドンブラ粉”というひみつ道具は、地面を泳いだり、2階の床を突き抜けて1階の天井からズボッと落ちたりすることができるんです。要は地面が水のようになるのですが、映像表現として絶対におもしろいだろうなと思います。ただ、なかなか物語のなかに入れ込めないですね。あとは、ぐるぐるっと回すと迷路になる……“ホームメイロ”だ!
自分の家が迷路になるやつだ。回しすぎて出られなくなっちゃうやつ。あれ、こわいよね。
そうそう! それで、「窓から出ればいいんだ!」と言って出ると、また違う部屋に出てしまうという。あの話も大好きで。同じ部屋がダーっと並んでいる感じとか、ビジュアル的にすごくおもしろいですよね。最後はお父さんが帰ってきて、グルグルっと回したら元の家に戻ったという。のび太くんたちは散々家の中を迷って「どうしよう!」となっていたのに、そんな簡単に戻っちゃうんだというオチもおもしろい。
生涯にわたって出られなくなりそうだからね。でも、一番こわいのは“バイバイン”ですよ。
――私はバイバインの話を読んで、しばらく栗まんじゅうが食べられなくなりました(笑)。
そろそろ宇宙は栗まんじゅうで満たされているかもしれない(笑)。
あとね、てんとう虫コミックスには載っていなくて、大全集でやっと読めたものがあるんですよ。子どもの頃に見たのは夢じゃなかったんだと思ったエピソードが。
――どのお話ですか!?
顔が付いている腕時計のようなひみつ道具があって、脳みそチューブを入れると宿題を勝手にやってくれるんですよ。「こりゃいいや!」とのび太が使っていると、実は回答が間違っている。「じゃあ、もっと脳みそチューブを足せばいいんだ!」と足していくと、今度は賢くなりすぎて右手が反乱を起こしてしまうという。
――“ミニ頭”ですね! まだまだ話は尽きませんが、お二人のドラえもん愛がしっかり伝わりました! 本日は本当にありがとうございました!!
作品概要
映画『STAND BY ME ドラえもん2』
■公開日:2020年11月20日(金)
■公式サイト: https://doraemon-3d.com/pc.html
(C) Fujiko Pro / 2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners