藤子・F・不二雄先生からスタートしたバトンが2019年は辻村先生に! 2019ドラえもん映画製作大レポート&むぎわら先生直撃インタビュー!!


ドラえもんの映画シリーズ最新作『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の製作発表会見が東京都内で行われた! 脚本は、ドラえもんの大ファンとして知られる作家の辻村深月先生が担当!! 公開日は2019年3月1日だ。
 
本記事では、発表会に登壇した辻村先生のコメントを中心に、当日の様子をお届けする!!
 

辻村先生がコロコロ読者に語る! 映画の見所!!

シリーズ第39作目となる『映画ドラえもん のび太の月面探査記』。
 
ある日、月面探査機が謎の白い影を捉えて大ニュースに! のび太はそれを”月のウサギ”だと主張するが、クラスメイトに笑われてしまう。そこでドラえもんのひみつ道具「異説クラブメンバーズバッジ」を使って、月の裏側にウサギ王国を作ることに。作業が順調に進むなか、謎の少年・ルカが転校してきて、のび太たちと一緒にウサギ王国に行くことになり――。

会見には、ゲスト声優の広瀬アリス(ルナ役)をはじめ、「ロッチ」の中岡創一(キャンサー役)、「サバンナ」の高橋茂雄(クラブ役)、柳楽優弥(ゴダート役)、吉田鋼太郎(ディアボロ役)、主題歌担当の平井大、そしてレギュラー声優の水田わさび(ドラえもん役)、大原めぐみ(のび太役)、かかずゆみ(しずか役)、木村昴(ジャイアン役)、関智一(スネ夫役)、脚本の辻村先生、八鍬新之介監督という、超豪華な面々が出席。
 


▲十二単を身にまとった広瀬アリス。

 
辻村先生は会見のなかで、5年ほど前にも映画ドラえもんの脚本を担当してほしいという依頼があったが、断ったと告白。誰よりも『ドラえもん』ファンであるため一生ファンでいたい、そして自分が受けることがおこがましいと思ったという。しかし、それでも藤子プロの方と話を進めていくなかで、自分がファンでいさせてもらうことに感謝を覚えるようになり、やがて次世代にバトンを渡せるお手伝いができるなら、こんなに嬉しいことはないと、今作の脚本を引き受けたのだった。
 
そんな深いドラえもん愛を持つ辻村先生が、コロコロ読者に向けて、特別に見所を紹介!!

辻村深月先生 スペシャルコメント
 
ちょうど小学1年生の息子がコロコロコミックを愛読していて、今回の脚本を書きながら「自分の子だったらここで爆笑してくれるだろう」というポイントをふんだんに入れました。
 
今回、心がけたポイントが2つあります。1つは、私は藤子先生作品に見られる”ハードSF”の側面が大好きなので、月や地底に行ったらこうなるよねという科学的な部分を疎かにしないこと。
 
もう1つはハードSFではなく、“ムービット”という可愛い月の生物が登場したり、ひみつ道具がある素敵な世界観。
 
このどちらかを気に入って頂けるような、2種類の月の世界を用意しています。ぜひ楽しんで貰えればと思います。
 
あと、月は身近にありますが、なかなか行けない天体です。映画を見終わったコロコロ読者の男の子、女の子が、「月の向こう側には誰かかがいるんじゃないか」と月に興味を持って貰えたら、すごく嬉しいなと思います。
 


▲辻村深月先生。

 

むぎわらしんたろう先生が語る『映画ドラえもん』への想い

藤子・F・不二雄先生のチーフアシスタントを務め、『のび太のねじ巻き都市冒険記』『のび太の南海大冒険』など数々の映画やまんが作品を手がけた、むぎわらしんたろう先生。今回はコロコロオンラインのために、むぎわら先生が特別にインタビューに答えてくれたぞ!!
 

むぎわらしんたろう先生 スペシャルインタビュー
 
――親交の深い辻村先生が映画ドラえもんの脚本を執筆するにあたって、むぎわら先生がメール送ったと伺いましたが、それはどういった経緯だったのでしょうか。
辻村先生は、藤子・F・不二雄先生やドラえもんが本当に大好きな方で、それゆえに自分が本当に『ドラえもん』を執筆していいのかどうか悩まれていたようなときもあったようでして。それでメールをお送りしました。
 
――どのような内容だったのでしょうか。
「とにかく楽しんでかいてください」ということをお伝えしたと思います。ドラえもんやのび太たちも新しい世界にワクワクしていますよ、と。それと自分も昔、藤子・F・不二雄先生から『ドラえもん』を手伝ってくださいと言われ、それ以来、先生がお亡くなりになった後も、変わらずずっと先生のために「お手伝い」を続けている気持ちがあって……。今も自分自身、そういう気持ちでいます、と。
 
――なるほど。もしかしたら、その「お手伝い」という言葉が、辻村先生にとっては、すごく大切なキーワードになったのかもしれませんね。また、辻村先生が「映画ドラえもん」の脚本の仕事を受けるか悩んでいた際に、むぎわら先生が仰った「大長編ドラえもん楽しんでください」という一言も、大きかったと思います。
そうですね。辻村先生にとっても、大好きなドラえもんだからこそ、書いていいのかどうか悩まれる部分はあったと思います。
 
――むぎわら先生が『ねじ巻き都市冒険記』を引き継がれたときも、同じような気持ちだったからこそ、気持ちが分かるというか。
藤子・F・不二雄先生の作品の大ファンで、「藤子・F・不二雄先生が描いたもの」が好きだったわけですから。自分でそれを描くってなったら、またちょっとね、変わっちゃうから。それは自分もそうですけど、辻村先生も、書くのは大変だったと思います。でも、今回、辻村先生脚本のその作品を見たり、楽しむ側からすると、自分的には、すごい楽しみではあります。ドラえもんを本当に大好きな人が書くわけですから。本当に、楽しみですよね。どんな世界を見せてくれるんだろう、どんなドラえもんが出てくるんだろうって。
 
――辻村先生の小説をむぎわら先生も読まれてますが、内容の予想や想像はできますか? 
ミステリー作品を多く書かれている方なので、そういう要素が入っているのかなと。すごく楽しみですね。
 
――ちなみに、辻村先生は自身にとってドラえもんはバイブルであり、その続きを書くのは大変なことだと仰ってました。大長編を引き継がれた経験のあるむぎわら先生も同じような思いでしたか?
自分も同じように悩んでいたと思います。ただ、『ドラえもん』の、あの5人が集まると本当にいろんなことができるので、キャラクターのみんなに助けられた気がします。先生のアシスタントをやっているときはもう、いつも読者の立場だったので。新しい世界を、今度はどこに行くんだろうっていうのが見てみたい。藤子・F・不二雄先生から出てくる原稿1枚1枚を、純粋に楽しみに読んでいた、という感じでした。誰よりも先に『ドラえもん』が読める。それがすごく楽しみでした。だから、それを作る立場になるなんて思いも寄らなかったので、実際に作るってなったときには、とてもじゃないけどひとりではできなかった。いろんな人と話し合って、一本の話を作り上げていったんで、それらを先生がひとりで全部やっていたのかと思うと、またびっくりしましたよ。
 
――かかわればかかわるほど、藤子・F・不二雄先生の凄さが見えてくるみたいな感じなのでしょうか。
本当にそうです。
 
――今回、辻村先生が脚本を書かれるにあたって、むぎわら先生的にはどのような感じで、映画ドラえもんを観ることになるのでしょうか。
選んだ場所が”月”っていうのが、ひとつ大きいですね。実は僕が大長編に関わるようになって、月を舞台にするという案が何回か出たんですよ。でも、そのたびに挫折したんです。遠いようで近い世界で、結構知り尽くされているので舞台にならなくて。途中まで話は進むんだけど、途中で挫折してきたんです。そのたびにまた話を作り直して。僕は月面着陸に何回も失敗してきました(笑)。
 
――知られ過ぎていて、物語を上手く料理するのは難しい舞台なわけですね。
そこを今回選んで、ようやく着陸してくれるんだと。本当に月と南極は、よく議題に出ていました。藤子・F・不二雄先生もずっと興味を持っていらっしゃった南極は、つい2017年に映画化して。そして、残された月がついに、という感じです。どんな話に辻村先生が料理してくれるかなって。すごく楽しみですね。
 
――本当に楽しみです。ありがとうございました!
 


▲むぎわらしんたろう先生。

■作品概要
映画ドラえもん のび太の月面探査記
■公開日:2019年3月1日
■公式サイト:https://doraeiga.com/2019/

 
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2019