デュエマ妄想構築録 vol.52-4 ～実質ダグラドルグラン！眼鏡カレーパン!!～

By まつがん

　さて、前回は皆さんにカードの能力を予想してもらったわけだが、まずは正解を発表することとしよう。

　それが、こちらのカードだ！

　これはもう実質令和の《緑神龍ダグラドルグラン》では……？

　「シビルカウント3」という条件があるとはいえ、わずか2マナのクリーチャーがシールドをマナ送りにできるというのはどう考えても革命的と言える。

　さて、12月17日(土) に発売予定のゴッド・オブ・アビス第2弾「轟炎の竜皇」に収録される新カード、《眼鏡の頑強者》。このカードを使ってどのようなデッキを組むべきか。

　私がデッキを作るとき、常に気にしているのは「再現性」だ。「再現性」とは、10回回したら7～8回以上は所期のコンセプトを達成できることを指す。

　この点、デュエル・マスターズにおいては40枚のデッキの中に特定のカードは4枚しか積めないことから、必ずしも毎ゲーム引けるとは限らないことになる。だがそれでは「再現性」の要件を満たさない。つまりここから言えることは、「特定のカードAをコンセプトにしたいならば、そのカードの代替となるカードBを見つけなければならない」ということだ。

　では、《眼鏡の頑強者》の代替となるカードとは何だろうか？

　《眼鏡の頑強者》に期待する部分は、当然「シールドの (実質) 焼却」である。であるならば、代替となるカードにも似たような能力が備わっていなければならない。

　そんなカードが、はたして存在するのだろうか？

　……そう、存在するのだ。

　《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》だ。

　このカードならば《眼鏡の頑強者》の「シビルカウント3」の達成の助けになる上に、《眼鏡の頑強者》を引けない場合にも同様の役割を果たしてくれることだろう。

　『スタート地点』

　では上記のようにこの8枚をデッキコンセプトにするとして、「その他のカード」にはどんなカードが入るだろうか？

　一つの考えは、「《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》と同様のシールド焼却持ちで埋める」というものだ。

　《眼鏡の頑強者》も《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》もブレイク数自体は1枚なので、S・トリガーをケアできるとはいえ単体で殴りきることは難しい。だがそこで脇に並ぶクリーチャーもすべてシールド焼却能力持ちだったならば、対戦相手の5枚のシールドをすべて焼却した上で安全にダイレクトアタックを決めることができるだろう。

　この思想のもと、できあがったデッキがこれだ！

　『理論上最強』

　ボルメテウス動物園かよ！！！😡😡😡

　シールド焼却能力を持ったクリーチャーは限られるため、デッキではなく歴代のボルメテウスを陳列するただの歴史資料博物館になってしまった。

　そうなると、「《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》と同様のシールド焼却持ちで埋める」プランは取れない。だが、ここで解決したいのは「殴り勝てるプランがないこと」だ。

　ならば《眼鏡の頑強者》と《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》ですべてのシールドをブレイクするほかない。

　しかし、そんな手段がはたして……？

　そう、存在するのだ。

　「パワード・ブレイカー」を付与すればいいのだ。

　「パワード・ブレイカー」を持つクリーチャーは、パワー6000ごとに追加でシールドを1枚ブレイクできる。《剛力羅王 ゴリオ・ブゴリ》や《打振の星 ブリタネッコ》はパワーを2倍にしながら「パワード・ブレイカー」を付与できるので、これらで《眼鏡の頑強者》と《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》を強化すれば、対戦相手のシールドをすべて焼却することが可能になるはずだ。

　というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ！

　『アバレQX』

　脳筋すぎるだろ！！！😡😡😡

　とはいえ、もちろん筋肉だけで物事が解決できるならば悪い話ではない。

　だが、この構築にも問題があった。

　《眼鏡の頑強者》のパワーは3000。《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》のパワーは4000。つまりどちらも、仮に「パワード・ブレイカー」を付与した上でパワーを2回も倍にしたとしてもたった3枚のシールドしかブレイクすることができない。すべてのシールドを焼却するならば、「パワーを+3000した上で」「『パワード・ブレイカー』を持たせつつそのパワーを倍にし」「さらに倍にする」必要がある。

　要は、要求パーツが多いのだ。

　さらにこの要求パーツ枚数は、《眼鏡の頑強者》と《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》との間でも異なる。なぜなら、《眼鏡の頑強者》は普通に2ターン目に出せばいいのに対し、《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》に関しては4ターン目のポン出しではさすがに対戦相手がカカシであること前提すぎるため、2マナブーストが必要になってくるからだ。

　ここから導き出されたのは、そもそも「《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》が《眼鏡の頑強者》の代替である」という前提に無理がある可能性だった。《眼鏡の頑強者》でゲームに勝つのに3～4枚の介護が必要だとして、《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》ではそれにさらにプラス1枚の介護が必要となってしまう。同じシールド焼却能力を持っているとはいえ、2マナのクリーチャーと4マナのクリーチャーとでは条件が違いすぎたのだ。

　だが、《Q.Q.QX/終葬 5.S.D.》以上に《眼鏡の頑強者》の相棒になれる存在がはたしているのだろうか？

　そんな都合の良い存在はいないように思われた。

　だから私は、デッキを逆算(・・)して考えることにしたのだ。

　「もし仮に、《眼鏡の頑強者》の相棒になれる存在があるとして」。

　そのデッキは、一体どのような構造になるだろうか？

　「アバレQX」が自然＋光という組み合わせだったのは、《剛力羅王 ゴリオ・ブゴリ》を使う必要があったからだ。そして《剛力羅王 ゴリオ・ブゴリ》を使う必要があるのはなぜかというと、《眼鏡の頑強者》に「パワード・ブレイカー」を付与したかったから。

　つまり《剛力羅王 ゴリオ・ブゴリ》以外の手段で《眼鏡の頑強者》に「パワード・ブレイカー」を付与できるなら、そのデッキは光以外の文明で組めることになる。

　それが《「カレーパンを食ってやるぜぇ!」》だ。手札の消費は激しいものの、これなら自然文明だけで《眼鏡の頑強者》に「パワード・ブレイカー」を付与するところまで行ける。

　あとはこの《眼鏡の頑強者》のパワーを24000以上に引き上げるだけだが、ここで私は「167ブレイク」での経験から、《秘密結社アウトレイジ》という手段にたどり着く。

　そう、これぞ「剛流振」。極限まで研ぎ澄まされた回転の力が、対戦相手のシールドを海の彼方にまで吹き飛ばすのだ。

　『着想』

　《「カレーパンを食ってやるぜぇ!」》と《秘密結社アウトレイジ》の組み合わせの良いところは、どちらも0マナで唱えられることだ。

　そしてこの組み合わせにたどり着いたことで、新たなアイデアが湧き上がってきた。

　0マナで「パワード・ブレイカー」付与とパワー+1000000が達成できるということは、自然のクリーチャーが2体だけいる状況下からどうにかしてスピードアタッカーを持たせた《眼鏡の頑強者》を出すことができれば、相手の意識外からのシールド全焼却＋ダイレクトアタックがいきなり決められるということでもある。そのアイデアはとても魅力的に思えた。

　そしてその「スピードアタッカーを与える」ことが、もし仮にその際に脇に並んでいる自然のクリーチャーによって達成できるならば申し分ないだろう。

　もちろん自然文明でスピードアタッカーを付与するクリーチャーなど存在するはずもないことはわかっている。だが既に仮定に仮定を重ねたデッキ構築の最中なのだ。ここまで来たならば行き着くところを見極めるだけ……「もし不可能が可能であると仮定して、結果が矛盾するならば不可能が証明される」という、数学における背理法の精神である。

　そうして私は、「自然文明でスピードアタッカーを与えられるカード」を検索した。その際、さすがに20枚も30枚も候補が出てくることはないであろうと予想されたことから、あえて「クリーチャー」に絞るようなことはしなかった。

　そして、その選択が。

　私に運命の邂逅をもたらしたのである。

　《運命の選択》を使えばいいのでは？？？🤔🤔🤔

　《運命の選択》はまずデッキ内から《眼鏡の頑強者》を直接バトルゾーンに出せるので、「《眼鏡の頑強者》の代替となるカード」という当初の要件を満たしている。

　さらにこの際火＋自然のクリーチャーを手札から見せることで、出した《眼鏡の頑強者》にスピードアタッカーまでも付与することができる。

　したがって、バトルゾーンに既に自然のクリーチャーが2体いて《「カレーパンを食ってやるぜぇ!」》と《秘密結社アウトレイジ》を持っていたならば、4マナと手札4枚からワンショットを決めることが可能となるのだ。

　仮定の上に仮定を重ねたデッキ構築が、思わぬ形で根本の問題を解決することにつながった。全くの偶然ではあったが、こういうことが起こるのもデッキ構築の醍醐味と言えるだろう。

　《運命の選択》を望む形で運用するためには火＋自然のクリーチャーが必要となるが、《眼鏡の頑強者》でワンショットを決めるために必要となる膨大なリソース量 (バトルゾーンに自然2体、マナゾーンに4枚、手札に《運命の選択》《「カレーパンを食ってやるぜぇ！」》《秘密結社アウトレイジ》と火＋自然のクリーチャー) を考えると、極力手札を減らさないものが望ましい。

　そこで《Disノメノン》は、《運命の選択》で出せる上に相手のクリーチャー次第とはいえリソースを稼げるのでこのデッキにうってつけだ。

　また、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》は受け札にもなりつつコンボパーツを探しながら自身で手札に戻ることもできるアウトレイジとして重宝する。コンボパーツがすべて火か自然であることも地味に噛みあっている。

　さらに自然の「シビルカウント3」を達成したい都合からデッキ内のカードが自然単色や自然を含む多色に偏りがちなところ、《*/弐幻サンドロニア/*》は超GRを《GRの犬 ワンワンワン》に統一しておくことで、水文明単色のカードでありながら自然文明のクリーチャーとしてバトルゾーンに出すことができる。

　アウトレイジを用意できること、手札を減らさないこと、引きすぎた《眼鏡の頑強者》をデッキに戻せることなど、何から何まで役に立つ縁の下の力持ちだ。

　というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ！

　『眼鏡カレーパン・プロトタイプ』

　《運命の選択》との出会い、手札を減らさず自然文明のアウトレイジを出せる《*/弐幻サンドロニア/*》の発見、さらに自然文明単色でありながら自然・火・水という3色を供給できる《極楽鳥》までも搭載し、ついにデッキが完成した……かのように思われた。

　しかし実際に回してみると、生まれるのは不協和音の嵐であった。

　すべての問題を解決したはずなのになぜ？

　私は不協和音の原因を究明するべく一人回しを続けた。

　そしてついに、1枚のカードがその原因になっていることを特定したのである。

　そのカードとは、着想時点から当たり前のように搭載していた《虹彩奪取 トップラサス》だった。

　とはいえ、無条件でこのカードを採用してしまっているのにも理由があった。何せ「シビルカウント3」を達成するための「自然の軽量クリーチャー」であり、《運命の選択》を使うにあたって必要な「火＋自然のクリーチャー」であり、《秘密結社アウトレイジ》を使うのに必要な「アウトレイジ」であり、《Disノメノン》や《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を召喚するための「火＋自然マナ」にもなりつつ、《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》を1ターン早く召喚するための「マナ加速」にもなる。これほど多くの条件を満たしたカードは他にないからだ。

　だが、知識の上ではそう思っているにもかかわらず、一人回しの結果は間違いなくこのコンセプトに《虹彩奪取 トップラサス》が不要であることを示していた。

　その原因は、《虹彩奪取 トップラサス》が常にカード1枚分の役割しか果たさないという点にあった。

　既述のとおり、《眼鏡の頑強者》を使ったワンショットは尋常ではない枚数のリソースを必要とする。それを現代デュエマにおける常識的なターンで達成しようとするならば、1つの役割を果たすカードは《*/弐幻サンドロニア/*》や《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》のように、別の役割を果たす新たなカードをなるべく連れてこれるカードでなければならない。

　そのようなカードに、私は心当たりがあった。《運命の選択》を見つけた時点から、ずっと頭の片隅には存在していた。

　そう、《天災 デドダム》だ。

　《Disノメノン》が新たなリソースになるかは相手のバトルゾーン次第だが、《天災 デドダム》ならば「シビルカウント3」の足しになりつつ、その局面において足りないカードを探しにいく役割を常に果たすことができる。《運命の選択》を使うデッキである以上、このカードを入れない選択肢はなかった。

　とはいえ、もちろん闇文明の供給が困難という問題点もある。しかしマナに水文明さえ置ければ《極楽鳥》が闇文明を供給してくれるし、《運命の選択》からのサーチ先としての役割が大きいので、必ずしも4枚入れる必要があるというわけではない。

　また、《虹彩奪取 トップラサス》の不採用によって減った2マナ域を補うカードとしては《地龍神の魔陣》に白羽の矢が立った。このカードは「シビルカウント3」の達成の役には立たないが、《虹彩奪取 トップラサス》と違って3ターン目の《運命の選択》プレイに寄与すること、《天災 デドダム》の採用によって水文明が比較的供給しやすくなったこと、ゲーム後半にも足りないコンボパーツを探してこれること、「G・ストライク」で一応受け札になることなど、考えれば考えるほど妥当な採用に思えた。

　というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ！

　『眼鏡カレーパン・43枚版』

　40枚超えてるじゃねーか！！！😡😡😡

　これが最後の難関だった。あと3枚をどうやって削るのか。

　《*/弐幻サンドロニア/*》を採用した時点でアドバンス・フォーマットのデッキであることは確定なので、いっそのこと《13番目の計画》を採用するという手もあった。しかし《運命の選択》くらいしか確定サーチがないこのデッキで山札を増やす合理的な理由がなかった。

　私はすべてのスロットの採用理由を、いまいちど1枚1枚検討していった。初動は削れない。《*/弐幻サンドロニア/*》と《切札勝太&カツキング ー熱血の物語ー》はデッキのキーカードだ。殿堂カードも入れ得のカードばかり。

　最後に残ったのが、コンボパーツの部分だった。

　そもそもこのコンボはサーチカードによってコンボパーツを集めることを前提としているため、決まるターンは早くはない。そしてサーチカードのサーチ力は、確定サーチでこそないもののかなり高い。

　ならば素引きしての手打ちが強い《運命の選択》を除いて、コンボパーツは3枚ずつでもいいのではないか？

　それは「コンボは可能な限り早く決めるべき」という固定観念を打ち破る、発想の転換だった。揃わないとフィニッシュできないカード群ではあるが、逆に言えばフィニッシュにしか使わないカードたちなのだから、そもそもフィニッシュの前段階において達成しておくべき条件があるのならば、それを達成するためのカードの方にスロットを厚く割くべきなのは当然だ。

　というわけで、できあがったのがこちらの「眼鏡カレーパン」だ！

　『眼鏡カレーパン』

　このデッキが実際にどんな動きをするのか気になる方は、以下の動画で確かめてみて欲しい。

　さて、いかがだっただろうか。

　《眼鏡の頑強者》が収録されているゴッド・オブ・アビス第2弾「轟炎の竜皇」は、12月17日(土) に発売予定だ。

　また、コロコロコミック12月号ではデュエル・マスターズの原作コミックが読めるほか、デュエマに関する激アツな最新情報も色々と掲載されているので、ぜひとも手に取ってみていただきたい。

　ではまた次回！

ライター：まつがん                      
 
フリーライター。クソデッキビルダー。        
 
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。  
 
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている（が、上記のような理由で大体失敗する）。

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