デュエマ妄想構築録 vol.65-2 ～エターナル迷走！クランヴィア・ボルバルエッジ!!～

By まつがん

　「頂上決戦!!デュエキングMAX 2023」は、発売直後から様々な新アーキタイプを生み出した。だがそんな中で、一見しただけでは適切な使い方が思いつかないようなカードも存在していた。

　《氷牙要塞クランヴィアV世》。「墓地呪文進化」という唯一無二の能力を持ちつつ、進化クリーチャーで攻撃時に呪文を唱えられるという、バグの可能性がこれでもかと詰め込まれた1枚である。

　「こんなに色々なことができるのだから、きっとすぐに面白いデッキができるに違いない」

　それは《氷牙要塞クランヴィアV世》に挑んだ者が必ず口にする遺言だ。

　そう……まさかそれが長すぎる旅路の始まりになろうとは、この時点ではよもや予想していなかったのだ。

　さてそんなわけで《氷牙要塞クランヴィアV世》でデッキを作るにあたり、まず最初に私が考えたのはどうにかしてクソ重呪文を踏み倒して一撃で勝てないか？？？というものだった。

　とはいえ《氷牙要塞クランヴィアV世》で唱えられる呪文はマナの総量によって制限されている。5マナで《氷牙要塞クランヴィアV世》を出したなら、5マナまでの呪文しか唱えられないのが通常だ。

　だが《氷牙要塞クランヴィアV世》は5コストの「マジック」なので《芸魔王将 カクメイジン》に「革命チェンジ」できる。

　そしてこのギミックを駆使すれば、《氷牙要塞クランヴィアV世》を出したターンに最大3つの呪文を連続して唱えられることになる。

　ならばその1つを「マナを伸ばす呪文」にすることで、マナの総量による制約を超えてゲームに勝てるクソ重呪文を踏み倒すことが可能となるのだ。

　では、5マナ以下で最もマナが伸びる呪文といえば何か？

　私の答えは、これだ。

　オーロラを唱えながらカクメイジンにチェンジしたら轟破天で勝ち確では？？？🤔🤔🤔

　《逆転のオーロラ》を《氷牙要塞クランヴィアV世》から唱えれば一気に10マナに到達できる。となればチェンジした《芸魔王将 カクメイジン》の能力でさらに《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》をも唱えられるので、4ターン目のゲーム崩壊も夢ではないはずだ。

　というわけで、できあがったのがこちらの「クランヴィア・カクメイジン」だ！

　『クランヴィア・カクメイジン』

　手札と墓地とマナ、ありとあらゆるゾーンに無茶苦茶な要求をするな！！！😡😡😡

　4ターン目の《氷牙要塞クランヴィアV世》で《逆転のオーロラ》を唱えるためには3ターン目のマナ加速であらかじめ墓地に落としておかなければならず、その上で4ターン目時点で手札に《芸魔王将 カクメイジン》《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》のセットを要求し、なおかつマナゾーンには致死打点が必要ということで、端的に言ってうんこみたいなコンボ、略してうんコンボであった。

　かくして《逆転のオーロラ》＋《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》での失敗により、私の考えはマナを伸ばしてデカい呪文を唱えるよりも、5コストの呪文でユニークな効果を持つものを踏み倒して面白いことができないか、と考える方向にシフトしていった。

　その結果、見出したのが次なる戦略である。

　《イセカイ・プログラム》で《蒼狼の大王 イザナギテラス》を確定サーチしてガチャガチャできるのでは？？？🤔🤔🤔

　《イセカイ・プログラム》はデッキ構成を縛ればデッキ内の特定のクリーチャーをサーチして出せるようになるカードだが、「クリーチャーを出す→《イセカイ・プログラム》を当てる」という2ステップだと鈍重なため、5マナの呪文を踏み倒せる5マナ以下のクリーチャーが求められていたところであった。そこにきて《氷牙要塞クランヴィアV世》の登場により、《イセカイ・プログラム》を踏み倒して悪さをするコンセプトが誕生する契機となったのだ。

　というわけで、できあがったのがこちらの「アーテル・クランヴィア」だ！

　『アーテル・クランヴィア』

　ガチャガチャした結果何も起こらん！！！😡😡😡

　クリーチャーから呪文を唱えたり呪文でクリーチャーをまた別のクリーチャーに変換したりとガチャガチャはすれども、《アーテル・ゴルギーニ》以外は所詮1対1のカードなので、いつまで経っても何も起こらない無のコンボ、略して無ンボであった。

　だが、ならば1枚が2枚に増えるカードを使えばいいのだ。

　そのカードとは、そう。

　《龍素記号wD サイクルペディア》と《サイバー・K・ウォズレック/ウォズレックの審問》を入れたらガチャガチャが強化されるのでは？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらの「イザナギ・クランヴィア」だ！

　『イザナギ・クランヴィア』

　クランヴィアいらねーだろ！！！😡😡😡

　そう、「発想の元となったカードを、コンセプトの側は別に必要としていない」……という、デッキ作りの際に起こりがちな事態がついに発生してしまったのである。

　実際このデッキは最終的に「《ドラグハリケーン・エナジー》が入ってドラゴンじゃない《氷牙要塞クランヴィアV世》が抜ける」という悲しい結末を迎えてしまった。それはそれで面白そうなコンセプトではあるものの、「《氷牙要塞クランヴィアV世》を使ったデッキを紹介する」という今回の記事の趣旨にはそぐわない。

　だがそうなると「《氷牙要塞クランヴィアV世》で《イセカイ・プログラム》を唱える」という現状の指針そのものが行き詰まりを迎えてしまう。

　となれば、再び《氷牙要塞クランヴィアV世》で唱えたい5コスト以下の呪文を探す必要が出てくる。

　とはいえ、《イセカイ・プログラム》まで行き着いたことで連想は比較的簡単だった。

　《転生スイッチ》や《テキサス・ストーム》を唱えたら楽しいのでは？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらの「転生クランヴィア・カクメイジン」だ！

　『転生クランヴィア・カクメイジン』

　別に《瞬閃と疾駆と双撃の決断》でいいだろ！！！😡😡😡

　かくして研究すれどもなかなか満足のいくアイデアが出せない日々が続いた私は、一度没案としたアイデアを深掘りするという現実逃避に走るようになっていった。

　具体的には、最初に作った《逆転のオーロラ》《キングダム・オウ禍武斗/轟破天九十九語》の形。その弱点の一つは勝ち手段が結局愚直な殴りになってしまう点だった。

　ならば特殊勝利を勝利手段に据えることで、コンボパーツの多さは変わらずとも一段階上のステージに上がれるのではないか。

　そう、すなわち。

　《水上第九院 シャコガイル》と《堕∞魔 ヴォゲンム》を同時に出したらうまいこと山札が削れて勝つのでは？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらの「クランヴィア轟破天」だ！

　『クランヴィア轟破天』

　山札の残り枚数を調節できなくて全然勝てない！！！😡😡😡

　そう、それは全く成立しておらずデッキのふりをしたクソ紙束、略してクソ束であった。

　だが、ここまでやり込んだ時点で「《氷牙要塞クランヴィアV世》でどんな呪文を唱えるか」という方向性には限界があると自信をもって言えるようになったことは一つの収穫であった。

　つまり、《氷牙要塞クランヴィアV世》で呪文を唱えない使い方にはまだ可能性が残されているのではないか。

　そう、すなわち。

　《侵略開始!!にゃんこ軍団/にゃんこ砲発射!》を下に敷いたら「退化」できるのでは？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらの「クランヴィア退化」だ！

　『クランヴィア退化』

　だから何やねん！！！😡😡😡

　そう、それはゴミであった（直球）。

　だが呪文もダメ、退化もダメとなると、あと考えられるのはループくらいしかない。

　私は無い知恵を絞って《氷牙要塞クランヴィアV世》を使ったループをどうにかゼロからひねり出そうとした。

　その結果がこれだ。

　《Code:-MAX》とか《革命類侵略目 パラスキング》とか使ったらループするのでは？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ！

　『コード・クランヴィア』

　『転生クランヴィア』

　コンボパーツ多すぎて心折れてるじゃねーか！！！😡😡😡

　確かに《氷牙要塞クランヴィアV世》を使ったループは実現可能だ。だがそれは「墓地呪文進化」の達成を要する点も含めてどうあがいても「ネバーループ」の下位互換になってしまうのだ。

　とはいえ、ループもダメとなると八方塞がりである。

　どれだけデッキを作っても実らない。あまりの苦行に、私は《氷牙要塞クランヴィアV世》を諦めることすら考えた。

　だがそこで、まだ試していない可能性に気づいたのだ。

　最大バリューを求めて5コストの呪文を探した結果が《逆転のオーロラ》や《イセカイ・プログラム》、《転生スイッチ》や《テキサス・ストーム》だった。

　しかし私は学んだはずだ。5コストの呪文を唱えられるタイミングだからといって、必ずしも5コストの呪文を唱えなければいけないわけではない。

　つまり、4マナの呪文を唱えてもいいのだ。

　そう、すなわち。

　5コスト以下で一番強い呪文って結局《キユリのASMラジオ》では？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらの「クランヴィア・ラジオ」だ！

　『クランヴィア・ラジオ』

　全然クランヴィア要らない！！！😡😡😡

　良いシナジーというものはA→Bの要請とB→Aの要請とを双方向で満たしているものだ……だがデッキ構築において往々にしてよくあることだが、《氷牙要塞クランヴィアV世》の側は《キユリのASMラジオ》を必要としているとしても、《キユリのASMラジオ》の側は《氷牙要塞クランヴィアV世》を一切必要としていないのである。

　しかし、それは《氷牙要塞クランヴィアV世》で唱える呪文が《キユリのASMラジオ》4枚だけだと少ないからかもしれない。

　そこで私は《キユリのASMラジオ》の5～8枚目を探すことにした。

　その結果がこれだ。

　《キユリのASMラジオ》に加えて《有象夢造》も入れたら安定するのでは？？？🤔🤔🤔

　というわけで、できあがったのがこちらの「クランヴィア・パラドックス」だ！

　『クランヴィア・パラドックス』

　いいから早くクランヴィア抜け！！！😡😡😡

　そう、もはや論外であった。

　あれも、これも、思いついたアイデアはすべて試した。

　理論も、妄想も、こじつけられるものはすべてこじつけた。それでも「答え」にはたどり着かない。

　もう無理だ、と思った。諦めようと、そう思った。

　そうしたら、降ってきたのだ。

　天啓が。

　思えばこれまで、「《氷牙要塞クランヴィアV世》で唱える呪文は5コスト以下であるべきである」という発想に縛られていた。もちろんマナカーブ上それが自然であることは間違いない。

　しかし。

　もしも6コスト以上で、《氷牙要塞クランヴィアV世》から唱える価値のある呪文があるとしたなら？

　そう、すなわち。

　《無双と竜機の伝説》を2回唱えて2ターンとったら最強では？？？🤔🤔🤔

　7マナがあり、《無双と竜機の伝説》を下に敷いた《氷牙要塞クランヴィアV世》で攻撃時に《芸魔王将 カクメイジン》へと「革命チェンジ」宣言をすると、《氷牙要塞クランヴィアV世》で唱えた《無双と竜機の伝説》を《芸魔王将 カクメイジン》で再び唱えられる。シンプルだが強烈な動きだ。

　しかも《氷牙要塞クランヴィアV世》は進化クリーチャーなので、「水闇自然ジャオウガ」でお馴染みの《幻緑の双月/母なる星域》でコストを踏み倒して出すことができる。《無双と竜機の伝説》が撃てなさそうなときは、《CRYMAX ジャオウガ》で開き直ってしまえばいい。それもう「水闇自然ジャオウガ」で良くね？というのは禁句だ

　というわけで、できあがったのがこちらの「クランヴィア・ボルバルエッジ」だ！

　『クランヴィア・ボルバルエッジ』

？？？「……長いよ！！！」

　そ、その声は！？

　旬のYouTuber、デッドマン！！(ひきにくですって言ってた)

デッドマン「ややこしいカードに疲れた研究仙人のために、また新しいカードを持ってきましたよ！」

　はたしてデッドマンが持ってきてくれたカードとは！？

　次回に続く！

ライター：まつがん   フリーライター。クソデッキビルダー。 論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。 オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている（が、上記のような理由で大体失敗する）。

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