By まつがん
王道篇第4弾「悪魔神、復活」は、新規アーキタイプの核となるようなカードを無数に供給してくれた。
そんな中で、私が目を付けた1枚がこれだ。
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《悪魔世界の激流》。「ヨビニオン」持ち呪文のサイクルだが、5枚の中でもこのカードは一際高い殺意を持っている。
まず、呪文自体のコストが《悪魔世界の業焔》と並んで最軽量であること。そして「ヨビニオン」の性質上、もとの文明が火であろうが水であろうがスペックは呼び出し先に依存するため《悪魔世界の業焔》との差異はないこと。
最後に、付け加える効果が《悪魔世界の業焔》よりも強力であること。《悪魔世界の業焔》はスピードアタッカーを付与できるが、呼び出し先の4コストクリーチャーが元からSAを持っていれば特に関係のない効果である。そしてシールドブレイクも打点がどうしても足りないならば別論、トリガーをケアできないのならば「G・ストライク」による裏目もあるためほぼ自分側をブレイクして1ドローになりかねない。
それと比べると、「呼び出したクリーチャーにそのまま選ばれない効果を付与できる」というのは、「ここまでやったんだからトリガーケアして相手を倒せるでしょ?ねえねえねえ???」というウィザーズ開発部からの煽りともとれるほどに過大なサービスと言えるわけだ。
では《悪魔世界の激流》の最大値である「《悪魔世界の激流》を唱えただけでそのまま勝てるデッキ」を想定しよう。そのデッキでは、《悪魔世界の激流》の「ヨビニオン」から何を呼び出すのだろうか?
「ヨビニオン」の最大値は4コストだから、当然4コストのクリーチャーを呼び出すべきだろう。もちろん2コストや3コストも呼び出せるが、もっと高いコストならばいざ知らず、さすがに3コストで出てきてそのまま勝てるクリーチャーはほとんどいない。しかし4コストなら?
ここで注目すべきは、「クリーチャーに付与された効果は進化先にも引き継がれる」という点だ。スピードアタッカー持ちで進化を活用するギミック……ここまでたどり着いたならば、答えはもう一つしかない。
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《炎怒の夜 アゲブロム》から「侵略」すればいいのでは???
というわけで、できあがったのがこちらのデッキだ!
『激流レッドゾーン』
4 | 《炎怒の夜 アゲブロム》 |
4 | 《龍装者 バルチュリス》 |
4 | 《マジック・A・セミプーロ/♪閑かさや とにかくブレイン 蝉ミンミン》 |
4 | 《轟く侵略 レッドゾーン》 |
4 | 《禁断の轟速 ブラックゾーン》 |
4 | 《音素記号Bm エネルジコ/♪水面から 天掴まんと するチャージャー》 |
4 | 《堕呪 ゴンパドゥ》 |
4 | 《堕呪 バレッドゥ》 |
4 | 《ウィザード・チャージャー》 |
4 | 《悪魔世界の激流》 |
なんか一貫性がない!!!
確かに4ターン目に《炎怒の夜 アゲブロム》か《悪魔世界の激流》のどちらかを使うことで、そこから「侵略」+《龍装者 バルチュリス》でジャスキルを組めるという点は一貫している。だが片やただのジャスキル、片や選ばれない《炎怒の夜 アゲブロム》で5枚ブレイクまで確定というのは差がありすぎる。《悪魔世界の激流》を引いた場合と引かない場合で出力が違うのなら、デッキの出力はその両場合の平均値にまで下がってしまうのだ。
また、せっかく《悪魔世界の激流》で選ばれないアタッカーを使っているのにダイレクトアタッカーが《龍装者 バルチュリス》では進歩がない。いくら安全に5枚のシールドをブレイクできようと、結局《深淵の逆転撃》1枚で止まってしまう。これではわざわざ《悪魔世界の激流》を使う意味が乏しい。
かくして2つの問題が立ちはだかった以上、結論は一つだった。《炎怒の夜 アゲブロム》ではない「ヨビニオン」の呼び出し先を探すしかない。
だが、「4コストのスピードアタッカーで3コスト以下のクリーチャーを入れずともジャスキルが組めるカード」という条件はあまりにもシビアだった。昔のカードではほとんど無理なので、ここ2~3年のカードから探すしかないことは明白だった。
そして、その果てに。
私が導き出した答えは、これだ。
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《楽識神官 プレジール》を出して《サケビ・ポエムシャウター/♪いつまでも オレ様の歌は 終わらねぇ》を唱えたら勝てるのでは???
《楽識神官 プレジール》は「ハイパーモード」状態だと攻撃時にコスト5以下の火か水の呪文を唱えられる。《悪魔世界の激流》で選ばれなくなった《楽識神官 プレジール》の攻撃時に《サケビ・ポエムシャウター/♪いつまでも オレ様の歌は 終わらねぇ》を唱え、効果で相手のシールドを1枚ブレイクしながら攻撃時にアンタップ、そのままW・ブレイク。さらに2度目の攻撃時に墓地から《悪魔世界の激流》を唱えると、2体目の《楽識神官 プレジール》がこれまた選ばれない状態で出てくる。そしてW・ブレイクののち、呼び出した2体目の《楽識神官 プレジール》でS・トリガーをケアしながらのダイレクトアタックが可能という寸法だ。
だが、この想定には一つの前提が抜けていることに気づいた方もいるかもしれない。それは《楽識神官 プレジール》をハイパー化する必要があるという点だ。
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しかもこのデッキは《悪魔世界の激流》の「ヨビニオン」で確定で《楽識神官 プレジール》を呼び出すことをコンセプトにしているので、コスト4以下のクリーチャーは一切入れられないのである。もちろん「以前のターンに《オオガマ童子》のようなコスト5以上のクリーチャーをあらかじめ召喚しておく」ことも一つの解決法ではあるが、それはそれで隙が大きい。
どうにかして《悪魔世界の激流》を唱えるのと同一ターンに5コスト以上の「ハイパー化」用クリーチャーを用意することができないだろうか?
私はコスト5の呪文を唱えられるクリーチャーを検索した……そして。
見事、唯一無二の解にたどり着いたのだ。
そう、すなわち。
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《AQ NETWORK》を使えばいいのでは???
5マナある状態で《AQ NETWORK》を召喚、そのまま効果で《悪魔世界の激流》を唱えれば、選ばれない《楽識神官 プレジール》が登場する。そのまま「ハイパー化」できるので、あとは上記の手順でフィニッシュできる。
このコンボの素晴らしい点は、《AQ NETWORK》《悪魔世界の激流》《サケビ・ポエムシャウター/♪いつまでも オレ様の歌は 終わらねぇ》の3枚だけを手札に揃えればいいという点だ。しかも実際にマナを支払って使うのは常に《AQ NETWORK》だけなので、デッキは限りなく水単に寄せられる。加えて、もし《サケビ・ポエムシャウター/♪いつまでも オレ様の歌は 終わらねぇ》を引けなくても《楽識神官 プレジール》の登場時の2ドローで引きにいくこともできる。
「ヨビニオン」の制約上《楽識神官 プレジール》以外のコスト4以下のクリーチャーは採用できないが、他のスロットは限界まで3種のカードを集めるのに使える。これならばかなり現実的なラインで「G・ストライク」と単体除去のS・トリガーをケアしながらの4キルが実現できそうだ。
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4ターン目に5マナが必要な場合、「3→5」のラインを採用するのが効率的だ。今回は水単に寄せたいので、水の3コストチャージャーの中でキーカード3種にアクセスできるものが望ましい。《音素記号Bm エネルジコ/♪水面から 天掴まんと するチャージャー》はまさしく最適な1枚だ。
また、《ア・ストラ・センサー》などの1コストのドロー操作呪文を多めに採用することで、3コストチャージャーをさらに効率的に運用できる。《K・アトラン&キング海賊団/アイアイサー・チャージャー》は1~2ターン目に唱えた1コスト呪文を回収してそのまま唱えられるので、直接的にはコンボパーツ3種にアクセスできるわけではないものの、こちらも頼もしい1枚と言える。
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だが、《ア・ストラ・センサー》では《悪魔世界の激流》《サケビ・ポエムシャウター/♪いつまでも オレ様の歌は 終わらねぇ》にはアクセスできても《AQ NETWORK》には触れない。そこで白羽の矢が立ったのが《詠み人-シラズ-Machine/招水呪文「マジックル」》で、このカードは3種すべてに無条件でアクセスできる唯一の1コスト呪文なのである。見れる枚数は少ないが、デッキ構造的にハズレをなくすことも容易なので、地味にこのカードの存在によって最も助けられたデッキと言えるかもしれない。
「無条件で」と言ったが、条件付きでいいなら《お届け!スタートデッキ》も3種すべてにアクセスできるカードである。3コストチャージャーを唱えて浮いた1マナから唱えれば、3種のコンボパーツはすべて5コストなのでアクセス可能という寸法だ。ただ唱えたいターンがほぼ常にその瞬間しかない (一応3コストチャージャーを2ターン目に探しにいくことも可能だが外れる確率も大きい) ため、採用枚数を増やすことはオススメしない。
というわけで、できあがったのがこちらの「激流・プレジール」だ!
『激流・プレジール』
4 | 《楽識神官 プレジール》 |
4 | 《サケビ・ポエムシャウター/♪いつまでも オレ様の歌は 終わらねぇ》 |
4 | 《AQ NETWORK》 |
4 | 《K・アトラン&キング海賊団/アイアイサー・チャージャー》 |
4 | 《詠み人-シラズ-Machine/招水呪文「マジックル」》 |
4 | 《マジック・A・セミプーロ/♪閑かさや とにかくブレイン 蝉ミンミン》 |
4 | 《音素記号Bm エネルジコ/♪水面から 天掴まんと するチャージャー》 |
4 | 《ア・ストラ・センサー》 |
1 | 《お届け!スタートデッキ》 |
2 | 《堕呪 ゴンパドゥ》 |
1 | 《ウィザード・チャージャー》 |
4 | 《悪魔世界の激流》 |
まつがん「よし、このデッキで勝負だ!デッドマン!!」
デッドマン「いいですよ!では《巡霊者メスタポ》を召喚します」
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だったらポエムシャウタービート見せてやるよ!!いつまでもオレ様の歌は終わらねぇからよ!!!
ではまた次回!
ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。
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