コロコロコミック500号記念企画!! 歴代編集長リレーインタビュー第3回【1987〜1991】創刊メンバー・3代目編集長/平山隆

漫画『ウルトラマン』誕生の背景に『スター・ウォーズ』

――創刊当初の「ガッツな笑いとド迫力」という不滅のモットーは、現在のコロコロにも受け継がれています。このキャッチコピーは、どのように生まれたのでしょうか。
 
『コロコロコミック』を創刊して1年ほど経った頃かな。漫画『ウルトラマン』を大特集する増刊号を出したんだけど、表4(※裏表紙)に広告が入らなかったので、『コロコロコミック』の宣伝広告を入れることにしたんです。そこで、当時のバックナンバーの表紙を並べて、僕がバンッとコピーを載せた。それが「ガッツな笑いとド迫力」でした。
 

▲これがその増刊号の裏表紙だ!! 闘志があふれているね。

“ガッツな笑い”は『ドラえもん』を中心としたギャグ漫画、“ド迫力”は『ウルトラマン』シリーズをはじめとする劇画調・ストーリー系の漫画をイメージしてのコピーでした。創刊間もない頃のコロコロコミックを支えてくれていたのは、『ドラえもん』と『ウルトラマン』でしたから。実は、この漫画版『ウルトラマン』シリーズ誕生の背景には、映画『スター・ウォーズ』の存在が影響しています。
 
——『スター・ウォーズ』ですか!?
 
そう。というのも、コロコロコミックが創刊した翌年(1978年)に『スター・ウォーズ』が日本で公開されたんです。世界的に大ブームとなった作品ですね。そこで、コロコロコミックでも『スター・ウォーズ』のようなスペースオペラを漫画に出来ないかと考えた時に思い浮かんだのが、「ウルトラマン」でした。「そうだ、僕たちにはウルトラマンがいる!!」と。
 
コロコロコミックの『ウルトラマン』シリーズは、円谷プロの許可を得た上で、地球で巨大化して戦うのではなく、遥か彼方の宇宙を舞台にしたオリジナルストーリーでした。ウルトラセブンの放った光線が誤って子どもに当たり、思い悩んで酒場でお酒を飲む、なんていうシーンもありました。これこそが“コロコロ漫画史”のポイントで、コロコロコミックでしか読めないオリジナルの物語ということが大切なんです。
 
この『大長編ドラえもん のび太の恐竜』連載開始時のページを見てください。「独占連載」と強調しています。「『コロコロコミック』にしか載っていない」という、編集者の作品創りと掲載への執念ですね。
 

▲『大長編ドラえもん のび太の恐竜』。迫力満点のカラーページだ!!

コロドラゴン誕生の裏に、あの超有名映画の存在が!!

 

▲コロコロ誌面にコロドラゴンが初登場した記念すべきページだ!!

——1981年から、コロコロコミックのマスコットキャラクター“コロドラゴン”が誌面に登場します。誕生時のエピソードを教えてください!
 
『ビッグコミック』や『少年サンデー』には、ナマズがいるでしょう。『少年ジャンプ』にもあるし、そういうのをコロコロコミックでもつくろうじゃないかという話になったんですね。一応、マスコットキャラクターらしいものはあったんだけど。
 
——知る人ぞ知る、“コロちゃん”ですね。ドラゴンというモチーフを選んだのは、どうしてでしょうか。
 
「天を翔けるドラゴンのように漫画界に風を呼び、ぐんぐんと上昇していって、とどまることを知らぬ」……という意味合いもあるんだけど、これには裏話があって。当時、ブルース・リーの主演映画『燃えよドラゴン』が話題になっていたので、「ドラゴン(=竜)いいじゃない! 『燃えよドラゴン』、コロコロアチョーだよ!」なんて会話から始まったんですね。それで、初代表紙デザイナーである有賀一宇さんにデザインしてもらったのです。
 

▲これが記念すべき創刊号の表紙! 「創刊号」の文字の左にいるのが、コロちゃんだ!!

——編集部内の楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。
 
バカな冗談を言い合って、ゲラゲラ笑いながらみんなで創っていました。90号の表紙だったかな、「目指せ100号!」というコピーを入れて、「“100”という数字を大きくしたら、100万部と勘違いして『そんなに売れているんなら買ってみよう』と思う人がいるんじゃないか」なんて話したりね。当時、100万部というのは、まだちょっと先の数字でしたから。
 

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