コロコロコミック500号記念企画!! コロコロコミック歴代編集長インタビュー 第5回【1994〜1999】5代目編集長/三浦卓嗣

コロコロよ、今いる場所を超えてゆけ!

——200万部を達成したときの状況や思い出深いエピソードを教えて下さい。
 
手元に1990年代後半のコロコロコミック月次部数表のコピーがあります。今見ても改めて驚くような数字が並んでいます。
 
1990年代はデジタル前夜とも言える時代で、紙媒体の漫画人気が絶頂を極めていました。『週刊少年ジャンプ』が発行部数653万部、ギネス記録となったのが1995年。雑誌と単行本を合わせた販売金額も5,800億円を超えて、ピークを迎えていました。その後2000年代に入ると急速にデジタルシフトが進行しましたから、もうこんな時代は二度と来ないでしょう。
 
月刊漫画誌においてはコロコロコミックの発行200万部到達が特筆すべき数字と言えます。当時の小学生人口がおおむね800万人。男の子が半分の400万人として、二人に一人がコロコロコミックの読者だったという計算になります。
 
94年の着任当時、部数は50万部ほどで、講談社の『コミックボンボン』にも後れを取っていました。ボンボンに追いつけ追い越せ、ジャンプの小学生層を囲い込めが合い言葉で、宴会の後にはいつも部長が「敵は音羽!!!」と叫んでいました。
 

▲笑って話す三浦さん。東京都文京区音羽には、当時のライバル誌『コミックボンボン』を出版していた講談社があるのだ!

——200万部を刷るのは、決断が必要だったのでは?
 
部数表を見ると、50万部からスタートしてほぼ2年後、96年9月号で100万部越え。ミニ四駆が部数を押し上げ、これにポケモンが加わってきた頃。そこからわずか一年の間に、ポケモン熱の高まりとハイパーヨーヨーのブームなどで部数が倍増、ついに97年9月号で200万部を発行することになります。
 
実は驚くべきは単に部数だけではなく、売上率なのです。ちなみに97年4月号から5月号、6月号、7月号とすべて97%以上。ほぼ完売で、おそらく市場的にはショートしていたのではないかと思います。
 
このあたりは販売的にも苦労の多いところです。部数が多いだけに読みを誤れば大量の断裁処理が待ち受ける。さて200万部刷ろうかという販売会議でもこのあたりはもめにもめました。いくら9月号は統計的に部数がはねる月で、ポケモンカードやミニ四駆など強力企画があっても200万部刷るとなると、仮に売り上げ率85%の高率だったとしても30万部の返品を抱えることとなる。普通の雑誌1号分、まるまるにあたります。長い議論の末、さあ、どうする!?となったとき、今でも忘れはしない販売部の偉いさんの一言、「記念だ、刷っとけ!」
 
こうして、まさに記念の号となった9月号は、つつがなく史上最大数の子どもたちの笑顔をいただくことになりました。200万部突破記念で2枚セットのテレカも制作しました。今も手元に残っています。
 

▲私物の記念テレカを持ってきてくださった! 超激レアだ!!!!

——雑誌を作るにあたって、編集者に伝えていたことは?
 
逆にちゃんと伝えていなかったことを今更ながら言わせていただければ、編集部の皆さんや作家さんはじめ協力していただいた関係者の皆様への御礼感謝です。当時は突っ走っている最中で意識できませんでしたが、こうして改めて振り返ってみると、在職5年間の疾走が周囲に与えた影響、ご迷惑は相当に大きいことが分かります。
 
私はいわば周囲の助けを借りてヨタヨタと山頂に連れて行ってもらった登山隊の隊長です。でも、そこから見えた景色はなかなかに得がたいものがありました。これを見せていただけただけで、ありがたいことだと思っています。
 
——現在のコロコロ編集部に言っておきたいことはありますか?
 
さて終わりに、200万部達成で20媒体以上から取材を受けてコメントした当時の記事の一節を引いておきます。
 
「今後、いろいろなメディアが広がりを見せた時に、コロコロコミックも変わっていくと思います。今のこどもたちが生きている環境と将来はさらに違うでしょう。今のこどもは電子機器に対するアレルギーが全くないし、ほとんど自由に使いこなします。そういう彼らが大人になった時にそのこどもたちが読むコロコロコミックが、このままでいいのか、変わるべきなのかということは、ぼんやりですが考えています」(※『ジャストNOW』/1998年新春号より)
 
さてさて、それから20年という月日が流れました。
 
秋本編集長、変わりましたか? 秋本さんは私が編集長時代の新入社員でしたね。あなたならきっと新しい時代のコロコロコミックを創出できますよ。それと、本欄担当の五十嵐さん、変わりましたか? 五十嵐さんはちょうど私が編集長時代のコロコロ読者だそうで。ぜひあなたのお子さんにも熱いコロコロ魂を見せてやって下さい。
 
繰り返しますが、雑誌に扱えないことなんかありません。今いる場所を、超えて行きましょう。
 

▲かつての部下である現秋本編集長とガッチリ握手!! コロコロ魂は託したぜ!!


ところで現在、私自身は紙媒体へのこだわりを捨てきれず、小学館スクウェアというところで自費出版&カスタム出版の仕事に携わっています。一人や一社のパーソナルな夢を本の形で実現したいと思っています。
 
以下、宣伝で恐縮です。特に読者の親御さんや読者OBの皆様、企業広報担当の皆様、あなたの伝えたい「思い」を本にしてみませんか? 自費出版にご興味のある方、企業のカスタム出版をお考えのご担当者様、ぜひ一度下記までお問い合わせ下さい。
 
小学館スクウェア
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次回は、6代目編集長の横田清さんが登場!! 『でんぢゃらすじーさん』『ケシカスくん』『コロッケ!』などを生んだ、2000年代の「漫画回帰」について話してもらったぞ!!!!

コロコロ500号フェスティバル特集記事はこちら!!

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