コロコロコミック500号記念企画!! コロコロコミック歴代編集長インタビュー 第7回【2004-2011】7代目編集長/佐上靖之(サガミネーター)

子どもたちの世界とコロコロ誌面はシームレス

——レッツ&ゴーは大ブームを巻き起こしましたが、人気の広まりを感じた瞬間はありますか?
 
イベント会場に子どもたちや親御さんが入りきれないくらいの大行列ができた時とかね。でも、一番印象深いのは、ミニ四駆の大会だな。当時、“ミニ四ファイター”というキャラクターがいたのを覚えてるかな?
 

▲キミはあの熱き闘いを覚えているか!?

全国大会で日本一を決める時とかさ、ミニ四ファイターが真夏の炎天下でずーっと叫びながら実況してるの。するとさ、最後に過呼吸を起こしてしまうんだよね、熱が入りすぎて。彼が倒れてしまうとレースの進行ができなくなってしまうから、みんなで裏に運んで介抱して。さながら、夏の甲子園みたいなわけ。
 
負けた子ども……選手も、思いっきり泣いててさ。そういう、気持ちの入った選手と、スタッフと、夏の暑さとは違う“熱”を感じながら仕事していたっていうのは、ものすごく楽しかった。
 

 
——当時の選手たちが、このページを読んでくれるといいですね。
 
そうだね。子どもたちがさ、コロコロの記事や漫画に感化されて、本物のミニ四駆を手にして「●●くんには負けない!」って、頑張って改造して臨んだレースで買ったり負けたりする様子を見てさ、思ったんだよ。あ、現実の子どもの世界とコロコロの誌面ってシームレスにつながってるんだ、って。
 
おれさ、正直に言うと、小学館に入社した頃は大人向けの情報誌がやりたかったの。だから、最初に『てれびくん』に配属された時は、実はガッカリした。でも、今は全然、そんな風に思わない。「少年誌をつくるのっておもしれーな」「この仕事いいな」って思わせてくれたのは、熱中する子どもたちの姿。つまり、読者だったんだよね。
 
——そのエピソード、めちゃめちゃ泣けます……。ミニ四駆のあとには、『ポケットモンスター』が大ブームとなりましたが、当時のことを教えてください。
 
ポケモンとレッツ&ゴーの話って、つながってるんだよね。ミニ四駆にハマってる子どもたちってさ、ミニ四駆を入れて持ち運べる「レーサーズボックス」を持っていたわけ。ミニ四駆本体はもちろん、モーターとかパーツとか入れてさ。
 
それで、イベントの時に「みんな、あの箱に何を入れてるんだろう」と思ってよーく見てみると、任天堂の初代ゲームボーイ(※ニンテンドー3DSなど、任天堂の携帯ゲーム機の元祖的存在だよ!)が入ってるわけ。これがさ、ちょうどスポッと入るサイズなのよ(笑)。
 

▲幻のポケモン“ミュウ”のプレゼント企画などが大反響となった!!

でもさ、当時って初代プレイステーションとか、セガサターンとか、NINTENDO64とか、いわゆるCGを使った次世代機が出てきた頃で、ゲーム専門誌では「次世代ハード戦国時代」くらいに言われてたの。要は、ゲーム機がどんどん高スペックになっていくと。ただ、コロコロ読者の様子を見ていると、ちょっと様子が違う。何故なら、次世代機は高価だから、どの家庭にもあったわけじゃないんだよね。
 
じゃあ、子どもたちにとって身近なゲーム機が何だったのかと言うと、モノクロのゲームボーイだった。これは胸を張って言えるけど、コロコロ編集部は、ミニ四駆の現場でそれとちゃんと把握していた。だから、ゲームボーイで遊べる新しいソフトは何かないだろうか、と編集会議でよく話していたんだ。
 
——そんな時に現れたのが、『ポケットモンスター 赤・緑』だったんですね……!
 
コロコロが最初から大特集していたかと言われると、そこまで確信めいたものではなかったけれど、日常的に子どもたちの様子をウォッチしておく大切さを改めて感じたのが、ポケモンの出現だったね。
 

▲コロコロ限定の“青版”の誌上販売など、ポケモンブームは加速!

“謎のおじさん”として、子どもたちの行動をリサーチ

——佐上さんは『ムシキング』の時も、ブームになる1年以上前からウォッチしていたそうですね。大ヒットの根を見つけるために、子どもたちの集まる場所に足を運んでいたと聞いています。
 
たとえばさ、ミニ四駆の公式大会とかのイベントって、親御さんの理解がないと、小学生だけでは行けないわけじゃない? でも、そういう子どもたちだけがコロコロ読者のすべてではないから。「僕たちの地元ではイベントやらないし」っていう子どもも、たくさんいるわけ。
 
だから、津々浦々の駄菓子店・おもちゃ店・模型店に足を運んで、子どもたちが何をして遊んでいるのかを見ることは、絶対に仕事の足しになると思っていました。謎のおじさんとして、いろいろな店に出没してね(笑)。
 
——そのサングラス姿では、相当怪しかったのではと思いますが!?!?
 
うん、通報されなくてよかった(笑)。でも、真面目な話さ、順序としては間違ってないと思うの。子どもたちが何に夢中になっているかを知って、自分たちも同じものを遊んで、魅力を理解した上で漫画なり記事にすると。
 
いやさ、『てれびくん』の時に思ったんだけど、コロコロ編集部って、うるさいのよ! だって、みんな遊んでばっかりなんだもん(笑)。でも、雑誌をつくる編集者が自ら遊ぶことで、頭で理解するんじゃなくて、子どもたちがどうして夢中になっているかを体で理解できるんだよね。どれだけ忙しい時でも、子どもたちと同じ気持ちになって遊ぶことだけは忘れないでいてほしい。


次回の更新は、8代目編集長の“ムラ神様”こと村上孝雄さん(2011〜2015年)が登場だ!! ベイブレード誕生秘話やコロコロアニキ創刊の裏話など、コロコロオンラインでしか読めないエピソードがバンバン飛び出すぞ!! 楽しみに待っていてくれよな!!!!
 
みんな、ここまで読んでくれてありがとう! ただ、話がおもしろすぎて、まだまだ記事にしたい内容がてんこ盛りなんだ!! 「ハイパーヨーヨー」「ペンギンの問題」「でんぢゃらすじーさん」「ゾイド」「ベイブレード」「イナズマイレブン」「コロツアー」など、2011年までの話題がたくさん出てくるから、これらのキーワードが少しでも引っ掛かったキミは、次のページをクリックしてくれ!!!!  デデン・デン・デデン! I’ll be back!!


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