コロコロコミック500号記念企画!! コロコロコミック歴代編集長インタビュー 第8回【2011-2015】8代目編集長/村上孝雄(ムラ神さま)

コロコロアニキ誕生前夜

——14年にはコロコロアニキを創刊していますね。誕生秘話など、ありますか?
 
益江(=現『てれびくん』副編集長)と石井(=現コロコロ副編集長)が「増刊を出したい」って言ってきたんだけど、『妖怪ウォッチ』ブームで忙しいし、出さなくてもいいんじゃないのと言ったんだ。でもさ、「出したい、出したい」って、しつこいんだよ(笑)。
 
それで、ある日、ミニ四駆のイベントを見に行った時にタカラトミーの若手だった吉原くんと会ったらさ、「ミニ四駆ってすごいっすね。オレも将来、こんなことになる仕事がしたいっす!」みたいなことを言っていて。「あ、そうか。2人のやりたいことにミニ四駆をくっつければ、いい増刊になるかもしれない」と思ったんだ。ちょうど時期を同じくして、のむらしんぼ先生の描いた『コロコロ創刊伝説』がおもしろいからネームを見てくれ、と石井に言われて読んでみると、これがおもしろいんだよ。ミニ四駆と創刊伝説さえあれば、大人のコロコロとして成立するなとさえ思った。
 
ただ、さっきも言った通り、ものすごい忙しかった。だから、監査役の横田さん(=横田清/6代目編集長)と佐上チーフプロデューサー(=佐上靖之/7代目編集長)に「増刊出したいんですけど、失敗したらすぐにやめますんで1回だけ出させてください! でも企画書を立てて説明している暇がないんです!!」って相談したら、「いいよいいよ、今なら許す! 出しちゃえ出しちゃえ!」って(笑)。それが好評で今も続いているんだから、うれしいね。
 

▲記念すべきコロコロアニキ創刊号の表紙

——『妖怪ウォッチ』は社会現象とも呼ばれるものすごい熱狂でしたが、仕掛け人の一人として、どのような心境でブームを見ていましたか?
 
あまり意識しないようにしてた。意識しちゃうとさ、人ってダメなんだよ。いつまでも気持ちはペーペーでいないと。この業界ってさ、「おれが全部やった」みたいな態度の人っているでしょ。おれ、ああはなりたくないなと前から思っていた。実際、自分だけの力でできることなんてないしね。
 

 
部下ってさ、自分が信頼されていることがわかると、どんどん頭角を現してくる。だから、編集長の立場としては、一人ひとりに得意なことをやらせて、とにかく打席に立たせることが仕事だと思っていた。得意なことだけの本になると、「あれが抜けてる」「これが抜けてる」って言われるかもしれないけど、それでいいじゃんって。
 
だって、人がいて企画がある、本があるんだから。人の個性で、本の色を付けていかないとダメだし、そのほうが絶対に現場も楽しいじゃん。
 
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