『映画ドラえもん のび太の新恐竜』キャストインタビュー ジル役/木村拓哉さん のび太とドラえもんのように一番近くにいて、嘘のない、愛がある仲間は僕にとって……

子どもの頃は「みんなすごいな」と思っていた

——『ドラえもん』全体を通じたテーマの一つに“あきらめない心”があります。のび太は苦手な逆上がりを頑張りましたが、木村さんが小学生時代に頑張って成功したエピソードがあれば教えてください!
 
プールかな。小学生の頃は、50メートルも泳げなかったので。野球やサッカーのチームに入っていたり、スイミングスクールに通っていた友だちは、体育の時間でプールとか野球の授業があると、大活躍ですよね。体育の授業でみんなが盛り上がっていても「みんな、すごいな」と思って、あんまりウキウキできなくて。周りと比べて泳げないっていうことがすごい悔しくて、地域のプールで練習したんです。それで50メートルを往復できるようになった時は達成感がありましたけど、泳げないうちは、尋常じゃない量の水が口や鼻の中に入ってきました(笑)。
 
——あきらめない心は、どうすれば持てるのでしょうか……?
 
僕の場合は、たぶん剣道だと思います。小学校では剣道の授業がないので、みんなみたいに授業中に披露することはできなかったけど、そういう部分で生きていたんじゃないかなって。今思い返すとですけどね。
 

『のび太の新恐竜』には「きた!」っていうカットがいくつもある

——映画を見ると、のび太たちがいい仲間を持っていることが改めて伝わってきます。友だちや仲間をつくる上で大事なのは、どのようなことでしょうか。
 
相手のことを考えることが一番じゃないですか。「僕はこうしたい」「僕はこうありたい」というのは、もちろんあっていいと思うんですけど。でも、仲間になるべく人たちって、たぶん、相手の立場や気持ちを感じているはずなんですよね。しっかり目を見て心のやりとりができたら、その時点で仲間になれてるってことなんだと思います。
 
——『映画ドラえもん のび太の新恐竜』でも“誰かを思いやる心”は、大事なテーマとしてあったように思います。
 
映画のなかでも、のび太は相変わらずわがままですけどね(笑)。ただ、そのエゴを貫く姿が、僕らから見ると時に美しく見える。映画とテレビでは、見せ方や伝わり方の違いもあると思います。
 
たとえば、のび太が走っているシーンがあるとして、映画とテレビの『ドラえもん』では、シチュエーションやカメラワークが全然違いますよね。走り出すのび太に「ガンっ!」とカメラが近寄ったと思ったら、カメラがのび太を追いかける。今回、アフレコ現場でそういうシーンをいくつも目にして、「うわ、きたこのカット!」っていうのが、すげぇあるんですよ。って、何をおれはこんなに熱くなって語ってるんだろう(笑)。
 

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