【大塚角満のゲームを語る】第14回 “待つゲーム”の楽しさよ


 

『あつ森』、予想以上に売れております

3月20日に発売された任天堂のNintendo Switch用ソフト『あつまれ どうぶつの森』が、予想通り……いや、かなり盛った予想すらもはるかに上回る売れ行きで、市場を席巻している。
 

 
通勤・通学の電車内でNintendo Switchを持っている人が明らかに増え、チラリと画面が目に入るとほぼ100%『あつ森』の画面が動いている。スゴいのが、そんな人々の性別、年齢層がバラバラで、いかにも学生な若者はもちろん、スーツを着たサラリーマン、OLとおぼしき女性、さらには年配のおじさん・おばさんに至るまでNintendo Switchを構えたりしていること。『どうぶつの森』シリーズは、20年前に発売された1作目からプレイヤーを選ばないゲームの代名詞的存在だったが、Nintendo Switchという“ベストパートナー”が現れたことで、ソフトの潜在能力が完全に解放された印象だ。
 

 
その人気ぶりは、数字にも如実に表れている。
 
ファミ通が発表した『あつ森』の初週販売本数は、わずか3日間分の集計(3月20日~22日)ながら、188万626本を記録! あの『ポケットモンスター ソード・シールド』の136万4000本(2バージョン合算)、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の123万8000本すら上回る、Nintendo Switch用ソフトとしては史上最高の初週販売本数を記録したというのだ。
 
そして、いいソフトがハードも引っ張るのは当然のことで、同期間中のNintendo Switch本体の販売台数は39万2576台。このうち、新色の“コーラル”がラインアップに加わったNintendo Switch Liteが26万3000台を販売し、これはなんと、前週の5.8倍の数字になるというから驚きである。
 

“待ち”の楽しさ

それにしても、『あつ森』の出来はすばらしい。
 
決して広くはない島で、毎日同じようなことをくり返しているだけなのに……なんでこんなに、「もっと遊んでいたい!」と思わせられるのだろうか。
 
思うに、人を惹きつけるためのゲームの論法って意外なほどシンプルで、ひとつは格闘ゲームやシューティングゲームのような、敵をぶっ倒す“爽快感”を与えること。もうひとつは、掘っても掘っても掘り尽くせないような“やり込み要素”を仕込むことなんだと思う。『マインクラフト』が大ブレイクしたのは、まさにコレだしね。
 
『あつ森』はもちろん後者にあたるのだが……どうも、それだけじゃない気がする。それに加える“隠し味”が強烈なんじゃなかろうか。
 
その隠し味のひとつは、間違いなく“待ちの時間”だ。現実と同じ時間が流れる『どうぶつの森』の世界では、橋やお店を作るにも丸1日かかったりするし、季節のイベントは文字通り、そのシーズンが来るまで見ることも参加することもできない。加えて、島で採れる魚や虫にも季節の概念は当てはまるので、シーズン限定の生き物を逃してしまったら、つぎのチャンスが来るまで何ヵ月も待たなければいけないのである。直近でも、3月いっぱいまでしか釣れない渓流魚のイトウを逃した人がSNSなどで阿鼻叫喚の叫びをあげていたが、リアル時間の概念という“縛り”は、こんな悲劇(?)も生むのである。
 

 
そう、『あつ森』は不自由なのだ。歯がゆいのだ。かわいい顔をしながら、
 
「逃してしまったら……つぎのシーズンまで待ってくださいね^^;」
 
ピシャリとその事実を突きつけてくるのである。
 
でも、それがいい。不自由で、待たされてしまうからこそ、
 
「なんとかがんばって、シーズンイベントはこなしておかないと!」
 
そんな気にさせられてしまうのである。
 

このゲームを、追い続けたい

それでも、『あつ森』において必死になるのは、ごく稀なことだ。基本的には、
 
「早くお店ができないかなー」
 
とか、
 
「新しい住人が来るの、楽しみだな」
 
なんて、待ち時間に身をゆだねながら、のんびりとその日暮らしをしているだけである。
 
この、“何をしてもいいし、何もしなくてもいい”という特異なゲームを、今後も追い続けたいと思う。なので、絶賛連載中のプレイ日記“角満島開拓日誌”を、どうぞ合わせてお読みくださいねw
 

『あつまれ どうぶつの森』プレイ日記 角満島開拓日誌バックナンバー

▲第1回
いよいよ開始! 無人島生活

▲第2回
ナゼ、かぶるのか

▲第3回
島の名前問題、勃発!

▲第4回
リセマラで星を得る話

▲第5回
初めてのお出かけ

▲第6回
冨〇義勇もどきと冒険に

▲第7回
闇夜の恐怖

▲第8回
もう輪廻転生の呪いだろ……

▲第9回
青空水族館、爆誕!

▲第10回
闘将(たたかえ)! 辮髪戦士!!

▲第11回
タランチュラ島の激闘(1)

▲第12回
タランチュラ島の激闘(2)

 

大塚角満(おおつか・かどまん)

1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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