デュエマ妄想構築録 vol.2−5 〜番外編: 2段ビックリーノ!〜


By まつがん

2ターン目にT・ブレイクがしたい。

それは、デュエル・マスターズをやっていて定期的に襲いかかるってくる衝動だった。

最も早く、そして力強くシールドをブレイクする……たとえS・トリガーを踏んだとしても構わない。ただ暴力的に、本能の赴くままに、対戦相手を蹂躙したい。

そしてそのためには、2ターン目にW・ブレイクする程度では足りない。やはりT・ブレイクくらいのインパクトが必要だ。

対戦相手を守る盾、その半分以上を最序盤に剥がしとる。そうすることで、恐怖とはなんたるかということを。

精神にじっくりと、刻み込んでやるのだ。


さて今回は番外編ということで、1か月ほど前に私が出演した動画で使用した「2段ビックリーノ」の製作過程についての話をしていこうと思う。

私がこのデッキを作ったのは、双極篇第2弾「逆襲のギャラクシー 卍・獄・殺!!」が発売して2〜3週間ほどが経ったあたりだった。

双極篇第3弾の発売も迫る今日この頃ではあるが……改めて振り返ってみると、双極篇第2弾のスーパーレアは一目見て強力なものばかりだ。

《キング・ザ・スロットン7/7777777》《龍装鬼 オブザ08号/終焉の開闢》《龍装艦 チェンジザ/六奇怪の四 〜土を割る逆瀧〜》《ナ・チュラルゴ・デンジャー/ナチュラル・トラップ》など、現在の殿堂環境でも様々なデッキに採用され、活躍しているカードが珍しくない。

だかそんな中にあって、そのポテンシャルを十分に発揮できていないように思われるカードがあった。

《ど・真ん中太郎》《ビックリーノ》。

5マナ5000、攻撃時に手札を1枚捨てさせることができるものの、相手がS・トリガー付きの呪文をプレイしたら即座に破壊されてしまうという貧弱さに鑑みれば、一顧だに値しないスペックのようにも思える。

しかしこのカードの真価は、相手のバトルゾーンにクリーチャーがいなければ自動的に墓地から出てくるという部分にあった。

たとえば1ターン目に《ジョラゴン・リロード》を打ってこのカードを捨てれば、1ターン目には相手のクリーチャーがいないことが多いであろうから、いきなり《ビックリーノ》が出てくることになるのである。これには対戦相手もビックリだ。

とはいえもちろんそれだけでは、ただテキストに書いてあることを読み上げただけに過ぎない。

だがこのカードにはもう一つ、注目すべきパラメータがあった。それはマナコストだ。

「5マナのクリーチャーである」ということは、デュエマにおいてはある一つの奇跡を可能にすることを意味している。

それはすなわち。

《革命類侵略目 パラスキング》。

5マナ以上のクリーチャーの攻撃時に「侵略」できるこのカードは、2ターン目に《ビックリーノ》から「侵略」させると《ビックリーノ》のデメリットを帳消しにしつつT・ブレイクすることが可能になるのだ。たとえ一度目にはビックリしなかった相手でも、さすがにこれにはビックリーノだろう。

さらに「コマンド」でもあるので、《禁断〜封印されしX〜》/《伝説の禁断 ドキンダムX》を入れておけば「侵略」したときにさらなる《ビックリーノ》を墓地に落としてくれる可能性もある。

墓地から甦ったクリーチャーがいきなり複数枚のシールドをブレイクしていく様はさながら《黒神龍グールジェネレイド》。その圧倒的な暴力にすっかり魅せられた私は、この《ビックリーノ》と《革命類侵略目 パラスキング》のコンボを軸にデッキを作ってみることにした。

そうなると欲しいのはこれら2種類の代替物 (オルタネイト) である。

たとえ《ビックリーノ》と《革命類侵略目 パラスキング》をデッキに4枚ずつ入れてあったとしても、毎回引けるとは限らない。だがそれぞれ8枚ずつ入っているとなれば話は別である。

サーチカードやドローカードを使ってもいいが、今回は2ターン以内にコンボを決めるという速度の関係上、できれば2枚のコンボパーツそれぞれについて、本体か代替物のどちらかを素引きすればいいといった形をとりたかった。

ここで《ビックリーノ》の代替物はそれ自体《革命類侵略目 パラスキング》の「侵略」元、つまり5マナ以上のクリーチャーでなければならない。しかもそれでいて2ターン目に攻撃してすぐ「侵略」できることが理想だ。

はたしてそんなクリーチャーが存在するのか?

いた。《暗黒鎧 ダースシスK》だ。

1マナのクリーチャーとセットで引く必要があるとはいえ、1ターン目に出せてしかもついでに手札や山札から《ビックリーノ》が落とせる可能性があるこのカードは《革命類侵略目 パラスキング》の第二の「侵略」元として申し分ない。

だとしても、《革命類侵略目 パラスキング》の代替物はどうするか?さすがにこのカードの代替物はそうそうないはずだ。

諦めるか……いや、ちょっと待って欲しい。

冷静に考えてみると、コンボによって実現するのは「2ターン目の3打点」である。とすれば、仮に《革命類侵略目 パラスキング》を引けなかったとしても、《ビックリーノ》や《暗黒鎧 ダースシスK》と合わせて3打点を作れるカードがあれば問題ないのではないか。

そう、《轟轟轟ブランド》だ。

このカードはマナゾーンに火文明のカードがなくても、手札がこれ1枚のみなら0マナでとりあえず出せる (ただしカードは引けない) という点がポイントである。《ビックリーノ》や《暗黒鎧 ダースシスK》を考えるとマナベースは闇文明中心になりそうだが、一切関係なく0マナのW・ブレイカーとして活躍してくれる点が頼もしい。

こうしてキーパーツがそれぞれ8枚ずつとなったので、デッキの核が決まった。あとはこのコンボを実現するサポートカードを入れていけばいい。

《ビックリーノ》や《暗黒鎧 ダースシスK》を1ターン目に出すためには、それぞれ何らかの下準備が必要である。《堕魔 ザンバリー》はこの両方の下準備になれるパーツなのでとりあえず4枚。

となると《堕魔 ザンバリー》の代替物をもう4枚デッキに入れたいのだが、見つからなかったので《ジョラゴン・リロード》《ブラッディ・クロス》《ねじれる者ボーン・スライム》と、それぞれ「手札から《ビックリーノ》が落とせるカード」「山札からうっかり運良く《ビックリーノ》が落ちるかもしれないカード」「《暗黒鎧 ダースシスK》のエサ兼ブロッカー(笑)」となるカードを厚くとることによって、合わせ技で代替物になったことにする。

また《一なる部隊 イワシン》を入れておけば、打った《ブラッディ・クロス》がうっかり《ジョラゴン・リロード》に変化するかもしれない。コンボパーツも探せるので4枚入れておこう。

かくして新デッキ、「2段ビックリーノ」がついに完成したのだ。

「2段ビックリーノ」

枚数
カード名
4
《堕魔 ザンバリー》
4
《ねじれる者ボーン・スライム》
4
《一なる部隊 イワシン》
4
《暗黒鎧 ダースシスK》
4
《ビックリーノ》
4
《轟轟轟ブランド》
4
《革命類侵略目 パラスキング》
4
《ブラッディ・クロス》
4
《ジョラゴン・リロード》
2
《百万超邪 クロスファイア》
1
《盗掘人形モールス》
1
《禁断〜封印されしX〜》/《伝説の禁断 ドキンダムX》

3枚ほどスロットが余ったので《百万超邪 クロスファイア》と《盗掘人形モールス》を適当に積んだはいいものの、どんなにぶん回っても墓地に6枚のクリーチャーは溜まりそうな気配がなかったので、もう少しデッキを安定させるパーツにした方が良かったかもしれない。

また、《ねじれる者ボーン・スライム》も1回は殴れるとはいえ、ただ闇の1マナクリーチャーというだけでデッキコンセプトとは全く噛み合ってないので、代わりが見つかればすぐにでも差し替えたいところではある。

ともあれ、こういった経緯を経て作られた「2段ビックリーノ」であったが……

満を持して持ち込んだデュエコロ夏休みの陣で、ノエル相手に最後のシールドで見事にS・トリガー《天運 ゼニスクラッチ》を踏んでしまい、あえなく対戦に敗北。

コロコロチャンネルに初登場した研究仙人 (すなわち、私) とともに、冴えないデビューを飾ることとなってしまったのだった。


いまだデッキの安定性が欠けていたこともあり、残念ながら動画で活躍を見せることはできなかったものの、《ビックリーノ》からの《革命類侵略目 パラスキング》という動きに夢が詰まっていることは間違いない。

《ビックリーノ》を使って対戦相手を驚かせたいという方は、ぜひデッキ作りにチャレンジしてみていただきたい。

それではまた次回!

ライター:まつがん
フリーライター。クソデッキビルダー。
論理的な発想でカード同士にシナジーを見出すのだが、途中で飛躍して明後日の方向に行くことを得意とする。
オリジナルデッキでメタゲームに風穴を開けるべく日夜チャレンジを続けている(が、上記のような理由で大体失敗する)。

 

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