ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.74 ~悪魔召喚の儀~

By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。
 
先週お伝えした衝撃的な禁止制限改定告知から一週間が経過しました。マジックコミュニティには大きな衝撃が走りましたが、マジック村は今日も平和。というよりむしろスタンダードの禁止改定については……

  1. 元々ローテーションまで日がなかったこと
  2. ローテーションまでの間に世界規模の大型トーナメントがほとんど存在しないこと

主にこれら二点の理由から、むしろ「いち早く新環境に近い環境を体感できる」と好意的な意見も多いようです。
 
また、コロコロオンラインでも新カードプレビュー記事を担当させていただいた『ダブルマスターズ』も国内で発売が開始されました。特に今回の『ダブルマスターズ』の目玉である『VIP版』というプレミアム版パックは非常に人気で、SNS上では連日「《意志の力》が当たった」「《精神を刻む者、ジェイス》が当たった」など、大当たりのレアを引いた人たちの興奮の声で盛り上がっています。羨ま死しそう……。
 
他にも先週には、東京都内でモバイルアプリゲーム開発を行っている「株式会社アカツキ」がマジックのプロチームを発足したり、話題は絶えません。通常、セットとセットの発売日の間ごろには大きな大会も一段落ついて新カードの話題も落ち着いてちょっと話題が減ったりするのですが、マジック業界が拡大するに伴って、“オフシーズン”がなくなってきたように感じます。
 
そんな大人気トレーディングカードゲーム、『マジック:ザ・ギャザリング』を始めるなら今だ!! ……というわけで、今週も最新のデッキリストを見ていきましょう。
 

SCG Tour Online Championship Qualifier#2

アメリカの超大手カードショップの「StarCityGames」が主催する新たなトーナメントシリーズ、SCG Tour Online Championship。今年の6月からスタートしたこのイベントは、その名の通りオンラインでのトーナメントです。
 
ということは、日本人でも比較的参加しやすいトーナメントと言えます。特にオンラインの賞金制トーナメントはまだ国内ではそれほど普及していないため、コロナ禍におけるSCG Tourは各国のマジックプレイヤー、もちろん日本人にとっても競技性の高いマジックが楽しめる非常に貴重な機会と言えるでしょう。
 
そしてそんなSCG Tourの予選トーナメントで、日本人プレイヤーである村栄 龍司選手が見事準優勝の栄誉に輝きました。村栄選手の活躍はvol.66でもお伝えしたばかりですが、コンスタントに入賞し続けるのは凄まじい実力です。特に今回は禁止改定後ほぼ初となるトーナメントだったため、事実上新環境に近い環境です。メタゲームも固まりきっておらず、混沌とした環境の中でも勝利を重ねるのはまさに実力に裏打ちされた結果と言えるでしょう。
 
さて、今回はそんな村栄選手が使用していたデッキ、「ラクドスサクリファイス」を見ていきます。
 

ラクドスサクリファイス(使用者:村栄 龍司選手)
枚数 カード名(メインボード)
7 《沼》
5 《山》
4 《寓話の小道》
4 《血の墓所》
2 《ロークスワイン城》
1 《悪意の神殿》
4 《戦慄衆の解体者》
4 《忘れられた神々の僧侶》
4 《魔王の器》
4 《ぬかるみのトリトン》
3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
3 《どぶ骨》
2 《悪魔の職工》
1 《鋸刃蠍》
1 《怪物の兵器化》
4 《初子さらい》
3 《死住まいの呼び声》
4 《村の儀式》
枚数 カード名(サイドボード)
1 【相棒】《夢の巣のルールス》
3 《エンバレスの盾割り》
3 《強迫》
2 《無情な行動》
2 《害悪な掌握》
1 《苦悶の悔恨》
1 《死の重み》
1 《レッドキャップの乱闘》
1 《壮大な破滅》

 
こちらは新デッキの「ラクドスサクリファイス」。デッキ名に「サクリファイス」の名を冠してはいるものの、《大釜の使い魔》が禁止されたことに伴って《魔女のかまど》も採用されておらず、ほぼ完全な新規デッキと言えるデッキです。

▲《魔王の器》
▲《死住まいの呼び声》
▲《夢の巣のルールス》

特に目立つのは『基本セット2021』の新カード《魔王の器》でしょうか。長いので要約すると「リアニメイトすると5/5飛行のデーモンになるよ」と書いてあるクリーチャーで、リアニメイトするためのエンジンとして《死住まいの呼び声》とサイドボードに《夢の巣のルールス》が採用されています。
 
また、生け贄エンジンとしては《忘れられた神々の僧侶》と《悪魔の職工》、そして1枚挿しではありますが《怪物の兵器化》が採用されています。《悪魔の職工》は『イコリア:巨獣の棲処』で出たカードで、《出産の殻》を彷彿とさせる能力を持っており、《どぶ骨》や《初子さらい》で奪ったクリーチャーを生け贄にすることでアドバンテージを失うことなく盤面を強化し、自身もフィニッシャーとして活躍することが可能です。

▲《忘れられた神々の僧侶》
▲《悪魔の職工》

アグロデッキのように攻撃一辺倒というわけでもなく、ミッドレンジデッキのようにカードパワーに任せた戦いをするでもなく、シナジーを活かして戦うラクドスサクリファイス。《夢の巣のルールス》含む「相棒」のルール変更ももちろん、このデッキにもフィットしたであろう《大釜の使い魔》が禁止されてしまったのは痛いところですが、それでも勝利しているというのはデッキの地力の高さを表しているのでしょう。
 
禁止改定後の新環境で使用デッキが見つからないという方は、こちらのデッキを試してみてはいかがでしょうか?
 

 

ライター:ドブフクロウ    
 
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

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