ゾイド生みの親徳山氏5656万字!?限界ロングインタビュー 第1世代と第3世代 新旧ゾイドクリエイターインタビュー 第8回

ダブルクリエイターインタビューもついに最終回!

『ゾイドワイルド』ファンへ向けて2人から熱いメッセージも!!
若手のエース開発者・片山さんの、圧倒的こだわりのデザイン。完成までの苦労など、ここだけの話を存分に訊いていくぞ!!

——デザインの際に、得意不得意とかそういったのとかはあるんですか?

徳山
そうですねー。片山はちょっとグロっぽいっていうんじゃないですけど、リアル傾向なもののまとめ方をしてますね。だからそういった方向で力を発揮するんじゃないかと。サソリなんかもね、彼の味がすごい出ていて、まさにちょいグロで(笑)。

▲潜伏して奇襲攻撃を得意とする小型ゾイド、スコーピア。本能を解放すると、槍状の武器「ポイズンスピア」を前方に解放する。

(一同笑)

片山
スコーピアは、巻くゼンマイも剥き出しではなくデザインの一部にしたりとか、そういったところも工夫しました。

徳山
ゼンマイまでもデザインの一部にしちゃうっていう、そこまでこだわるって結構珍しいタイプだと思いますよ。僕はその辺はびっくりしちゃって、“ゼンマイなんて回すだけだからいいじゃん!”みたいな(笑)。

——まさに職人気質ですね! しかしスコーピアの動きがいいですね。

徳山
さっきのナックルコングの拳の部分も、決められた演出の中でどうアーマーを動かすか…といったところとか。若手の人にそんなにこだわりのある人がいるのかなっていうくらい。そこにびっくり仰天っていうか…(笑)。

▲ナックルコング

(一同笑)

——片山さんは、メカ寄りよりもリアル寄りの方が好みとかはあるんですか?

片山
最初の頃のデザインはメカメカしいのになりがちだったんですけど、今回生物感というものを表現しないといけないというか、期待されている部分もありましたので、そういう脳になっちゃってたっていうのがありますね(笑)。

——なるほど(笑)。

片山
あとやっぱり、骨格の時点でもかっこいいゾイドを作りたいなっていうのがありました。どっちかというと自分は、骨格寄りのデザインになっているのかもしれないですね。この骨格でどうギミックを面白くしようか、とかも考えてますね。

——すごいですね。発泡スチロールの試作モデルから、そういったことを考えていくんですか?

片山
そうですね。実はカメもあったんですよ。ガノンタスの試作モデルも。

▲左がガノンタスの実際のキット、右が試作模型

——おお、こっちもすごいですね!!

徳山
大体サイズ感とかね、その辺はやっぱりそういう立体で作っていくっていうのがすごく重要な作業になってきますね。改めて見て、みんなが共有できる良い作り方をしているなと思います。

——これも片山さんが作られているんですか?

片山
そうですね。

——すごいですね、コレ…。この時点でしっかりギミックもついているんですね!

片山
はい。甲羅の中から大砲が出るんですよ。

▲本能解放のギミックも試作模型の段階からあった!

——これはすごすぎますねー!

片山
まだ荒削りですけど。

徳山
この時点でどんなワイルドブラストするかっていうのを考えるんですよ。

——この試作モデルは超貴重ですよ。なかなか見られないですよね。

徳山
みんなが持っているカメのイメージって、「中身」と「甲羅」だと思うので、ワイルドブラストで牙を剥き出すっていう1番のコンセプトをうまく出せたんではないかと。

——徳山さんが元々デザインをして、“こんな形になったのか!?”といったような驚いた所とかってありますか?

徳山
やっぱりゴリラですよね、ナックルコングが1番変化したかなと。1番片山デザインになったなという感じがすごくしますね。ゴリラっていうモチーフは比較的、恐竜とか動物の中でも少し抜きん出てるというか、人間に近いので目立つんですよね。その中で、うまく野性感の出たゴリラになったなと。

——確かにシルエットだけ見てもゴリラだけ異色ですよね。

徳山
あと結構毎回苦労しているのは、パッケージ。結構、苦労してて。

——そうなんですか?

徳山
パッケージは、そのゾイドが最も引き立つ世界観をリードして作らなきゃいけないんですよ。最初の頃のやつは大体はまってくるんですけど、ゾイドの場合どんどん数が増えていくので、どう被らないように題材が引き立つパッケージにするかという所をすごく求められるんですよね。結構その辺は、これからの担当者の宿命かなぁと思うんですよね。

——なるほど、大変ですね。

徳山
デザインするにしても違いを出していかなきゃいけない。ここから大変かなぁって(笑)。

片山
いやー、今は逆に楽しみですね(笑)。

——確かに顔ですもんね、パッケージは。どういう表情させるかっていう。

徳山
そうそう。パッケージになった時に他のと被っちゃったりしちゃったら、それは面白くないし子供たちにも印象を与えられないので。それも含めて、これからのモチーフを作っていくっていうのは苦労する部分だと思いますね。

——なるほど。それではコロコロオンライン読者に、今後の『ゾイドワイルド』のこういう所が期待!とか注目ポイント!とかはありますか?

片山
アニメもそうだし漫画もそうなんですけど、ゾイドが増えてきているので、必ず1体はお気に入りのゾイドが出来てくると思うんです。今の人気はどうしてもライガーに集中してますけど。

——やっぱそうなっちゃいますよね。

片山
なんですけど、ライガーとは違うワイルドブラストを楽しんでいただくっていうのも1つですし、これからは自分のゾイドを作るじゃないですけど、元々ある形のライガーじゃなくてもっとかっこよく出来ないかな、みたいなものがみなさんの中で膨らんでいってくれたらなって思いますね。

——なるほど。徳山さんからも何か今後の展開についてありますか?

徳山
そうですね。『ゾイドワイルド』は今後も子供たちやさまざまなユーザーと一緒に進んでいけるステージを用意しています。それは本当に楽しみにしてほしいので、期待していただきたいですね。

——なるほど。

徳山
ただ今後についても出来ればコンセプトは変えず、たとえばギミックの面白さですとか、そういったものは進化させていきたいと思います。今は深くは言えないですけど(笑)。

(一同笑)

——今後の展開も盛りだくさんとの事ですね。最後に大人や子供の『ゾイドワイルド』のファンの方に一言メッセージをいただけますか?

片山
今回のゾイドは組み立てがまず楽しい。組み上がった時は、まずボーンに注目してもらいたいです。しっかりとした骨になっているので、まずそこの組み上がりを楽しんでもらえたらなっていうのが1つです。あとそれぞれ固有のワイルドブラストがあるので、そのダイナミックさの違いを楽しんでいただきたいです。

——ありがとうございます。では徳山さんから。

徳山:
そうですね。今『ゾイドワイルド』をやっていて一番カギになるっていうのがTwitterとかそういった情報だと思っています。特に僕がいつも心掛けているのが、メーカーでオリジナルをやった場合ってやっぱりユーザーと一緒に作り上げていかなきゃいけないっていうのがあるんですよ。

僕の毎日の楽しみはファンの方のカスタマイズであるとか、そういった作品を見るっていうことなので、それらを1つ1つ僕らも共有しながらね、ヒントになるようなものとか次の世界の入り口になるようなものっていうのを知っていく必要はあるんですよ。

過去のアイディアコンテストで応募された作品の入賞作品は、僕らの中のテーマにもあった作品が多いんですよ。そういったユーザーと同じ方向で進んできたからこそ、ゾイドは長続きしたと思うんです。だから、今のファンの方のゾイドのカスタマイズとかは今後ますます見たいと思っていますし、自分の世界を作るのを楽しんでもらいたいですね。

——この度は貴重なお話、ありがとうございました! 今後の展開にも期待しています!!

徳山 光俊(とくやま みつとし)
『ゾイド』立ち上げに携わったスタッフのひとり。『ゾイドワイルド』ではゾイドの
デザイン原案を担当。溢れんばかりの『ゾイド』愛を若い世代に伝えるべく奮闘中。
片山 周(かたやま しゅう)
『ゾイドワイルド』から開発に携わる若手の第3世代。これまでになかった新世代のゾイドの数々をデザインしている。サソリなどの不気味なモチーフのデザインが得意だとか。