【大塚角満のゲームを語る】第53回 思わずクリアーまでやってしまった『砂の国の宮廷鍛冶屋』が楽しい!

敷居が低くて最高です

 原稿仕事が立て込んでいて、

 「もう、ゲームで遊ぶ時間も捻出できないお……>< とてもじゃないけど、何もできないです……」

 なんて泣き言を言いたい日々が続いているが、とはいえ本当に、

 「ゲームはしばらく禁止や!! そう、最低1ヵ月はな!!」

 そう男らしく決めてしまうと、この連載とかプレイ日記とかとかがいっさい書けなくなっておまんまが食い上げになるんだから、人生って難しいものですね(((( ;゚Д゚)))

 ゲームを遊んでいてもつねに脳ミソのどこかで、

 「これは……どこかで紹介しようかな? そうなると……スクショ取ったりメモを残したりしたほうがいいかなあ……

 なんてことを考えてしまうので、俺はこの業界に入ってから、完全にスッキリとした気持ちでゲームと向き合えていないのかもしれない。

 「それ、まさに職業病」

 と指摘されればそれまでだが、ある程度遊んだらそっと電源を落とし、

 「よし……来週のコラムは、コレのことを書けば大丈夫だな」

 ↑こんな感じで決着を付けてしまうことは少なくないのである。

 でも、そんな中……!

 「コレ……設定からして、俺の好みに刺さりまくりwww 値段も安いし、さわりだけでもやってみよ」

 このような軽い気持ちで購入し、前述の原稿仕事の隙間を突いてチクチクと遊び込んでしまった結果……アレヨアレヨとエンディングまで到達しちゃったゲームが存在する。

 そのひとつが、前回の当コラムで紹介した『迷宮伝説』

 『迷宮伝説』、あまりにも楽しすぎたので、稿を改めてもう一度、ここで紹介したいと思う。

 そしてもう1本が……!

 1月7日に配信された、ケムコのプレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox One、Xbox Series X|S、PC用ソフト『砂の国の宮廷鍛冶屋』なのです!!!

 これ、低価格で小規模なRPGってことで避けて通ると……きっと後悔する佳作ですぜ!!

※ちなみに筆者は、Nintendo Switch版で遊んでおります!

新たな出会いを求める人へ

 『砂の国の宮廷鍛冶屋』は、由緒ある宮廷鍛冶屋だった亡き父の跡を継いだ、冒険者兼鍛冶屋の青年が主人公のRPGである。

 やることはいたって明快で、さまざまな職業のキャラクターで5人パーティーを組み、ダンジョンを探索しながらモンスターと戦い、鍛冶用の素材を持ち帰ってクラフトする……。

 それを装備したり、売りさばいているうちにランクが上昇していき、作れるものが増えたり、引き受けるミッションが高度なものになったりと、言ってみれば……非常にオーソドックスなゲームが展開していくのである。

 戦闘はコマンド選択式で、こちらも一瞬で操作がわかる取っつきやすい仕様

 でも、職業によってさまざまなスキルや魔法が用意されているし、敵もじつにイヤラシイ状態異常や嫌がらせをしてくるので、意外や(?)、バトルの戦略性は高く感じる。

 いまから1年ほど前に、同じNintendo Switchで『ムーンライター 店主と勇者の冒険』というゲームにドハマりしたことがあるんだけど、これも『砂の国の宮廷鍛冶屋』と同じように、“店主+冒険者”が主人公のRPGだった。要するに俺、クラフトと冒険を同時に楽しめるゲームを見ると、条件反射的に吸い寄せられていくってことだな(苦笑)。

 本当は、程よいところでやめるつもりで始めた『砂の国の宮廷鍛冶屋』だったけど、工房で作れる武具の強さとダンジョンの難易度バランスがちょうどよく、ほどほどの緊迫感と、ときおり感じる“俺、強ええ感”が病みつきになって、ついつい……最後までやってしまいました!!ww

 こう言ったらナンだけど、見た目は地味だし、

 「これ、すげええええ!!!」

 とビビるような要素もないんだけど……前述のゲームバランスが本当にほどよくて、最後まで気持ちよく遊ばされてしまった、って感じだ。

 バトルだけじゃなく、自分で武具を作ったり、それを売って生計を立てるという“それ以外の要素”を求める人には、『砂の国の宮廷鍛冶屋』は打ってつけのゲームかもしれない。1540円とお手頃価格だし、

 「気楽に遊べるRPG、何かないかなぁ~……」

 なんて新しい出会いを求めている人にも、ぜひ触ってほしい!

 そう強く願ってやまないのであった。

 

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

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