ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.115 ~ジェスカイサイクリングは今なお天頂に輝く~

By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。

さて、昨日『フォーゴトン・レルム探訪​』の全カードプレビューが公開されました(公式のカードリストはこちら/リンク先はマジック:ザ・ギャザリング日本公式ウェブサイト)。みなさんはもうチェックしましたか?

▲《蜘蛛の女王、ロルス》
▲《狂える魔道士の迷宮》

TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)『ダンジョン&ドラゴンズ(通称D&D)』の世界観をそのままマジックのカードに落とし込んだ本セット。いずれもWizards of the Coastのコンテンツということもあり、非常にクオリティの高い(?)コラボとなっています。特に「ダンジョン」メカニズムなどはカードゲーム史上でも類を見ない非常にユニークなメカニズムで、見た目にも楽しいですね!

Magic OnlineとMTGアリーナでは今週末から『フォーゴトン・レルム探訪​』がリリースされます!紙のカードのリリースは少し先の7月23日予定です。先にMTGアリーナでセットの予習をしつつ、パックを剥く日を楽しみにしたいと思います!

さて、それでは今週も最新のスタンダードのデッキリストを見ていきましょう!

STANDARD CHALLENGE on June 20, 2021

この連載では毎週のようにお世話になっている、Magic Onlineのウィークリーイベント「フォーマット・チャレンジ」。オンラインで定期開催されているイベントの中では比較的競技性が高く、メタゲームを占うにはぴったりです。

6月20日のスタンダードチャレンジでは、日本人選手のGlacier7選手が上位に入賞していました。その使用デッキは「ジェスカイサイクリング」!さて、さっそくリストを見ていきましょう!

ジェスカイサイクリング(使用者:Glacier7選手)
枚数 カード名(メインボード)
1 《荒廃踏みの小道》
1 《陽光昇りの小道》
1 《清水の小道》
4 《連門の小道》
4 《針縁の小道》
4 《ラウグリンのトライオーム》
4 《河川滑りの小道》
4 《ドラニスの刺突者》
4 《繁栄の狐》
4 《アイレンクラッグの紅蓮術師》
2 《常智のリエール》
4 《雄々しい救出者》
4 《願い与えの加護》
4 《血の希求》
3 《記憶漏出》
4 《驚くべき発育》
4 《天頂の閃光》
4 《型破りな協力》
枚数 カード名(サイドボード)
2 《軽蔑的な一撃》
2 《ガラスの棺》
1 《夢の巣のルールス》
2 《神秘の論争》
2 《否認》
2 《プリズマリの命令》
3 《レッドキャップの乱闘》
1 《切り裂かれた帆》

本連載でも何度か取り上げてきた「ジェスカイサイクリング」。『イコリア:巨獣の棲処』リリース以降ほとんどカードが追加されることがなかったにも関わらず、不動のトップメタに君臨しています。

▲《常智のリエール》
▲《アイレンクラッグの紅蓮術師》

こちらのデッキリストでは3マナ域の《常智のリエール》と《アイレンクラッグの紅蓮術師》を両方、計6枚採用しており、より中~長期戦を見越したリストとなっています。また、手札破壊呪文である《記憶漏出》を唱えたり、サイドボードの《夢の巣のルールス》をより唱えやすくするために、黒マナも採用されているのが特徴的です。

▲《記憶漏出》

このデッキはフリースロットこそ少ないものの、使い手によって1~2枚ほどメインボードに差が出やすく、《軽蔑的な一撃》や《否認》のような汎用性の高い妨害呪文や、《プリズマリの命令》のように状況に応じて使い分けのできる呪文を採用しているリストも少なくありません。「サイクリング」を連打するというデッキの性質から、1枚差しのカードにもたどり着きやすいので、好みやメタゲームに応じてほんの僅かな調整を加えることでデッキリストに意思を込めることができます。調整の余地が大きいとは決して言えませんが、初心者から玄人まで万人に好まれるデッキと言えるでしょう。

「ジェスカイサイクリング」は、トークン戦略、アドバンテージ戦略、《繁栄の狐》ビートダウン、そして環境最強の火力である《天頂の閃光》を擁し、多くの強みを持っているデッキです。複数の勝ち手段を持つデッキは強いと言われますが、このデッキはまさにその言葉を体現したようなリストとなっており、これまで長いあいだスタンダードの上位に君臨してきました。

▲《繁栄の狐》
▲《天頂の閃光》

「サイクリング」を持ったカードか、ドロー&ディスカードとシナジーを形成するカード以外はこのデッキとの噛み合いが悪いので、『フォーゴトン・レルム探訪​』リリース後の環境でも、おそらくこのデッキだけはあまり得るものはないでしょう。しかしながら、今後とも注目のアーキアイプであることは間違いありません。果たして新カードの登場で、このデッキがメタゲーム上位から突き崩されるときはくるのか?注目したいところです。

ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

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