ドブフクロウのMtGブレイキングアカデミー vol.118 ~8月から9月はマジックプレイヤーの年末!?~

By ドブフクロウ
みなさんこんにちは。MtGライターのドブフクロウです。

先週末には『チャレンジャー/ライバルズ/MPLガントレット』が開催されました。2020-2021シーズンを締めくくるイベントで、世界各国のプロプレイヤーや強豪プレイヤーたちがリーグの昇格/降格、あるいは最高峰の舞台である「世界選手権」入賞を懸けて戦いました(イベント概要の詳細はこちら)。

また、早くも9月発売の新セット『イニストラード:真夜中の狩り』のカード情報もちょっとだけ公開され、新シーズンに向けてマジック業界全体が動いているのを感じます。マジックを始めようと考えている方は、ちょうど今が始め時かもしれません。ただし、詳細な説明は省きますが今はルールを覚える期間として、スタンダードのデッキを組むのはMTGアリーナなら9月16日まで、紙のカードなら9月24日まで待ちましょう(要するに『イニストラード:真夜中の狩り』のリリース後にデッキを組むと吉です)。

あまり他ゲームの方には馴染みがない感覚かもしれませんが、マジックプレイヤーにとっては今が年末という感じです。これから数週間は新セットに関する発表や世界選手権など大規模なイベントが多く、お祭りのような期間が続くので、みんなで一緒にSNSなどで盛り上がっていきましょう!

さて、それでは今週もスタンダードの最新デッキリストを見ていきたいと思います!

チャレンジャー・ガントレット(スタンダード)

先週末に開催されたチャレンジャー・ガントレット。2020-2021シーズンのセット・チャンピオンシップ(『ゼンディカーの夜明け』/『カルドハイム』/『ストリクスヘイヴン』)にて上位の成績を収めた24名のプレイヤーが、世界最高峰のプロトーナメントである「世界選手権」への参加権利を懸けて戦う(トップ4が世界選手権に進出)登竜門のようなトーナメントです。また、トップ4に入賞した暁にはマジック・プロリーグ、通称MPLへの招待を得ます。MPL入りとは、わかりやすく言うと1年間マジックをしているだけで年収約1000万円が約束されるようなものです。

勝者には莫大な報酬が与えられるチャレンジャー・ガントレットは、当然誰もが夢見る憧れの舞台。その参加権利を得るだけでも難しいですが、トーナメント内容も世界の強豪たちを相手にスタンダードとヒストリックの2フォーマットで競うというタフなトーナメントとなっており、一筋縄では行きません。しかし、そんなイベントでなんと今回2名の日本人選手がトップ4に進出しました!

今回は、上位進出した選手の中から佐藤 啓輔選手のデッキリストを見ていきたいと思います!ちなみにまったく私的な話ですが、佐藤さんは個人的な知り合いでもあるので今回の勝利は本当にめでたいです。改めて入賞おめでとうございます!

ナヤ・ウィノータ(使用者:佐藤 啓輔選手)
枚数 カード名(メインボード)
4 《枝重なる小道》
4 《岩山被りの小道》
4 《針縁の小道》
3 《寓話の小道》
2 《森》
2 《ハイドラの巣》
2 《平地》
1 《バグベアの居住地》
1 《山》
4 《ヤスペラの歩哨》
3 《無私の救助犬》
4 《裕福な亭主》
3 《水蓮のコブラ》
1 《絡みつく花面晶体》
4 《精鋭呪文縛り》
2 《敬愛されるレンジャー、ミンスク》
1 《砕骨の巨人》
4 《軍団のまとめ役、ウィノータ》
2 《刃の歴史家》
2 《帰還した王、ケンリス》
2 《レンジャー・クラス》
1 《髑髏砕きの一撃》
4 《エシカの戦車》
枚数 カード名(サイドボード)
3 《レッドキャップの乱闘》
1 《巨人落とし》
2 《バーニング・ハンズ》
1 《引き裂き》
2 《運命の神、クローティス》
1 《ヴァドロックの神話》
1 《アクロス戦争》
3 《アゴナスの雄牛》
1 《怪物の代言者、ビビアン》

 
「ナヤ・ウィノータ」は赤・白・緑の3色で構築されたコンボ・ビートダウンデッキです。《精鋭呪文縛り》や《砕骨の巨人》といったナヤカラーの優秀なクリーチャーを並べてアグロ戦略を取りつつ、《軍団のまとめ役、ウィノータ》による一撃必殺を狙う2軸の戦略がデッキの肝です。

▲《軍団のまとめ役、ウィノータ》
▲《刃の歴史家》

《ウィノータ》の能力は、自分の非人間クリーチャーが攻撃するたび、ライブラリーの上から7枚を見て人間クリーチャーを探し、攻撃している状態で戦場に出すというもの。《ウィノータ》自身は攻撃に参加している必要はないため、戦場に非人間クリーチャーを並べておけば召喚酔いの影響などを受けることなくスムーズに踏み倒しが可能です。現環境には《刃の歴史家》をはじめ《帰還した王、ケンリス》など踏み倒し甲斐のある人間クリーチャーがおり、いずれも高いパワーや二段攻撃の付与などゲームを一気に決めるポテンシャルを秘めているため、破壊力は抜群です。

また、『フォーゴトン・レルム探訪​』の新カードの《敬愛されるレンジャー、ミンスク》も採用されています。人間クリーチャーでありながら戦場に出たときにハムスター・トークンを生成するため、ハムスターで《ウィノータ》の能力を誘発させたり、《ウィノータ》の能力によって戦場に出てきたり、デッキの方向性にマッチしています。めったに狙うことはできませんが、《ミンスク》の能力でハムスターを強化することができるので、世にも珍しいハムスターによるビートダウンもできる……かも?

▲《敬愛されるレンジャー、ミンスク》
▲《レンジャー・クラス》

また、『フォーゴトン・レルム探訪​』に収録されたカードのうち最強とも言われる《レンジャー・クラス》も採用されています。狼トークンを生成する能力によって実質的に非人間クリーチャーカウントもでき、レベルが上がれば《ウィノータ》デッキのアグレッシブな戦略をより推し進めることのできる1枚です。レベルアップの際にテンポロスしてしまうというデメリットはあるものの、カードの性能が非常に高いため、《レンジャー・クラス》はおそらく今後緑のデッキに標準的に採用されるカードとなることでしょう。

さて、ローテーションを控えたスタンダード環境はいよいよ煮詰まってきています。『エルドレインの王権』~『基本セット2021』のカードも(スタンダードでは)使い納め!この「ナヤ・ウィノータ」もあと数週間しか使えないので、今のうちに使い倒しましょう!

ライター:ドブフクロウ
青春時代のほぼ全てをテキストサイトやゲーム系サイトを徘徊することに費やしていた根暗ライター。人間としての軽薄さに定評があり、親しい間柄では「空っぽ」というあだ名で呼ばれることもある。 MtGプレイヤーとしての腕前は自他ともに認めるヘッポコだが、青春時代に (いろいろなものを犠牲にして) 培ったMtG知識量は他の追随を許さない。

 

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