コロコロお仕事図鑑その①「レゴ社」 環境責任担当者のティム・ブルックさん「楽しく遊べて、安全で、長く使えるレゴ®ブロックの開発を」

世の中にあるホビーやゲームの仕事を紹介する「コロコロお仕事図鑑」! その記念すべき第1弾に登場してくれるのが、コロコロと親交の深いレゴ社だ!! デンマーク本社のデザイナーやブロック開発の担当者、レゴ®認定プロビルダーの三井淳平さんなど、5名のインタビューを掲載していくぞ! 今回は、環境に配慮したレゴ®ブロックの開発をしている研究者が登場! みんなは、こうしてレゴブロックに携わる大人になった! 参考にしてくれよな!!

プロフィール
ティム・ブルックス
レゴ社の環境責任担当バイスプレジデント。本社・デンマークのビルンを拠点に、グローバルチームを率いて、レゴ社のグローバルなサステナビリティ戦略、パフォーマンス、製品が及ぼすインパクトの調査を担当している。

サステナブルなレゴブロックの開発

――レゴブロックとの出会いについて教えてください!

レゴブロックとの思い出は、私の子ども時代の大部分を占めています。私の最も古い記憶の一つは、おそらく3歳か4歳の頃、外の小川のそばでレゴ®デュプロのホイールパーツで遊んでいたら、うっかり下流に流してしまったことです。私はとてもショックを受け、泣きながら野原を走って母を探しました。確か、母と一緒に見つけることができたと思います。

そして、私が7歳くらいのときにもらった最高のプレゼントは、「レゴ®ハイスピード・シティ・エキスプレス・パッセンジャー・トレイン12V」で、今でも両親のガレージに元の箱のまま置いてあります。説明書を見なくても組み立てられるほどよく遊びました。

――そんなティムさんが、レゴグループで働くことになったのはどうしてですか!?

かつて私は、ロンドンにある小売会社のサステナビリティ部門で働いていました。そんなある日、「“デンマークのおもちゃ会社”で働かないか」という電話がかかってきたのです。それが誰なのかすぐに分かりましたよ!

――おぉ! デンマークに本社があるレゴ社のことですね! 現在は、どのような仕事をされているのですか!?

私は、サステナビリティ(長年にわたって持続することができるレゴブロックの開発)をリードし、持続可能な未来を築き、子供たちが受け継ぐ社会や地球に良い影響を与えるという「プラネット・プロミス」を確実に果たすために活動しています。つまり、私と私のチームは、製品と事業をより持続可能なものにするために全社的に取り組んでいます。そのために、エネルギー使用量の削減、工場へのソーラーパネルの設置、より持続可能な新しいレゴブロックやパッケージの開発など、すばらしい同僚たちと取り組んでいます。毎日が全く違っていて、とても楽しいですよ!

――環境にいいレゴブロックを開発することが、レゴ社がこれからも商品を出し続けられる理由の一つになるわけですね!

私たちには、地球を守るために早急に行動を起こす責任があります。なぜなら、私たちの子どもたちの未来は、その活動にかかっているからです。

――環境にいい商品であることは、地球にもいいと! リサイクル素材を利用したレゴブロックの開発は何年から始まったのでしょうか。

持続可能な素材に関する私たちの活動は、2015年に始まりました。私たちは、この先に長い道のりがあることを知り、品質や安全性を損なうことなく、2025年までにパッケージを、2030年までにレゴブロックを、より持続可能な資源からつくるという目標を掲げました。

――リサイクル素材を利用したレゴブロックと従来のレゴブロックの違いがあれば教えてください!!

現在使われているレゴブロックと未来のレゴブロックの最大の違いは、何でできているかということです。将来的には、2030年にはすべての製品を持続可能なものにしたいと考えています。2018年には、はじめての素材として、「BioPE(ビオープ)」という、石油ではなくサトウキビから作られたプラスチックを使用した商品を発売しました。

現在、私たちは、どうすれば使用済みペットボトルなどのリサイクル素材からブロックをつくれるか、を考えています。工場でのレゴブロックの製造方法も変更しなければならないかもしれませんし、新しい機械を導入することも考えられます。最終的に最も重要なことは、新しい素材で作られたレゴブロックが、楽しく遊べて、安全で、長く使えて、捨てられずに世代を超えて受け継がれていくことです。

――リサイクル素材を利用したレゴブロックを開発するにあたって、大変だったのはどのような点ですか!?

一番難しいのは、既存のレゴブロックと同じように耐久性、強度、品質が高く、過去60年間につくられたレゴブロックに合う、まったく新しい素材を発明しなければならないことです。何度も何度も合いそうな素材を探してテストしなければなりません。可能性のある素材を見つけたら、研究室でたくさんの実験を行い、レゴブロックになるためのテストに合格するかどうかを確認します。時には、レゴブロックにバターを塗って、脂ぎった指に素材がどう反応するかを調べたりもします。

たくさんの専門家がレゴブロックと地球の未来を考えている

――ティムさんの所属するサステナブル・マテリアル・チームには150人以上のメンバーがいるそうですが、それぞれどのような職種の方が働いているのでしょうか!?

研究室や工場でテストを行う科学者、化学者、エンジニアがいます。また、気候変動や素材について詳しいサステナビリティの専門家もいます。また、私たちが従わなければならない規則や規制を教えてくれる弁護士もいます。また、必要な材料をどうやって購入するかを検討する人もいます。彼らは、何を・いつすべきかをみんなに指示し、難しい決断を下しています。我々は、サプライヤーや研究機関、他の産業とも協力して、未来のレゴブロックのための新しい素材を開発しています。

――ふむふむ! 環境に配慮したレゴブロックを開発することは、レゴグループにとって、どのような意味があると思いますか!?

環境にやさしいレゴブロックは、再生可能な素材やリサイクル素材を使用して、地球に悪影響を及ぼさないものです。廃棄物をほとんど出さず、寿命が尽きたらリサイクルできるレゴブロックで、もちろん、現在使われているレゴブロックと同じように、安全で楽しく遊べるものでなければなりません。

――リサイクル素材を利用したレゴブロックが広まることで、どのような未来を実現したいとお考えでしょうか!?

未来の子どもたちへより良い世界をつくるために、私たちはできる限りのことをしたいと思っています。企業としても行動しなければなりませんが、私たちだけでは成し得ません。願わくば、私たちの活動が、他の人々がサステナビリティの道を歩み始めるきっかけになればと思います。私たちは多くの課題に直面していますが、協力し合うことで、これらをより良く、より早く解決することができると考えています。

――最後に、レゴブロックの魅力、楽しさはどのような点だと思われますか!?

私の考えでは、レゴブロックの一番の魅力は、無限に遊べることです。つくれるものに限りがありません。また、長い歴史を持ち、世代をつなぐ役割を果たしていることも魅力の一つです。私の子どもたちは、私が幼い頃に持っていたレゴブロックで遊んでいますし、私も今でもレゴブロックでつくることを楽しんでいます。