ゾイド生みの親徳山氏5656万字!?限界ロングインタビュー 第3回

徳山 そうそう。で、会社に入ってくる新世代って、僕の子どもくらいになるわけですよ。今彼らは、一番手を動かさなきゃいけない時期なんですね。だから、すごいいいチャンスだったんじゃないかなと思います。ちょうど僕は今『ゾイドワイルド』2年目のコンセプトデザインをやりはじめてますけど、若い人が育ってきたので、半分くらいの作業をやってます。大半は若い人たちがゼロからやることになると思うんで、そういった面ではまた『ゾイド』は新しい段階に進むんだとは思います。

──初期のコンセプトデザインは徳山さんですけど、こういうギミック部分は、実際の商品になるとき、若い第3世代の方のアイデアも多かったりするんですか?

徳山 基本的にこんな感じにしようとかって、最初の段階ではないんですよ。それは口頭で、チームのみんなと話し合って、だいたいモチーフはこれで、こんな感じの動きにしてみようとかっていうレベルです。
 それを基に若手メンバーがコンセプトのベースを作って、機構試作を作ったりするんです。そして形に落としたものを見て、ボリューム感を検討したり、逆にコストでパーツが減ったりして、じゃあそのなかでどこのポイントを見せようか、とかみんなで考えていくんです。あと今回、「アーマーを取っても、ボーンだけでもかっこいいんです」って言っちゃったもんだから(笑)、骨とかディティールのこだわりが尋常じゃない。玩具開発メンバーはすんごい大変だったと思いますよ。

──言っちゃったもんだから(笑)。

徳山 言っちゃったもんだから、ディティールを若手が作り込んでくるんですね。そういったところで『ゾイド』の造形をマスターしつつ、いずれ自分のやりたい方向を入れていけるといいですよね。あと『ゾイド』って、デザインをやる人間と、エンジニアというかギミックをやる人間って分かれているので、デザインだけじゃない世界なんです。動かないものだったら、ある程度デザイン優先でもいけるんでしょうけど、『ゾイド』は動かしてなんぼだし、あと世界観もある。「デザイン」と「世界観」と「ギミック」、三位一体の世界なんで、誰か一人の手でそれのバランスを取るっていうのは絶対ありえないんです。だからそういった面では『ゾイド』って特殊だなって思いますね。

──ほかに何かデザインするときに気をつけていることはありますか?

徳山 今回は『コロコロコミック』さんで漫画もあるということだったんで、人が乗る部分をなるべくゾイドの顔に近いところにしていますね。一方で、OLM(※4)の人には悩みの種を作ってしまいました。さっきおっしゃったように、ゾイドのパーツと人が当たったらどうするんだっ、とかね(笑)。僕の初期デザインの段階では、人間に若干プロテクターとか着けてるんですよ。だから、これくらいだったら乗れるぞって思ったんですけど……実際に作品をつくられる際に、アラシ(※5)がもうちょっと私服な感じだったんで、びっくりしました(笑)。

──えっと……この話は、広げないほうがいいですかね(笑)。そういえば、今回はタカラトミーの公式ツイッターで5月16日にあげた動画がかなりバズりましたね。かわいいって(笑)。

徳山 ああ、「ガノンタス」の動画ですね。我々『ゾイド』担当のほうは真っ正面からの訴求をするんですけど、タカラトミーのツイッター担当は、それとは違う角度から面白くとらえるってことで、いろいろアイデアを出してくれるんです。しかも担当がすごい『ゾイド』が好きなので、見せ方もわかっているし、ユーザー目線も持っているんです。彼は、2世代目のゾイドにハマったユーザーであり、3世代目の社員ですね。

※4 OLM:アニメ『ゾイドワイルド』の制作会社。
※5 アラシ:『ゾイドワイルド』の主人公で、「フリーダム団」のリーダー。

 

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