【カブトクワガタ日記】第93回 ノコギリクワガタの思い出

この色……いいなあ!

 いまだ、最初のご神木から離れられないでいる。

 それは、ここ最近の記事で再三触れている通りまだ見ぬ遺伝子のムシがゴロゴロと出てきてしまうからで、改めて、

 「この『カブトクワガタ』というゲーム……! 「ボリュームはそれほどなさそうだなw」なんてナメてかかるとエラいことになるぞ……! すべての要素をシャブり尽くそうと思ったら、時間がいくらあっても足らねえ……!!」

 こんなことを思い始めている次第である。

 というのも、前回の続きになりますが……!!

 何気なく見上げた大樹の幹に……! あろうことか……ッ!!!

 うお……! あ、あの、妖しく光る赤褐色のボディーは……!! ドゥカティのバイクを髣髴とさせる魅惑の配色は……!!! このあいだ捕まえて狂喜した、

 この、“遺伝子レッド”のカブトムシと同じくする……ッッッ!!!

 やっぱりねええええ!!!ww 遺伝子レッド、ノコギリクワガタにもいたんだなーーーーー!!!www

 そうなんです!!

 ミヤマクワガタと並ぶレアリティーSRクラスの人気ムシ、ノコギリクワガタには、ド派手で目を引きまくる遺伝子“レッド”が存在するのである!! こ、これは見逃せない……!! 必ずや我が虫カゴにお越しいただこうではないですか!!

 いやでも、ノコギリクワガタはタマラナイよなぁ~~~!!

 ミヤマクワガタの回でも触れたけどさ。俺が少年時代を過ごした昭和50年代の群馬県下仁田町において、子どもたちがもっとも憧れるムシの両巨頭は何を隠そう、ミヤマクワガタとノコギリクワガタだったのだ。

 どちらかと言うとノコギリクワガタ(我々は“ノコ”と短縮形で呼んでいた)のほうがポピュラーで、ひと夏にだいたい……5~10匹くらいは捕まえて飼育していたように思う(ミヤマクワガタは1~3匹が限度だった)。

 流線型の流麗なフォルムは、カブトムシやミヤマクワガタと比べても華麗にして優美極まりなく、湾曲した角の狂暴性とのアンバランスさが魅力的で仕方がなかった。赤みを帯びた体色もどこか近未来の戦闘兵器を思わせる迫力があって、ひとたびノコギリクワガタを捕まえようものなら翌日は必ず教室に持って行って、わんぱく仲間の幼馴染たちに自慢したものだ。いやあ、なんて懐かしいんでしょうwww

 そんなノコギリクワガタの真っ赤な個体が、目の前に現れた。

 おそらくこれが最レアの遺伝子だと思うんだけど、俺が子ども時代によく捕まえていたノコギリクワガタの色は、これにかな~~~り近かったように思う。

 そういう意味では、40年ぶりくらいの“再会”と言えるかもしれない。

 となれば、ここは丁重に……! 敬意を表して!!

 問答無用のサタンオオカブトを出してお出迎えしようではありませんか!!www

 ノコギリクワガタはつよき(赤)のムシなので、性格勝負においても、

 サタンオオカブトの圧勝www

 「そもそもの実力が違うんだから、性格勝負くらい譲ってやれよ……!」

 と、呆れ半分に訴えてくる方もいるかもしれないが、ここは一瞬の油断が命取りになるガチの戦場なのだ。実際、このあいだはテキトーこきまくった末に、怪物コーカサスオオカブトがミヤマクワガタに1本取られたからな(苦笑)。

 なのでいっさいの手加減なく、序盤から最高攻撃力でぶっ叩いて……!!!

 ……あwww 言った尻から、目押しに失敗こいた!!www

 続く。

 

大塚(おおつか) 角満(かどまん)
1971年9月17日生まれ。元週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。在職中からゲームエッセイを精力的に執筆する“サラリーマン作家”として活動し、2017年に独立。現在、ファミ通Appにて“大塚角満の熱血パズドラ部!”、ゲームエッセイブログ“角満GAMES”など複数の連載をこなしつつ、ゲームのシナリオや世界観設定も担当している。著書に『逆鱗日和』シリーズ、『熱血パズドラ部』シリーズ、『折れてたまるか!』シリーズなど多数。株式会社アクアミュール代表。

『カブトクワガタ』公式ツイッター:
https://twitter.com/kabukuwa_info

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