基本ブロックで多彩なモチーフメカを創造! コトブキヤ新作プラモの「プログレスボディ」を先行レビュー

妄想ショートストーリー

青空を飛行する単騎の「プログレスボディ」は、仰々しい装いで雲海を滑るように飛ぶ。飛行形態でレールガンとフォトンキャノンを背負う姿は実に不可思議なものであった。

なぜ、そのような重火力を備えなければならないのか。

その答えは、雲の隙間から見え出した孤島にある。深い海原の中に、ポツンと浮かぶ島は鬱蒼としたジャングルを広げ、もうもうと黒煙をあげる活火山を据えている。

「プログレスボディ」のパイロットは機体を島へと降下させていった。

島はパイロットが想像していたよりも遥かに広大だった。いや、その面積を広げていたというのが正しいだろう。

ブリーフィングで確認した資料では数ヶ月前に空撮されたもので、半径10キロほどの小島だとパイロットは記憶している。しかし、「プログレスボディ」のセンサーから得られるデータはそれよりも数パーセント肥大している。加えて、ジャングルの面積も広がっている。

異常なまでの植物の成長速度と島の肥大化。それらを目の当たりにして、パイロットは一呼吸おいて今回の調査任務の気難しさを悟った。

「プログレスボディ」はロボットモードへと変形をしつつ、脚部の主翼を広げて極力推進力を絞りながら滑空していく。風の波に乗りながら、やがて開けた場所へと主翼を畳んで着陸する。

パイロットは周囲を見渡しながら、隆起した岩塊やシダ植物が生い茂る密林を観察する。センサー類には何ら反応はない。視界にも、電波にもない。ただ、ジャングルが恐々と揺れる音だけ。

生き物はいないのか。野鳥や虫の音すらない高温多湿の環境下でありながら、そのような生命のいぶきが感じ取れない。

だが、パイロットは目の端で捉えた影を見逃さなかった。

操縦桿とフットペダルを切り返すと、「プログレスボディ」が武器を構えて振り返る。

そこには巨大な機械龍が見下ろしていた。

パイロットに焦りはなかった。それを見た瞬間にむしろ安堵したほどだ。

「得体の知れない化け物」と目の前の機械龍を形容してしまえば恐怖もする。自機よりも巨大な頭や鋭い両腕の爪、長い胴体、揺れ動く刃を持った触手。おおよそ地上にいる生き物とは思えない姿をしている。

だが、生き物らしい機微を察知できるとパイロットの勘は冴えるものだ。

ジリジリと頭を下げて、腕を縮ませる挙動は飛び抱える前動作。揺れる触手が興奮したように波打つ。

来るっ!!

瞬間、機械龍が猛然と巨大な口を開いて飛びかかってきた。

「プログレスボディ」はブースターを噴射して、回避。即座に照準を合わせて手に持つ武器を一射。ビームの閃光が瞬いた。

しかし、機械龍の頭部に命中するものビームは拡散し、致命傷を与えられなかった。

機械龍が長い胴体をうねらせ、「プログレスボディ」へ鎌首をもたげる。

同時に「プログレスボディ」の背部のレールガンが展開。加速レールからバチバチと蛇のように電気が漏れ出す。

磁場が安定しない、とパイロットは心のうちで毒付いた。

その隙をついて、機械龍の触手がレールガンを射抜く。加速レールが勢いよく弾け飛び、「プログレスボディ」もその余波で地面に叩きつけられた。

さらに、機械龍が地面を這いながら追い討ちをかける。巨大な顎が「プログレスボディ」を飲み込もうとする。

間一髪でシールドウィングで機械龍の爪を防ぐ。だが、機械龍の獰猛な牙がギラリと光った。

至近距離。パイロットの脳は危険やリスクを遮断して、彼の生存本能がその手足を動かした。

「プログレスボディ」が背負っているフォトンキャノンを機械龍に向ける。刹那、眩い光が空間と2体の機体を焼いた。音が遅れて爆裂し、機械龍と「プログレスボディ」を吹き飛ばす。

吹き飛ばされた「プログレスボディ」は木々を薙ぎ倒すように転がり、ダメージを負ったシールドウィングが弾け飛ぶ。かろうじてフォトンキャノンのダメージを抑えたが、機体のあちこちで火花が飛び散る。

「プログレスボディ」はジャングルを抜けてひらけた土地に出た。

パイロットはエアバックに頭を埋めながら、真っ白な視界と体をかき回す衝撃に息を止める。どちらが上で、どちらが下かなどわからない。それでも足先と指先に力を込めて、操縦桿とフットペダルを切り返した。

「プログレスボディ」が無理矢理肩部のブースターで起き上がる。パイロットの目に一瞬迫り来る機械龍が見えた。

それだけで十分な情報だ。最後の武器を命中させるのに十分な位置関係だった。

「プログレスボディ」が再びフォトンキャノンを放つ。機械龍は予測していたように回避してみせた。

しかしのその僅かな回避運動と閃光が目眩しとなる。

その隙に「プログレスボディ」が肩部のブースターを最大出力で噴射して回転する。そして、その遠心力でシールドウィングを投擲。鋼のブーメランが風を切り裂き、地面スレスレから一気に機械龍の懐に飛び込む。

そして、龍の首を力任せに切断する。空へ舞い上がったシールドウィングがキラリと反射する。

重々しく龍の首が落ち、活動を停止した。

「プログレスボディ」のパイロットは機械龍の残骸を確認してようやく溜め込んでいた息を吐き出した。


テストショットを触ってみて

デフォルメデザインで幅広い可動域を備えた「プログレスボディ」は、小さな手足でも基本ブロックの高い柔軟性と各部関節によって様々な表現ができる。組み立て簡単で、ディスプレイした後も飽きさせないギミックが詰め込まれている。ロボットから戦闘機への変形、基本ブロックの組み換え次第で形状も変化する。

そして、各所に設けられた3mmジョイントによってミキシングも簡単にできる。

今回紹介した改造例のように「M.S.G モデリングサポートグッズ」などを使い、コンセプトに合わせて自分だけの機体を作成することができる。ロボット形態と戦闘機形態によって大きくシルエットが変わる楽しみも倍増する。

「プログレスボディ」は9月に発売。ぜひ、チェックしてくれ!

また、今回の「妄想ショートストーリー」で登場した機械龍こと守護龍形態「ドラゴモード」は、「ヘヴィウェポンユニット20 龍装具〈アギト〉」と「ヘヴィウェポンユニット21 龍装具〈リュウビ〉」を合わせることで完成する。こちらも要チェックだ。

商品概要
プログレスボディ

■発売月:9月
■価格:2,750円(税込)
■スケール:NON
■製品サイズ:全高約96mm
■製品仕様:プラモデル
■パーツ数:51~200
■詳細:https://www.kotobukiya.co.jp/product/product-0000004138/
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※本レビューでは、テストショットキットを使用しております。実際の商品とは異なります。
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