【プロセカ1周年特集】ボカロPに直撃インタビュー! 書き下ろし楽曲の制作秘話! そしてボカロPになるには!? #5:syudou(しゅどう)さん

超有名ボカロPのインタビュー特集だ!

 コロコロオンラインが追い掛け続けている、セガ×Colorful PaletteのiOS/Android向けアプリ『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』が、2021年9月30日をもちまして……サービス開始1周年を迎えましたッ!! めでたい!!!

 今年3月のハーフアニバーサリーでも大特集を組み、

 自分で言うのもナンですが、マニアックながらもファンの心に届くインタビューや記事を多数展開し、大きな話題を呼んだ“コロコロオンライン・プロセカ班”が……この1周年というタイミングを見逃すわけがありません……!!

 ってことで!!

 『プロセカ』1周年を記念してコロコロオンラインが踏み込むのは……このゲームには欠かせない“ボカロP”の世界!!

 聞くところによると“子どもが将来なりたい職業ランキング”において、ゲームクリエイターやユーチューバーらと並んでボカロPが上位にランクインしたり、コロコロの読者からも「ボカロPになりたい!」という声が多く届くようになったことをきっかけに……各方面にご無理を承知で調整していただき、いまをときめく超有名ボカロPの方々にインタビューすることができたのです!!

 第5回目となる今回は……!

 “25時、ナイトコードで。”(通称:ニーゴ)の書き下ろし楽曲『ジャックポットサッドガール』を提供したsyudou(しゅどう)さんにお話を伺った!!

 2020年10月にAdoさんに提供した楽曲『うっせぇわ』が社会現象にもなる大ヒットを記録したsyudouさんに、これまでの歩みやボカロPになるために必要な要素などをお聞きしました!!

ボカロPの秘密!

--まずは、この依頼を受けたときの率直な感想をお聞かせください!

syudou 大きな企画だ……ということは聞いていましたけど、本当に初期から関わらせていただいているので、実際の規模感は想像できませんでした。ただ、声優さんたちもいっしょになって盛り上げている様子を見て、「めちゃくちゃお金が掛かっているな!!」と驚いて。そこから、ワクワクや期待感が激増していきましたね。

--なるほどなるほど。

syudou あと僕、ボカロPなんてイキって言っていますけど、こういった公式のお仕事……初音ミクがらみでやらせていただくのって、これが初めてだったんです。そういう意味で、いままでずっと野良でがんばっていたことを認めてもらえたんだ……と感じることができて、すごくうれしかったことを覚えています。

--syudouさんはニーゴ(25時、ナイトコードで。)に『ジャックポットサッドガール』という楽曲を提供されています。まずはこの曲のテーマをお聞きしたいのですが!

syudou あの曲は……かれこれ1年くらい前に作ったものになります。『プロジェクトセカイ』の初期段階の楽曲として制作してください……と依頼されて作ったので、先ほども言った通り現在の『プロセカ』の隆盛はまったく想像もせずに作っていました。
 ただ、いまから新規のゲームが始まる……プロジェクトが動き出すっていうワクワク感を強く感じていたのと、リズムゲームならではのノリやすさとか、ポップな要素を意識して作り込んでいきました。

--ニーゴのメンバーのストーリーも考慮されて?

syudou はい。“25時、ナイトコードで。”の曲なのでそのメンバーのストーリーと、ボカロPとしての自分のストーリーみたいなものを照らし合わせて、内容に落とし込めたらいいなと考えていたんです。

--そのニーゴのメンバーについては、どのような印象を持たれましたか?

syudou ニーゴはですね、非常に自分に近いなと言いますか……。言いかたが難しいんですけど、いわゆる学校とか社会とか、「これがふつうだよ」と言われていることに馴染みきれない子たちが、現実以外での居場所を見つけて、ネット上での音楽活動をしていくわけです。このバックグラウンドが、めちゃくちゃ自分とカブります。
 僕、去年の頭くらいまで会社勤めをしていたんです。そこを辞めてから音楽1本で活動しているんですけど、会社勤めから音楽へ……という切り替わりの時期に、ニーゴの『ジャックポットサッドガール』を作りました。見ようによっては、“音楽があるから会社を辞めることができた”になるんですけど、逆に言うと“一般的な社会に馴染めなかったけど、居場所はあった”となる。ふつうの歩みだったら、学校に行って、会社に行って……ってなりますけど、それ以外の場所を見つけるという彼女たちの物語が、当時の自分とカブって、めちゃくちゃシンクロしてくれたんですよね。

--syudouさんって、良くも悪くも会社員のイメージがないですもんね。

syudou いやホントに、良くも悪くもですよね(笑)。そもそも、音楽で飯を食おうと考えていた人間ではないですし、やらせてもらえるなら楽しみたい……というスタンスではありました。それが、なんとか食べていけているのでありがたいですけどね。

--では、『ジャックポットサッドガール』の歌詞に込められた意味を教えてください。

syudou 先ほども言った通り、ニーゴの子たちと、自分の活動ストーリーの両方の要素が入っているのがいいなと思いました。もしも、自分のことだけで作っちゃうとゲームで書く意味がないですし、逆に“ゲーム”ってことにだけこだわっちゃうと僕なんかより精度の高い曲を作る作家さんはいっぱいいるので……。そこでうまくバランスを取って、「精神的に元気がない子でも、やるときはやろうぜ!」っていう雰囲気が出せればいいなと考えたんです。
 その上で、リズムゲームってポップな世界観とか、つねに明るい曲が求められる傾向が強いと思うんですけど、自分が作るべきはそれではないな、と。僕は、ちょっと闇を抱えていたり、暗い雰囲気の子たちでも、「踊っていいんだよ! むしろそういう人たちの踊りのほうが本質的じゃない!?」と伝えたかったので、そういう意味では『ジャックポットサッドガール』も、僕なりのダンスミュージックになるんです。ずっとパソコンの前でカタカタやっている子たちに捧げる、ダンスミュージック。

--この曲って、ネットでものすごく検証されているじゃないですか。それをご覧になっていかがですか?

syudou 僕の手のひらの上で踊っている……っていうのは冗談で、単純にめちゃめちゃ嬉しいですし、光栄なことだと思います。ネットカルチャーの良さですよね、そういう楽しみかたって。深堀りしてくれる方たちが楽しめる仕掛けを自分が考えて、「そう掘ってくれるんだったら、つぎはこうしよう!」と発展させていく。こういうカルチャーは、すごく好きです。

--では、『ジャックポットサッドガール』の中で、とくにお気に入りの歌詞はございますか?

syudou こういうのって、自分で言うの恥ずかしいですね(笑)。でも、あえて言いますと……サビの部分ですね! 「誰にも言えないまんま抱えた想いこそ価値があるんだ」っていうラインを選ばせていただきます。
 自分もそうなんですけど、思っていることを人に言えないケースがすごく多くて、いつも3分の1も伝えられていないんじゃないかって考えるんです。一方で、思っていることを共有し、友だちをバンバン増やしていく人がキラキラと輝いて見えたりします。でも、口に出す言葉だけじゃなく、誰にも言えないで内に秘めている思いこそ価値があるんじゃないか……と思うことがあるので、それを伝えたくて歌詞に入れました。

--じつに響きますね……!

syudou 僕は、いまでこそ音楽で食べていけていますけど、学生時代も社会人になってからも、まわりの人に音楽をやっていることをぜんぜん話していなかったんです。本当は、「音楽やってるぜ!」なんて言ってモテたかったなぁ……と思うこともありましたけど、当時はそれで食えてるわけじゃなかったし、そもそも自信もなかったので、誰にも言えぬまま続けてきたんですよね。なので、いまはなんでもかんでも共有する時代になっていますけど、言わずに内に秘めておくのもなかなか美しいでしょ……ということを伝えたいなとも考えていました。

--『ジャックポットサッドガール』の制作日数は、どれくらいになるのでしょうか?

syudou これは、3~4週間くらいですね。僕の作業としては、超平均的な制作期間です。ゲームの楽曲であること、そしてストーリーも固まっていましたので、そこまで詰まるということはなかったです。

--ゲームに実装されたのを初めてご覧になったときの感想は?

syudou うれしかったです! もちろん、プロジェクトが始動した直後に駅に広告が出たのを見たときも感激しましたけど、それから時が経って、『プロセカ』というゲームが認知されている現状を見て、「こんなに大きい企画だったんだ」、「これの初期から関わらせてもらっていたんだ……!」とわかって、余計に感動しました。

--さてここから、“ボカロPに関する全般的な質問”を、ぜひぶつけさせていただこうと思います。
 コロコロ読者の中にもたくさん、「将来はボカロPになりたい!」と思っている少年少女が大勢いますので、そんな彼らに届けたい質問をぶつけさせてください。
 まずは……ボカロPになられたきっかけを教えてください!

syudou そもそも、「ボカロPになりたい!」と強く主張していたタイプではないんです。音楽をやっていきたくていろいろ活動する中で、学校に行きながらも、仕事をしながらも続けられるのがこの形でした。

--ボーカロイドを知ったのはいつごろですか?

syudou 僕が小学6年生だった2007年に初音ミクが出てきまして、かなり初期から知ってはいたんです。その後、ハチさん……現在の米津玄師さんが曲を投稿するようになったんですけど、それがめちゃめちゃスゴかった! ひとつひとつの曲にいろいろな要素が入っていて、「こりゃすごい……!」と。これをきっかけに、「ボーカロイドっておもしろいな!」と気づいて、自分でも作るようになりました。

--ハチさんのお話が出ましたけど、『ジャックポットサッドガール』はハチさんが作られた曲に対するアンサーソングとお聞きしました。

syudou そうですね! この曲って、引っ込み思案で言いたいことも言えない子も踊っていこうよ……という意味が込められていると言いましたけど、ハチさんという方に影響されて活動しつつも、その人に対して「俺はこう思います!」ってぶつけることって、恐ろしくてできなかったんです。それでも……俺、がんばって言ってみるから、みんなも1歩踏み出してみようぜ! ということを、聴かれる方に伝えたいとも思いました。
 具体的に言うと、ハチさんの『砂の惑星』という、ボカロカルチャーに対する意見表明みたいな曲に対して、ずっと、「俺はこう思います!」って言いたかったんです。で、『砂の惑星』はマジカルミライに向けた書き下ろし曲だったので、僕もいつか公式の仕事をいただいたらアンサーを書きたい……って考えていました。

--めちゃくちゃおもしろい話ですね!

syudou いつかないつかな……って心の内で思っていたときに『プロセカ』のお話をいただいたので、「ここだー!!」って(笑)。もしも『プロセカ』がなかったら作れなかった可能性もあるので、そういう意味でもよかったですねー!

--では、ボカロPになるために必要なスキルってありますでしょうか? 

syudou 「絶対こうしろ!」っていうルールはありません。あるとすれば、ボーカロイドのソフトを買う……くらいですかね。楽器の知識はなくてもパソコンに打ち込むことで音楽は組み立てられるので、さほど心配しなくてもいいんじゃないかなと。でもひとつ、アドバイスをするとしたら、ボカロを好きになるとそれしか見えなくなっちゃうかもしれませんが、とはいえ“音楽”という大きなくくりの中の1ジャンルに過ぎないんですよ。もしも曲を作りたいと思ったら、ボーカロイドに限らず、いろいろなジャンルの曲を聞いて知識を増やしておくと、のちのちたいへん役立つと思います。加えて、ボカロの曲を聴くときも、「この人は、どんなことに影響を受けているんだろう」なんて考え始めるとたくさん発見があると思うので、ジャンルに囚われず、さまざまな音楽を聴かれるといいと思います。

--例えばピアノとかギターを弾けたほうがいいのかなぁ……と考えがちですが。

syudou もちろん、弾けるに越したことはないですし、僕も一応、楽器はひと通り触ります。いまにして思えば、ピアノは小さいころにもっとやっときゃよかったな……とも感じますが(笑)。でもそれは些末なことで、まずはやってみることです! いまなんてスマホでも曲を作れるので、『プロセカ』をプレイできる環境があれば、じつはボカロも始められますから!

--そういう意味では10年前や15年前に比べたら、環境がすごく整っていますね。

syudou はい、とんでもなく整っています! ゆえに、いろんな人が参入している世界でもあるんです。バンドマンからボカロに入って来た人、曲を提供する作家だったけど自分で表現したくてボカロを始めた人……。優劣なく、同じスタートラインで始められることも、この世界の大きな魅力だと思います。

--すごくフェアな世界ですね。

syudou はい、そうなんです。コロコロを読んでいる少年少女がスマホで曲を作って投稿する……という時点で、僕らとスタートラインは同じですから。でも逆に言えば、すごくシビアでもありますよね。一瞬で小学生の作家に抜かれる可能性もあるわけですから、キチンとがんばらないとと思います。

--ではそんな、将来ボカロPを目指す少年少女に向けて、先達としてエールをお願いいたします!

syudou 僕が言えるようなことではないんですけど……まずは、やってみよう!! いまは、いっぱい挑戦できる時代ですしね。べつに、その音楽が評価されなかったところで何かが終わるわけじゃないので、とりあえず1歩踏み出すこと。それしかないと思います。そもそも、ユーチューバーみたいに顔出しする必要もないので、そういう意味ではハードルは低いですし。ぜひ、トライしてみましょう!

--これを読んだら、小学生のボカロPが増えちゃうかもですね(笑)。

syudou もう、がんがん増えてほしいです! すでに、15歳とか16歳でスゴい曲を書かれている人がいっぱいいるので、今後は小学生作家でも100万再生、1000万再生とか、叩き出す人が出てくるんじゃないかなぁ。めちゃくちゃワクワクしますね! そんな人たちに、僕らの凝り固まった常識を壊してほしいです!

--最後に、『プロジェクトセカイ』が1周年を迎えました! お祝いコメントをいただければ幸いです!

syudou ということは、初期の楽曲である『ジャックポットサッドガール』も1周年なんですね……。じつは僕、ちょうど『プロセカ』のお仕事をやらせてもらうタイミングで上京したんです。それからいろいろなご縁をいただいたおかげで楽しくやれてますので、今後も2年、3年と愛され続けるコンテンツであってほしいと思います。そしていつか、『プロセカ』でボカロを知ったって人が書いた曲が実装されたりしたらアツいですよね! そういったことが起こるまで、ずっと人気のコンテンツでいてください! 引き続き、よろしくお願いいたします!

syudou

2012年からインターネット上での活動をはじめ、「邪魔」や「ビターチョコデコレーション」、「コールボーイ」など多くのヒット作を発表。

Adoへ提供した楽曲「うっせぇわ」を始め、楽曲提供も積極的に行っている。
2021年3月〜自身歌唱楽曲を発表し、ボカロPだけではなく、アーティスト活動もスタートしている。
独自のダークな世界観を武器にファンを拡大中

 

☆☆プロセカ一周年特集はこちら☆☆

ボカロPに直撃インタビュー!

#1:DECO*27さん

#2:ピノキオピーさん

#3:Mitchie Mさん

#4:Gigaさん

#5:syudouさん

 

 

衣装カタログ

#1:バーチャル・シンガー編

#2:Leo/need編                        

#3:MORE MORE JUMP!編

#4:Vivid BAD SQUAD編      

#5:ワンダーランズ×ショウタイム編

#6:25時、ナイトコードで。編

 

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クリエイターチーム優勝インタビュー

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タイトル概要

プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク

■対応OS:iOS/Android

■App Store URL:https://itunes.apple.com/app/id1489932710

■Google Play URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.sega.pjsekai

■配信開始日:配信中(2020年9月30日(水)配信)

■価格:基本無料(アイテム課金あり)

■ジャンル:リズム&アドベンチャー

■メーカー:セガ/ Colorful Palette

■公式Twitter:https://twitter.com/pj_sekai