【プロセカ】ボカロPに直撃! “aqu3ra”さんが語る“MORE MORE JUMP!(モモジャン)”と、オリジナル楽曲『アイスドロップ』について!【ボカロPインタビュー企画 #20】

aqu3raさんの曲作りに迫る!

 2020年9月のサービスイン以来、コロコロオンラインがひたすら追い掛け続けているセガ×Colorful PaletteのiOS/Android向けアプリ『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』。

 2021年10月には1周年を祝した特集を展開し、

『プロセカ』1周年記念特集は下記の画像をクリック!!
 

 さらに2022年10月には『プロセカ』2周年を記念した大特集を実施するなど、担当からほとばしる圧倒的な“プロセカ愛”をカタチにし続けている。

『プロセカ』2周年記念特集は下記の画像をクリック!!
 

 そんなコロコロオンラインプロセカ班がとくに情熱を注いで追っているのが、このゲームの根幹でもある楽曲……そして、それを制作されている“ボカロP”と呼ばれる“才能たち”であります!!

 “子どもが将来なりたい職業ランキング”において、ゲームクリエイターやユーチューバーらと並んでボカロPが上位にランクインし、コロコロの読者層との親和性もめちゃくちゃ高いということで、前述のプロセカ1周年特集の際にボカロ界のビッグネームにつぎつぎとインタビューを敢行!! その内容の濃さは業界内外に衝撃を与え、このたび……不定期連で、さらに多くのボカロPの皆様にご登場いただき、ナマの声をお届けできることになったのです!!

 『プロセカ』はゲーム内容はもちろん、楽曲のすばらしさが高く評価されて現在の人気を確立したと言っても過言ではない。それらを生み出したボカロPたちの考えかた、作品への向き合いかたを掘り下げたこのインタビュー連載を読まれることで、ゲームを遊ぶだけでは知りえない情熱や、楽曲に対する想いを知ることができるはずだ。その結果……さらに登場キャラやユニット、『プロセカ』そのもののことが好きになること請け合い!!

 そしてインタビューの後半では、“いかにしてボカロPになったのか?”という、将来この道に進みたいと思っている読者の皆様の道しるべになるような質問もぶつけているので、とにかくあらゆる人たちに読んでいただきたいなと!!

 さて今回ご登場いただくのは、“MORE MORE JUMP!”(モモジャン)にオリジナル楽曲『アイスドロップ』を提供された“aqu3ra”さんだ。

 アイドルを目指す少女とアイドルを辞めた少女たちが織りなす群像劇が人気のモモジャン。そのメンバーのひとりである桃井愛莉(ももいあいり)がキーキャラクターとなっているのがイベントストーリー『ハッピー・ラブリー・エブリデイ!』だ。過去の自分を受け止め、アイドルとしてさらに輝きを増した愛莉が歌い上げる『アイスドロップ』は、どうやって生まれたのだろうか?

※本インタビューはメールで行い、いただいた回答を元に構成したものです。

ひとりひとりがこの世界を回す鍵

--まずはたいへん恐縮なのですが、簡単に自己紹介をお願いしたいのですが……!

aqu3ra よろしくお願いします! aqu3ra(あくえら)と申します。2018年に歌い手として活動を始めて、ボカロPとしては2018年12月に『sleeping awake』という曲でデビューしました。楽曲提供をさせていただいたり、そのときにやりたいことをするという感じで活動しています。

▲2019年4月に投稿されたaqu3raさんの代表曲『ロンリーユニバース』。プロセカにも収録されており、セカイver. では花里みのり、桐谷遥、初音ミクの3人の歌声が歌唱しているぞ!

--そんなaqu3raさんは『プロセカ』にオリジナル楽曲『アイスドロップ』を提供されましたが、この依頼を受けたときの、率直な心境をお聞かせください!

aqu3ra 確かリリースされた直後にお話しをいただいたんですけど、そのときすでにプロセカは猛烈な勢いで広まっていて、自分も「ものスゴいコンテンツが始まったな……!」と思って見ていました。そんな中で連絡をもらったんですけど、来たときは「まさか自分が!?」と驚きのうれしさが湧き上がるのと同時に、「これは大変なことになった……! 持てる力を出し尽くそう」と思いました。

--『アイスドロップ』はMORE MORE JUMP!のイベントストーリー用に書き下ろされた楽曲ですが、彼女たちを初めて見たときにどのような印象を持たれましたか?

aqu3ra 最初の印象は、「なんて健気で良い子たちなんじゃ……。なんてゆるい空気が流れてるんじゃ……推せる……!」と思いました。事務所に所属せず、自分たち主体で考えて活動していくアイドルというインディペンデント精神にも、やけに自分の活動と重ねてしまったりして。アイドルのリアルな現実が描かれていて……というか、活動事情がリアル過ぎて、「これはゲームなのか?」と思うこともたびたびです。でも、メンバーの葛藤を知ったり、困難を乗り越えていく様を見て、いつの間にかとても感情移入していましたね。

--特に今回のイベント「ハッピー・ラブリー・エブリデイ!」のキーキャラクターは、桃井愛莉ちゃんです。彼女については、どのような印象をもたれましたか?

aqu3ra ビジュアルがいいなと。ピンク髪のアイドルルックスなのに、しっかり者なギャップも良かったです。メンバーへの突っ込みどころが無限に湧き出てて大変そうだなと思ったり、メンバーを引き立てる嗅覚とか、企画力を見習いたいなーと感心したり。求められたら全力でファンサを返すところとか、アイドル魂が溢れちゃっていますよね。あと、ツンデレな感じがかわいいです。怠けてるときには愛莉に怒られたい。

▲イベント『ハッピー・ラブリー・エブリデイ!』の書き下ろし楽曲としてリリースされた。

--では、『アイスドロップ』を作られたときのテーマをお聞かせください! 方向性は、どのように決められましたか?

aqu3ra アイドル曲にあまり触れたことがなかったので、プロセカの運営さんと密にコミュニケーションを取らせてもらったんです。そんな中で、「aqu3raさんの思う通り、好きに作ってほしい」と言ってもらえたので、ボカロ曲として、ボカロファンにもプロセカファンにも届くような曲にしようと思いました。バンド系のサウンドだけど手拍子を強めに入れたり、音ゲーぽいリズムも意識してキラキラ爽快感のある曲にしたいって方向性を持っていて。愛莉が自信を取り戻していったように、誰もが持っている葛藤やトラウマも、いつかは溶けていくときがくる――。モモジャンの歩みや自分自身が見てきたこと、人生のいろんなページをめくっていくような、ストーリー性を感じる曲にしようと思ったんです。aqu3raなりの、ちょっとエッジがありつつモモジャンだから送れるポジティブなメッセージを乗せた、アンセム的な曲にできたと思います。

--ご自身で、とくにお気に入りの歌詞はございますか?

aqu3ra 「このセカイを回す 唯一の魔法」です。言葉のかわいさ、ユルさもありつつ、ひとりひとりがこの世界を回す鍵なんだっていうポジティブな想いも込めています。あと、絶対に“セカイ”って言葉は入れたかったので(笑)。曲の締めにバシッと決まる、我ながらとても満足なフレーズです。

--続けて、『アイスドロップ』の“聴きどころ”を教えてください! ポイントや、こだわられた部分をお聞きできれば幸いです!

aqu3ra サビ部分の歌で、ボカロと人のハモリが融合した独特の心地よさはとても気に入っているので、ぜひ注目して聴いてみてほしいです。声優さんの歌が良かったのと、ボカロとの混ぜ方を試してくれたエンジニアさんの奇跡の賜物で、耳が幸せです。ほかには、「深海に落ちていくの」の後で深海イメージの音にしたり、沈んでからサビで解放に向かっていく起承転結感があるサウンドにできたかなと思っていて、そんなところも聴いてほしい部分ですね。もちろん、バーチャル・シンガーver.の声もかわいく仕上がっています。バーチャル・シンガーver.のMVは、Haるさんとアイデアをいっしょに詰めました。最後にモモジャンのライブ会場の写真があったり、MV中の女の子のハートのペンダントがセカイver.のアートワークやイベントのハートとリンクしていたりと、プロセカのチームとの相互作用でいろんな角度から楽しめる曲やMV、譜面になったと思います。

※MV画面はバーチャル・シンガーver.のものです。

--制作日数に関してはいかがでしょうか? それに合わせて、難産だったか、それとも比較的スラスラと作れたのか……など、制作難度などをお聞かせ願えればなと……!

aqu3ra 最初、ふたつのデモがあって、プロセカの制作チームに相談したりしつつ、ひとつのデモに絞って制作を始めてからは、わりとすぐに原型はできました。ただその後、ブラッシュアップとかこだわりで、細かいところも何度も作り直して……。結果、過去イチで制作日数がかかったかもしれないです。具体的な制作日数は、他の曲と並行して制作していた時期もありますが、1~2ヵ月はかかった記憶があります。

--『アイスドロップ』がゲームに実装されたのを初めてご覧になったときの感想は?

aqu3ra 自分の曲が収録されることを待ち望んでる人がたくさんいてくれたのも知っていたので、発表の日や実装の日に、自分を応援してくれていたリスナーといっしょに喜んだりできたのが最高の思い出です。いままでプレイしてた楽曲に並んで入っているのを見ると、いまでもたまにニヤけちゃいます。初めてセカイver.の3DMV見たときはコミカルさに笑っちゃったし、テンションが上がりましたね。愛莉が全開でアイドルしているのも良くて、あと泡の演出にはグッときました。

--ゲームに実装後、どのような反響がありましたか?

aqu3ra 『アイスドロップ』の3DMVで、ほっぺに指を当てているあざといポーズのシーンがあるんですが、その配置を推しのキャラにしたスクショをSNSのプロフ画像にしてる方もけっこう良く見かけて、ほっこりします。あとは、1:05 あたりに「トゥルトゥットゥルー」みたいな音が入っていて、これは他の曲でも使っているんですけど、その音に気づいてくれた人がいてまたニヤけてしまいました。

--では……! この曲にはファンが大勢いますが、その方々に向けてひと言お願いいたします!

aqu3ra 誰でも自分に自信が持てなくて、信じられなくなるときがあると思うんです。辛いときは無理に向き合う必要はなくてゆっくり休むのがいいし、でも時間は有限でみんな大人になってしまう――。自分が抱える問題に向き合わなきゃいけないときが必ず来るんですけど、過去の自分を許せたり、わだかまりが溶けていくタイミングがあるから、きっと大丈夫。自分がやっていたことって、まわりまわって報われるときが来ると思うんです。そんなメッセージを伝えられる爽快曲にできたと思います。『アイスドロップ』は間違いなく、自分がずっとやりたかった音楽のひとつを、プロセカの力も借りて実現できた曲でもあります。そんな熱量をアイスパックしてるので、ぜひ引き続き、末永く聴いてください。

--ありがとうございます!! ではここから、将来の夢として「ボカロPになりたい!」と思っている人たちのために用意した質問にお答え願えればなと……! まずは……aqu3raさんが、ボカロPになられたきっかけを教えてください!

aqu3ra 他のインタビューでも何度かお話させていただいているのですが、動画サイトを見ていたときにたまたま“はるまきごはん”さんの『メルティランドナイトメア』を聴いて、この世界に入りました。最初は歌い手だったのもあるし、ボカロPになるっていう発想はなくて、そもそもボカロの調声が絶対に自分にはできっこないと思っていたので、当時は聴く専門、歌う専門でした。でも、やっぱり聴いているうちに自分も作りたくなり、投稿してみたのが『sleeping awake』です。もともとインストとかEDMをよく聴いていて、そういうジャンルの曲を作っていたので、ボカロに出会っていなかったらたぶんインストとかを投稿していたんだと思います。

--では、ボカロPになるために必要なスキルはありますでしょうか? たとえば楽譜が読めることは必須! とか、楽器は何かやっておいたほうがいい! など、子どもたちへの道しるべになるようなヒントをいただけるとありがたいです……!

aqu3ra ボカロPも増えてきているから、戦略的なブランディングが必要かもしれないですね。宇宙人ボカロPや熊ボカロPはもういるので、何か新しいキャラを考えたほうがいいかもしれないです。あと、自分は短いラフな曲含めると数千曲は作っていたと思います。最初はうまくいかなくても、遊びながら曲をたくさん作ることで、徐々にイメージする曲が作れるようになっていきます。昔作った曲からフレーズやメロディーをたまに引っ張り出したりして、いま発表する曲も集大成的なものにもできるんです。曲を作ることは自分のスタイルを知るってことだから、いちばん重要なのは楽しいと思う作りかたでたくさん作って、それを続けていくことだと思います。

--それでは視点を変えまして、「ボカロPになってよかった!」と思うことがありましたら、ぜひ具体的にお教えください!

aqu3ra 動画サイトやSNS、イベントなどで感想をもらったり、ときには聴いてくれた人の人生に深く関われた瞬間を感じるときがあって、すごくうれしく感じます。それと、「辛いときに聴いていた」なんて言われたときはもちろんなんですが、「電車で移動中に聴いている」とか、「風呂上がりのベランダで聴いています」なんて日常のシーンに溶け込んでいるのを知るのも幸せです。自分の作品を投稿したときの二次創作とか独特の一体感は他のジャンルにはない感じがして、それがすごく好きです。

--ありがとうございます! では、ボカロPを目指す少年少女に向けて、先達としてエールをお願いいたします!

aqu3ra はやくこっちに来なよ

--最後になりますが、『プロセカ』の今後について、何かエール等がありましたらひと言お願いいたします!

aqu3ra 将来、もしも結婚することができたら子どもにプレイさせたいので、末永く人気のコンテンツでいてください! 自分もまたプロセカと関われる機会がありますように、活動をがんばります!

--お忙しい中、本当にありがとうございました!!

aqu3ra

2018 年 12 月『Sleeping Awake』を投稿し、ボカロ P として活動を開始。
また、ボカロ P として活動をする以前から歌い手としても活動。
代表作は『ロンリーユニバース』『ラムネ』『ゴーストダンス』など。
セルフカバーや楽曲提供も行っている。

 

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#2:R Sound Designさん

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#5:すりぃさん                         

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タイトル概要

プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク

■対応OS:iOS/Android

■App Store URL:https://itunes.apple.com/app/id1489932710

■Google Play URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.sega.pjsekai

■配信開始日:配信中(2020年9月30日(水)配信)

■価格:基本無料(アイテム課金あり)

■ジャンル:リズム&アドベンチャー

■メーカー:セガ/ Colorful Palette

■公式Twitter:https://twitter.com/pj_sekai